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19 実践! 魔法教室 その3

ポイント評価やお気に入り登録して下さった方、ありがとうございます。

とても励みになっています。

「魔法の補助道具には大きく分けて3つの種類がある。

 1つ目が杖に分類される魔法陣の展開を補助するもの、

 2つ目は本じゃな。これは主に魔法陣を記録するために使われる。

 3つ目は装飾品じゃ。指輪や首飾りといった装飾品をの形をする事が多いからこう呼ばれておる。主に魔力を高めたりする効果のある物じゃな」


 ほうほう、なるほど。


「それでは実物を見ながら1つ1つ解説といこうかの。

 ……ちょっと待っておれ、今持ってくるわい」


 マレイトさんは部屋を出て行ってしまった。

この部屋に置いてなかったのね……。


 5分も経たずにマレイトさんは戻ってきた。手には杖やら本やらを抱えている。


「ふぅ、待たせたの。それでは順に説明していくとしよう」


 持ってきた荷物の中から杖を手に取るマレイトさん。


「まずは1つ目、杖じゃな。こっちの長いのがロッド、こっちの短いのがワンドと呼ばれておる」


 長い方は大体身長の半分ぐらいの長さで、短い方は二の腕ぐらいの長さだ。

どちらも材質は木のようだが色々装飾がなされている。


「ロッドもワンドも役割や使い方は一緒じゃ。これらの杖には魔法陣が登録されていての、魔力を流すだけで登録してある魔法陣を形成してくれるんじゃ」

「自分で魔力を操作して流して、魔法陣を作る必要がないって事ですか?」

「その通りじゃ。これはただ魔力を流すだけで勝手に魔法陣が組みあがるんじゃ」

「へー、便利ですね」

「魔法陣を覚える必要がないと言うのも利点かのう」


 いいなーそれ。あったらかなり便利だし。


「その、長いのと短いので何か差はあるんですか?」

「一度に登録しておける魔法陣の数に差があってな、ロッドは4つ、ワンドは2つがいいとこじゃの」


 大きい方がたくさん入るって事なんだろーか。


「どれ、実践して見せるかの」


 そう言って杖を構えるマレイトさん。

杖から魔力が流れ出し魔法陣が形成されていくのが目に見える。

細かい魔力の操作が必要ない為か、展開速度はかなり早い。


「こんな感じじゃな。あとはこの魔法陣に魔力を流すだけで魔法が発動するぞい」


 こりゃ便利だわ。あと面白そうだからやってみたい。


「やってみるかの?」


 杖(ロッドだっけ?)を差し出すマレイトさん。


「いいんですか?」

「ランタンを見た時と同じ様な顔をしとるぞ?」


 う、また顔に出てたらしい。


「あはは……それじゃやらせてもらいます」

「魔力の流しすぎには気をつけるんじゃぞ。さすがに爆発はせんと思うが……」

「う、気をつけマス……」


 ロッドを受け取り多少片言になりながら返事を返す。


「手元に出っ張りが4つあるじゃろ? その出っ張のどれか1つに指を当てて魔力を流せばいいんじゃ」


 手元を確かめると、確かにボタンのようなモノが4つ付いている。

このボタン1つ1つが登録されているという各魔法陣に対応してるのだろう。


 ロッドを構え、一番手近なボタンに指を乗せる。


「いきますよー」


 宣言をして魔力を流す。流す魔力は自分で魔法陣を作る時ぐらいの量だ。

そして瞬時に展開される魔法陣。


 おー、出来た。


「いいですねーこれ。凄い便利です」

「……嬢ちゃん。魔法陣が一瞬で完成したぞい、一体どれだけ魔力を込めたんじゃ」

「どれだけって……練習で魔法陣作った時ぐらいの量ですけど」

「普通に魔法陣を作る時にそれだけの量を込めとるのか……こりゃ末恐ろしいの」


 なにやら呆れ顔のマレイトさん。


「なんかマズかったですか?」

「今はまだ不慣れじゃろうから目立った差はないがの、魔法陣の展開に慣れてくると込める魔力の量によって展開速度に差が出るようになるんじゃ。

