表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/80

28 冒険者ギルドへ

新展開、新展開……あれ?


2011/11/18 誤字修正

2014/03/30 ふりがな表記をカタカナに修正

 一夜明けて翌日。午前中をのんびりと過ごした私は昼食後、冒険者ギルドを訪れていた。

昨日スフィルに言われた通り、報酬の受け取りとネコちゃんの話を聞くためだ。


 ギルドの扉を開け中を見回すと、椅子に座って昼食らしきものを食べてるスフィルを発見。声を掛ける事にする。


 なんか昨日もこんな光景見たような……あの時は朝食だったけど。


「こんにちは、スフィル。言われた通り来たよ」

「おはよ、ハルナ……。早かったね」


 おはよう? もうお昼過ぎてるんだけど……。


 とりあえずスフィルの正面の椅子に座る事にする。

それにしても、なんだかやたらと眠そうだ。


「おはようって、もうお昼過ぎてるよ。それに大分眠そうだけど、どうしたの?」

「昨日仕事が終わったって事で遊びに出たら、大分夜更かししちゃってさ。実は今さっき起きたとこ。

 それよりハルナは平気なの? 昨日めちゃくちゃ魔力使ってたみたいだけど」

「私はいつも通りに起きたよ。特に疲れもないし」

「アンタの体って一体どーなってんのよ……」


 実は自分でもよく分かりません。はい。


「えーと、体質とか……?」

「体質って……そんな便利な体質あったら分けて欲しいわ」


 まあ、それはひとまず置いておくとして。


「ところでスフィル、結局ネコちゃんってどうなったの?」

「ごめんハルナ。さっき起きたとこだからまだ聞いてないのよ。これ食べ終わったら聞きに行くからさ、一緒にくる?」

「それって、私がついてってもいいの?」

「んー、そうね……多分大丈夫だと思うけど一応聞いてみるわ」

「りょーかい、許可が出たら一緒によろしくね」


 そのまま少し待っていると、スフィルが昼食(朝食?)を食べ終わったので話を聞きに行く事に。


「とりあえず、受付に用件伝えてくるから、ちょっとここで待ってて」

「ほいほい」


 受付で何かを話してるスフィルを椅子に座ったまま眺めていると、奥の部屋からギルド支部長が出て来るのが見えた。

相変らずの落ち武者ヘアーだ。


 確かデルディさんだっけ。あの髪色と髪型は覚えやすいわー……。


 デルディさんとスフィルが何かを話しているのを横目で見ていると、スフィルがこっちを向いて手招きしてきたので、私も席を立って受付の方へと移動する。


「こんにちは、デルディさん」

「よく来てくれた。まずは依頼を達成してくれた事に感謝する」

「ご期待に添えれたようでなによりです。

 それでスフィル、どうしたの?」

「なんか奥の部屋で話をする事になったから、移動するんだって」

「それって私も?」

「ああ。是非アナタにも同行して頂きたい。よろしいかな?」

「私は別に構いませんけど」

「では、移動させてもらうとしよう」


 受付横にある扉をくぐり、通された部屋は割とこじんまりした部屋だった。


 全員が椅子に座ったところでデルディさんが口を開く。


「まずは無事、依頼を達成してくれた事に感謝する。

 そしてギルド員では無いにもかかわらず、こちらからの依頼以上に協力をしてくれたアナタにも深く感謝をさせて頂く」


 依頼以上っても、ただ待ってるのも退屈だったから手伝っただけなんだけど。


「結局、ゴーストの類は出ませんでしたけど」

「ああ、その辺りはギルド員であるスフィルからの報告書で確認している。

 ただその他にも、調査の手伝いや魔法の解除等、色々協力してもらったようだ。

 アナタの協力なしでは期日内に依頼を完遂出来なかったとも報告を受けている」


 スフィル……褒めてくれるのは嬉しいけどなにもそこまで報告しなくても。


「こうしてこの場にアナタをお呼びしたのは、依頼を達成した事による報酬を支払う為だ。

 普通なら受付で報酬を受け取ってもらうのだが、報告を聞けばこちらからの依頼以上に協力してくれたとの事。

 その事への感謝を込め、アナタにはこの場で何らかの追加報酬をと考えている」


 え? いやちょっと待て。

追加報酬なんかてそうホイホイと出せるモンじゃないでしょ。


「ちょっと待ってください、私が勝手にやった事なのにそう簡単に追加報酬なんて出していいんですか?」

「無論、ちゃんとした理由はある。

 今回は期日がギリギリだった事も含め、彼女1人ではどうしようもなかった障害を排除してもらったとの事だからだ。

 それがなければ調査結果に不備が出ていた可能性もあるし事実、価値ある品であるグリモアも見つかったと聞いている。

 今回の追加報酬を出すに至った理由はそのところだよ」


 どうしようもない障害って多分最後の部屋の扉の事だよね。

アレってネコちゃんのためにやったんだけどなー……でもギルド側からすれば私がやった事に差はないっか。


「なるほど……分かりました」

「それで具体的には、銀貨1枚と半銀貨5枚を報酬に上乗せするか、アナタは魔術師でもあるようなので希望する魔法を1つ追加報酬として出そうと思うのだがいかがだろうか。

 無論、どんな魔法でもという訳にはいかないが……」

「お金の追加か魔法かどっちか選べばいいって事ですか?」

