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14 魔法の種類と使い方

2014/03/30 ふりがな表記をカタカナに修正

 マレイトさんとの話を終え、一旦昼食を取りに市場へ足を向けた後、私は急ぎ足で再び雑貨店まで戻ってきていた。


 あの後、マレイトさんとの話し合いで魔法の基本を身につけるなら早い方がいいと言う事になり、今日この後、私の予定がない事を伝えると早速魔法の基本を……という事になったのだ。

なぜ早い方がいいのかと聞くと、魔力の扱いにある程度慣れる必要があるからとの事。


 急いで戻ってきたのは、お店の後片付けの手伝いをする為だったりする。


 辺り一面真っ白になってたからなぁ……。


 店の扉にはClosedを示すと思われるプレートが掛かってるが、気にせず中へと足を踏み入れる。


「ん? 嬢ちゃんか。なんじゃ、もう戻ってきたのか」

「汚してしまったとこが気になりまして。早めに後片付けしときたかったですからね」

「マメな嬢ちゃんだの、じゃが後片付けはほぼ終わってしもたぞ?」

「えぇ!? この短時間にですか?」


 掃除機があれば終わるかもしれないが、この世界にそんな物があるとは思えない。


「飛び散った粉末を吸収するだけじゃからな、『吸引』の魔法であっという間じゃ」


 あー、魔法ね。なるほど。


「そんな魔法があるんですか……」

「わしの開発した魔法陣じゃ。魔法はこんな風に生活に便利な道具として使って欲しいもんなのじゃがのぅ」

「その言い方からするとなんか違いそうですね」

「うむ。わしのところに来る開発依頼も、他者を傷付け攻撃するようなものが大半を占めよるわい」

「そんな魔法の実験ってなんか危なそうなんですけど」

「安心せい、そんな依頼は基本的に受けん事にしておる。手伝いをお願いしたいのは、最初に言ったような生活を便利にするような魔法陣の開発じゃ」

「そうですか、安心しました」


 などと話しているうちに後片付け完了。


「さて、研究室へ行こうかの。魔法について教えるぞい」

「……今更ですがお店はどうするんですか?」

「今日はもう閉店じゃ」


 いいのかヲイ。大事な副業でしょーに。


「半分趣味でやっとる店だと言ったろう。ここら辺じゃ既に『品揃えはいいし値段も安いがいつ開くかは気分次第な店』と言われておる」


 胸張って言わないで下さい。そんなのでよく客が来るなー……。


「まぁ、マレイトさんがいいと言うならいいんでしょうが……」

「いいんじゃよ。ほれ、行くぞい」






 研究室(最初に通された奥の部屋)に入った私は椅子に座って黒板(?)の前に立つマレイトさんを見ている。


 この世界にも黒板あるんだねー……。


 妙な所で感心してるとマレイトさんが話し始めた。


「では、魔法についての基礎知識を今から話すが……嬢ちゃんは魔法についてはどこまで知ってるのかね?」

「なにも知らないも同然ですから、最初から話して頂けると助かります」

「そうか……確か魔力を扱ったのも初めてじゃったな」

「ええ、ですから全く何も知らないと思ってもらって構いません」

「分かった、最初から話すとしよう」


 さて、どんな話が聞けるのかな?


「一般的に、魔法は大別して4つの種類があると言われておる。

 1つ目は神の力を直接借りると言われている神聖魔法、

 2つ目は御使い様の力を借りる破邪魔法。

 3つ目が精霊の力を借りる精霊魔法、

 最後、4つ目は我々が一般的に魔法と呼んでいる魔法陣魔法じゃな」


 出たよ御使い様。しかも魔法の系統になっちゃってるよ。


「特徴を1つずつ説明して行くぞい。まずは2つ目、破邪魔法からじゃ」

「あれ、1つ目の神聖魔法からじゃないんですか?」

「うむ。あとで話す予定じゃったんじゃが……今は神聖魔法を使える人が誰もおらんでな。名前だけが残ってる状態なんじゃよ」

「使える人が居ないのに名前があるんですか?」

「ま、その辺の事も含めてあとで話そう。まずは破邪魔法じゃ」


 破邪魔法ねぇ。エクソシストや御使い様関連っぽいから私が使えるとしたらコレになるんだろーけど。


「破邪魔法とは、御使い様と呼ばれる存在の力を借りて行使される魔法の総称じゃな。

 デーモンやゴースト等、実体がない等の理由で普通の魔法が効かない相手に対して有効な魔法じゃ」

「どんな効果を持った魔法があるんですか?」

「この魔法を使える人自体が少なくての、あまりわしも知らんのだが、聞いた話によると実体のないゴーストに対して打撃が効くようになったと言う話を聞いたの」


 うーん、大鎌があればそれは必要ない気がする……。まぁ、誰かと組んでって話になると必要なのかね。


「次は3つ目、精霊魔法の説明じゃ。これは精霊と言われる存在と『契約』する事によりその力を借りた魔法が使えるようになる。

 ただ、この魔法の使い手も破邪魔法程ではないが数が少なくての……。情報があまりない上に、どこでどうやって契約したと言った内容は秘匿されており、その方法は明かされてはおらんのじゃよ」