 どれだけ魔法陣を早く展開出来るかで魔術師としての実力を見られる、と言うのがあるぐらいでの。

 嬢ちゃんが魔法陣の展開に慣れてくれば、今ロッドを使ってやったように一瞬で魔法陣を展開する、なんて事も可能になると思うぞい」


 確かに今はまだ見本を見ながらだしなぁ……。


「まあ、それはまだ先になりそうですけど」

「そうなれる可能性があるという事じゃ。追々頑張ればよかろう」

「そうですね、ゆっくりやる事にします」


 焦らない、焦らない。






「次は2つ目、本じゃな。魔術書やグリモアとも呼ばれておるの」


 そう言ってマレイトさんはA4版ぐらいの大きさをした本を手に取った。

見た感じ黒いハードカバーの本で厚さは5cmぐらいありそうだ。


「グリモアの特徴は魔法陣を記録しておける事じゃな。魔法店で魔法陣を購入した際、これに記録するのが一般的な使い方じゃな」


 魔法店? 購入?


「あの、魔法店というのは……あと魔法陣って買う物なんですか?」

「嬢ちゃんは入った事がないかもしれんが、魔法陣は魔法店で売られてる物なんじゃ。

 大体の魔術師はこういった店で魔法陣を購入して、新しい魔法を使えるようになるんじゃぞ」

「あ、じゃあマレイトさんの仕事って……」

「うむ、そういった店に新しい魔法陣や既存の物より効率のいい魔法陣を作り、売るのがわしの仕事じゃな」

「なるほど、よく分かりました」


 魔法って買うものだったんだ……知らなかったなー。


「話が逸れたの、次は使い方の説明じゃな。

 と言うても割と簡単での。登録したい魔法陣を展開し、グリモアの表紙に描かれている魔法陣に当てるだけじゃ。これで登録が完了するぞい。

 登録した魔法陣を見る場合はこうやってグリモアを開いて……」


 あれ、説明の途中で止まった? ……と思ったら本を差し出してきた。


「これは実際にやった方が分かりやすいじゃろ。グリモアを開いてみてくれ」


 そういう事ならと本を受け取り、最初のページを開こうとして気がついた。


 この本、2ページしかない。


 5cmぐらいある分厚い本の中身は中央で2つに割れるだけで、他のページと思われる部分は存在しなかった。


 中央で開いた本の左側のページには魔法陣の一覧が。右側のページは白紙となっている。


「左側に登録した魔法陣の一覧が載っとる筈じゃ。適当にどれか1つを選んで指で押さえてみてくれ」


 言われた通り、6つほど並んでいる一覧から適当に1つを指で押さえてみる。

そうすると右側のページに魔法陣が浮かび上がった。


 おー。こうやって使うんだ。


「右側に魔法陣が浮かび上がったじゃろ? あとはそれを見ながら魔法陣を組み上げればいいのじゃ」

「なるほどー。これがあれば魔法陣を丸暗記する必要なくなりますね」

「覚えられるならそっちの方がいいんじゃがのう」

「1つ2つならまだしも10も20も覚えられませんって」

「まあ、そういった事態を想定した道具じゃからな。

 これは魔法陣を10個登録するのがいいとこじゃが、もっといいグリモアになると20、30と記録できる物もあるぞい」

「色々あるんですね」

「そういった物は高級品じゃがの。かなり値が張りよるわい」

「へぇ……例えばこの10個登録できるのでいくらぐらいするんですか?」

「それはわしのお古なんじゃが……確か半金貨1枚で買った覚えがあるの」


 半金貨1枚ってーと……10万円!?

これで10万っていいやつはどんだけ高いんだろ……。


「高い物なんですね……」

「まあ、魔術用品……魔法を補佐してくれる道具の事なんじゃが、こういった物はかなり値が張るのう」

「私にはとても手が出そうにないですね」


 この分だとロッドやワンドとかもかなり高そうだし。

10万もするようなモンをぽんっと買えるかっ。


「あー、ところでそのグリモアなんじゃが……実は嬢ちゃんにプレゼントしようと思っとるんじゃ」


 ……はい?