「うむ、その通りだ」


 それなら魔法かなー。お金なら一応魔石の売上金なんていう奥の手があるんだし。


「それじゃ魔法でお願いします。どんな魔法があるんですか?」

「魔法の種類をここで1つずつ挙げていくには多過ぎるほどに数が多い。よって希望する効果を言ってくれれば、それに沿った効果を持つ魔法を私の方から提案させて頂こう」


 そっか。魔法なんて作られた魔法陣の数だけあるって事だよねー。


 それにしても欲しい効果か。うーん、何がいいんだろう。

屋敷で使った『軽量』は面白かったけど、そうそう使うモンでもないだろーし。


 あ、そうだ。


「身体を強化するような魔法とか無いですか? 例えば力が強くなるとか」

「あー……ハルナ、それは止めといた方がいいと思うわよ」


 横からスフィルが待ったをかける。


「え、どうして?」

「使ったあとの反動が酷いのよ。一度だけ『身体強化』を掛けてもらった事あるんだけど、効果時間が短い上に、その後体中が痛くて痛くて2~3日まともに動けなかったわ……」

「う。そんなのじゃ気軽に使えないかな……」


 うーん、それならどうしたもんか。


 ……ってそうだ。2~3日前に悩んだアレを相談してみよう。


「それなら何か自衛用に使える魔法ってないですか?

 人に向けても問題の無い、誰も傷付けない魔法がいいんですが」

「殺傷力の無い自衛用の魔法か。……それなら『盾』や『結界』、あとは『捕縛』と言ったところかな」

「それぞれどんな魔法なんですか?」

「『盾』は文字通り小型の魔力の盾を作る魔法だ。ただ普通に使うと盾が動かせない為、杖等の道具を利用して使うのが一般的であるな。

 『結界』は『盾』の魔法を術者の周りに張り巡らせる魔法と思ってくれて問題無い。こちらも道具での使用を前提とした魔法だ。

 『捕縛』は対象を魔力で縛るといった魔法だ。自分を守るのではなく、相手を動けなくする魔法だな」


 おー、色々出てきたよ。


「その中から選ぶとしたら『捕縛』がいいですね。まだ杖とかの道具は持ってませんし」

「ふむ、了解した。ではアナタのグリモアを少しお借りしたい。『捕縛』の魔法を入れてお返ししよう」

「分かりました、お願いします」


 そう言ってグリモアを取り出しデルディさんに手渡す。

なんとなくグリモアを持って来ててよかったよ。


「では、少し失礼する」


 そう言ってデルディさんはグリモアを持って部屋を出て行ってしまった。


 そのままスフィルとお喋りしながら待つ事約10分、デルディさんはグリモアと小袋を持って戻ってきた。


「お待たせした。こちらが報酬の銀貨3枚となる、確認して頂きたい。

 またグリモアの方にも『捕縛』の魔法を追加しておいた。こちらも合わせて確認をお願いする」


 差し出された小袋を開けると確かに銀貨が3枚入っていた。グリモアの方も開いてみると最後に魔法陣が1つ追加されている。


「確かに、両方とも受け取りました」


 受け取った銀貨とグリモアを片付ける。

そう言えばネコちゃんはどうなったんだろうか。


「ところで、1つ聞きたいんですけど」

「なんだろうか?」

「私達の調査した屋敷の2階に、ネコちゃんが4匹居たと思うんですけどどうなりました?」

「報告にあった野良ネコ達なら、今朝からギルドに張り紙を出し飼い主を募集中だ。

 飼い主が見付かり次第そちらに預けられる事になっている。

 依頼を出しに来たりする一般の方々の目にも触れる位置だ、すぐに飼い主が見つかるだろう」

「そうですか、分かりました」


 スフィルが報告してくれたお陰か、ちゃんとギルドで対処してくれているようである。

これで飼い主が無事に見つかってくれれば私としては満足だ。


 さて、ネコちゃんの事を確認出来たし報酬もキチンと貰えたし。

ギルドでの用事はこれでおしまいかな。


「さて、私からの用件は以上だが、そちらからは何か聞きたい事は?」

「いえ、特にはありません。……それでは、私はそろそろ失礼しますね」

「了解した。また何かお願いする事があるかもしれないが、その時は是非とも前向きに検討して頂きたい」


 こらこら、外部の人間になにを言う。


「そんな事言っていいんですか? 私はギルド員じゃないんですけど」

「エクソシストや魔術師はギルド員にも数が少なく、常に人手が不足している状態なのだ。

 可能ならば、アナタをこの場でギルドに勧誘したいぐらいだ。

 もしアナタがギルドに所属してもいいと思ったのなら、いつでも訪ねてきて欲しい」


 うわ、デルディさんもなかなか苦労されてるようで……。

それにしてもギルドに所属かー。それは考えなかったなぁ。


 まあ、今はそれは保留だ。その辺りは儀式が終わってから考えればいいだろう。


「その時はよろしくお願いします。

 それでは、失礼します」


 ペコリ、と一礼して部屋を後にする。

そのままギルドを出て、うーんと背伸びをする。


 さて、これからどうするかな。


補足:追加報酬はエクソシストとしてではなく、魔術師としての働きに対するモノだと思って下さい。


支部長:早口で小難しい事を言う人

なんて設定付けるんじゃなかった。表現が難しいぃ。


そして話が進まない……新展開はどこいった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