「へぇ……誰でも使える魔法じゃないんですね」

「うむ。神聖魔法、破邪魔法、精霊魔法の3つは特別じゃな。一般的に魔法と言えば4つ目の魔法陣魔法を指すことが多いの」


 レア度が高い魔法かー。どんな効果があるかちょっと気になる。


「精霊魔法はどんな事が出来るんですか?」

「やれる事自体は魔法陣魔法とそう変わらんが、手間と威力が段違いじゃな。

 魔法陣魔法で火の玉を飛ばそうと思ったら、まず正確な魔法陣を作り、そこに魔力を流し込んで初めて効果が発揮されるんじゃが、精霊魔法の場合、使用者の意思と掛け声1つで同じ事が出来るんじゃ。効果も精霊魔法の方が高いしの」


 使い手が少ないって割に詳しいね。見た事でもあるんだろーか。


「見た事あるんですか?」

「ああ、以前に1度だけ見る機会があっての。手間の少なさと効果の高さに呆れたもんだわい。これは聞いた話なんじゃが、デーモンやゴーストに対してもある程度の効果があるらしい」


 へー、お手軽で強力っか。使えるならこっちを使いたいね。


「次は4つ目、魔法陣魔法なんじゃが、これは少々長くなるでな。先に1つ目の神聖魔法の説明をするぞい。

 とは言っても、大雑把な説明はさっきしてしもうたから補足だけになるが……」


 確か名前だけ残ってる魔法だっけ。


「この魔法は古い文献の中で存在のみが語られてての、どうやって使うのか、どんな効果があったかすら分からん謎の魔法なんじゃ。一説によると死者の蘇生だとか過去に戻れるだとか言われてるようじゃが……どれも眉唾じゃな」


 なんかもう都市伝説とゆーか……なんでもアリだなー。


「要は、古い文献には載ってるがよく分からない魔法ってことですね……」

「まあ、その通りじゃな」


 まぁ、これは名前だけ覚えとけばいっか。


「次で最後じゃな。4つ目、魔法陣魔法じゃ。精霊魔法の所でチラッと言うたと思うが、魔法陣を用意しそこに魔力を流す事によって効果が得られる魔法じゃ。

 どのような効果が得られるかは全て魔法陣によって決まるのが特徴じゃな。

 また魔法陣を道具に刻み、そこに魔力を流す事によって効果を得る事も可能じゃ。さっき嬢ちゃんが吹っ飛ばしたランタンもその1種じゃの」


 ぅ、ランタンの事は忘れてくださいっ。


 それにしても魔法陣か。どんなのがあるか気になるし、見てみたいなー。

魔力さえあれば使えるようだから、私にも使えるかもしんないし。


「大雑把な説明じゃったが、魔法の種類については以上じゃな。質問はあるかの?」


 よく分からない魔法の神聖魔法、御使い様絡みの破邪魔法、精霊の力を借りる精霊魔法、魔法陣を使う魔法陣魔法っと。

よし、多分大丈夫。


「大体分かりましたので大丈夫です」

「ふむ、では次じゃな。次は魔法陣について簡単に説明するぞい」


 魔法陣ね。私に理解できる話だったらいいんだけど。


「魔法陣魔法を使うには、さっきも言ったがまず魔法陣を描く必要があるんじゃ。そしてその魔法陣の描き方は大きく分けて2通りの方法があるんじゃ」

「その、魔法陣を地面に描いたり、ですか?」

「その通り。1つ目の方法が革や何らかの板、地面等に実際に刻み付ける方法じゃな」


 革や板って……紙の代わりかな?


「利点は事前に魔法陣を準備出来る事、魔法陣に間違いがあった場合見付けやすい事、あとは複数回使える事じゃな。欠点は準備に時間がかかること、それから持ち運びが不便な点じゃ」


 確かに持ち運びは不便な気がする……大量の革や板をえっちらおっちら抱えて歩く魔法使いなんて光景は結構シュールだし。


「2つ目の方法が、魔力で空中に魔法陣を描く方法じゃ。こっちは1回きりの使い捨てじゃが魔法陣さえ覚えていればいつでもどこでも使用できる点が利点じゃな。欠点は魔法陣を暗記する必要があるのと、魔力で魔法陣を描くため、魔力の扱いに少々の慣れが必要な点じゃ」


 空中にぽわーっと魔法陣を描いて魔法が使えるのかな?

やれるならこっちのほうがいいなー。


「嬢ちゃんには出来れば2つ目のやり方を覚えてもらいたいんじゃがの。新しく魔法陣を作るのがわしの仕事なんじゃが、魔法陣の細部を変えたりする度に一々魔法陣を革に刻み付けなおしてたら、時間が掛かってしょうがないでな」


 細かな点を変更して実験、っか。確かにありそうだわ。

空中に魔法陣を描けるようになるのは私の要望的にも問題なし。


「分かりました、頑張って覚えてみます」

「あとはやり方なんじゃが、それはこの後実践の時に説明させてもらうぞい」

「よろしくお願いします」

「それでは次じゃ。次は実践じゃの」


 ようやく実践っか、ちょっと楽しみだ。

実際に魔法を使えるかもしれないってなると、なんかわくわくするなー。


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