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東方朱姉氏  作者: 霧ヶ峰
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プロローグ「紅い姉妹の長女」

皆さん、はじめましての方ははじめまして。ごぶさたの方はごぶさたです、樹海です。今回オリキャラで物語書きたくなりまして、ふらっとハーメルンと一緒に投稿させていただきました。感想、評価等よろしくお願いします。

レミリア・スカーレット、フランドール・スカーレットをご存知だろうか。


と、という問いに対して返答なんて分かっている。


今これを見ている者達の答えは十中八九「イエス」だろう。


東方Project内にて初登場以来無類の人気を誇る二人、吸血鬼であり紅魔館の主レミリア・スカーレット、その妹にして紅魔館の地下室にて生来幽閉されてきたレミリアの妹フランドール・スカーレット。

彼女らに「もしも」姉がいたとしたら?幻想郷という常識無き世界で暮らす妹二人、いやその周囲の人妖、あるいは神まで巻き込んでどの様に抗い、戦い、そして生きていくのだろうか。


そんな私の中に住むスカーレット姉妹長女のお話。




八雲藍は最強と言っても過言ではないほど強力な力を持つ妖獣である。


九尾の狐の元から備わっている強力な妖力。数多くの伝説を残し、九尾の狐について記された書物も数多く存在する。

それだけも十分な力を持っている。それに加えて妖怪の賢者八雲紫の式であることによって主の紫からも力を享受することが可能である。


文字通り化け物だ。


その藍は今、妖怪の山の麓にいた。


麓とは言っても博麗神社の付近ではなく、その全く裏側。日も届かないほど深い森の中で彼女は隣に式の橙を連れ歩いていた。


心なしか足早であり、橙が必死に着いて行こうと小走り気味になっている。橙は妖怪の山に住んではいるがこの地に訪れるのは初めてである。初めて訪れてみてもこの場所は好きには慣れなかった。なにやら多くの目に見られている気がしたからだ。

橙から見える藍の横顔は僅かながらも苛立った表情を浮かべておりとてもピクニックという雰囲気でもない。


そんな藍の横顔を眺めながら歩いていると藍が急に立ち止まる。


「きゃっ」


橙が藍の腕にぶつかり短く悲鳴をあげる。


「すいません・・・」


「別に大丈夫よ」


もうしわけなさそうに謝る橙に対して藍は気にもとめていない風に言う。


いや、心ここにあらずと言ったほうが正しいのかもしれない。


二人の目の前には十字架の形をした大きな石があった。十字架の中心には文字が書かれていたがカビに覆われて正確に読むことはできない。


「ここは?」


「墓よ、吸血鬼の」


「吸血鬼?紅魔館に関係が?」


「そうね、あの姉妹に強い関係を持った吸血鬼」


「親ですか?」


「いいえ、姉よ」


「姉・・・ですか。藍様さまはお会いになったことがあるんですか?」


「ええ、嫌な記憶しかないけどね」


そう言うと藍は吸血鬼の墓標である十字架を右手で鷲掴みにする。


「え!?何をしているんですか!藍さま!?」


「何って、今から吸血鬼を起こすんだよ」


藍はぎょっとしてる橙の問いに対して淡白に答え右手に力をこめる。


「起こす!?ここは墓なんじゃ!?」


混乱している橙を尻目に藍は十字架を勢い良く引き抜いた。


勢いが強すぎたのか藍が手を離すと十字架は高く飛び上がった、何かに抱きつかれながら。


十字架と何かはなんども木や枝に叩きつけられる、枝からは蝙蝠が数え切れられぬほど飛び去っていく、おそらく感じていた視線はこれなのだろうと橙は思う。

結局、十字架と何かは分離することなく地面に落ちる。十字架の重さのせいか大きな衝突音が響く。


「目は覚めたか、吸血鬼」


「起きてすぐあなたの顔を見るのは殺意を覚えていいきつけになりますよ、化け狐」


「それは光栄だな」


十字架に抱きついていたのは女性であった。彼女こそ件のスカーレット姉妹の姉なのだろう。レミリア、フランドールとは比較にならないほどに大人の容貌をした美女である。永らく地中で眠っていたせいで着ているドレスも顔も土まみれではあるがどこか気品も感じさせる。そして十字架の下敷きになりながらも自分の主、藍さまに物怖じもせずに嫌味を言ってのけるほど肝が座っている妖怪、それが橙の第一印象であった。


「で、前回なんで私は墓に入れられたんでしたっけ?」


石でできた十字架をまるでプラスチックでできたものの様に軽々と移動させながら彼女は尋ねる。


「太陽に向かってなんの装備も無しに飛んでいって瀕死のところをここに入れられたんだよ。数百年前だがな」


藍が答える。おそらくこの吸血鬼のことが心底嫌いなのだろう、感情を抑えているのが橙にも分かった。


「あー、そうでしたか。とりあえず、私はこのまま妹達のところまで行きますんで」


「な、まず紫様に会え・・・!」


藍が止めようとするのをよそに彼女の姿はもうそこには無かった。


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