「え? なんですかいきなり?」

「確か嬢ちゃん、今度王都まで行くと言っておったろう? 馬車を使うにしても、道中はなにかと危険が付き纏うでな。自衛手段の1つぐらいはあったほうがいいと言うのが理由じゃな」

「はあ……」

「付け加えるなら、今日嬢ちゃんがやった解呪の、わしからの個人的な報酬の意味もある。やはり何もなしという訳にはいかんからの、受け取ってもらえると助かるんじゃが」


 個人的な報酬っか。これを断ったらいつまでも気にしてそうだなー。


「分かりました、そういう事でしたらありがたく受け取らせて頂きます」

「うむ、わしのお古で悪いがまだまだ使えるはずじゃ。上手く役立ててくれい」

「はい、ありがとうございます」


 ところでこれ、どんな魔法が登録されてるんだろう? さっきいくつか魔法陣が登録されてるのを見たはず……。


「マレイトさん、このグリモアにはどんな効果の魔法陣が登録されてるんですか?」

「ああ、順に『光源』、『湧水』、『送風』、『発火』、『負傷治癒』、『火炎弾』じゃな」

「6つも……いいんですか?」


 確か魔法陣って買う物だよね? さっきマレイトさんもそう言ってたし。


「道中、あれば便利なものと自衛用を纏めてみたんじゃ。まあこれも報酬の一部だと思ってくれい」

「それ、さすがに貰いすぎな気がしますが……」

「まあ、ちと予定外な部分もあっての。儲けたと思って使ってくれい」


 予定外? なんだろ。


「予定外、ですか?」

「まあ、気にせんでくれ。それより各魔法の効果は分かるかの?」

「『発火』、『負傷治癒』、『火炎弾』は初めて聞きましたけど大体想像つきますね。

 『発火』はなにかに火を着ける効果で、『負傷治癒』は傷の治療。『火炎弾』は自衛用の攻撃魔法、で合ってますか?」

「うむ、その通りじゃ。ただ『負傷治癒』は消費魔力が大きいのが欠点なんじゃが……嬢ちゃんなら問題なかろう?」


 確かに魔力だけはいくらでもある……と言うか減るという感覚がないので消費魔力が大きかろうが全然問題はない。


「あとは『火炎弾』じゃが、これは1度試し撃ちをした方がいいじゃろうな。込めた魔力によって威力が変わるでの、大体の感覚を掴んでおかんと加減が効かんぞい」

「試し撃ちって……ここでやるんですか?」

「道具の説明が終わってからじゃがの。あとで的を用意するぞい」


 まあ、町中で試し撃ちするわけにもいかないし、ちょうどいいっちゃいいのか。


「そうですね……よろしくお願いします」

「うむ。では最後、3つ目の装飾品についてじゃ」


 装飾品かー。指輪や首飾りって話だけど、どんな効果があるのかな。


「まあこれは初めに軽く解説した通りの物なんじゃがな。

 魔石を指輪や首飾りに加工し、少しじゃが魔力を高めたり、消費する魔力の肩代わりをしてくれる効果があるんじゃ」


 うーん、装飾品には興味あるけど、今のところどっちの効果も私には必要なさそうだなー。


「あとはそうじゃの……身につけた本人の身代わりになって破損するような物もこれに含まれるかの。もっとも、王族でも手に取る機会があるかどうか分からん超貴重品になっとるが……」


 うわ、そんなのまであるんだ。


「道具の説明は大体こんなところかのう」

「大体分かりました、ありがとうございます」


 次は魔法の試し撃ち、かな?


「予定外」の部分についてはそのうち説明……出来るかなー。

決まってはいるけど出すタイミングがないという。




以下連絡事項です。

明日、11月4日の投稿をお休みさせて頂きます。

楽しみにして下さってる方々には申し訳ありませんが、ご容赦下さい。

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