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宰相の隣国行き

大変お待たせしました。やっと書けました。

「陛下…?」


宰相もオルティス公爵も怪訝そうにアレクセイの方を見つめます。


「いったい何をおっしゃっておいでなのですか?」



「……。」

アレクセイは二人を無言で睨みつけます。



「どうなされたというのですか、陛下?」

宰相がアレクセイを宥めるように話しかけます。



「どうしただと?それはこちらの言うことだ、宰相!今まで何も言わなかったがそもそも、ハリス伯爵といい、大臣といい特別扱いしたのが原因ではないのか。」

アレクセイは少し興奮したように宰相に言い募ります。



「……。」

宰相はたらりと冷や汗を流して黙りこくってしまいました。


確かにそれはその通りなのですが、いまここで言わなくても…。

そもそも何も言わなかったのは了承していたと言うことでは…!

そんな思いが宰相の心の中でうずまきます。



「恐れながら陛下、なぜいまそのようなことを仰せなのでしょうか?」

みかねたオルティス公爵が口をはさみます。



「オルティス公爵、いまだから申しておる。」

アレクセイは少し憤慨したように答えます。



「は、さようで…。仰せはごもっともではございますが、この問題を解決するのが先決ではありますまいか?」

チラリと宰相の方を見ながら答えます。



「分かったようなことを言うな…!」

アレクセイは痛いところをつかれて、思わず叫んでしまいました。



「へ、陛下…!」

宰相は、妹の王太后の一人息子であるアレクセイの今までにない様子にすっかり動揺してしまいました。


アレクセイの父が早くに亡くなったあと、アレクセイを国王に祭り上げてここまで支えてきた私に対して…。



「…宰相、これはそなたが招いたことだ。そなたが処理をせよ!」

アレクセイが吐き捨てるように宰相に言い放ちます。



「な、何を仰せられます…!確かに特別扱いしたかもしれませんが、彼等は陛下を国王に即位される折りに協力してしてくれた恩人にございます。お忘れにございますか。」

憤慨したように宰相が答えます。



「忘れてなどおらぬ。しかし、その結果がこれか…?」

冷ややかな声でアレクセイが宰相に尋ねます。



「そ、それは、このようなことになるとは私も思いもよらぬことでしたので…。」

宰相はうっと、つまりながら答えます。



「思いもよらぬか…。しかし、以前私が、特別扱いし過ぎではないかと申したとき、宰相いや叔父君は、”気にされることではこざいません。私にお任せいただければ悪いようにはいたしません”と言ったであろう。」



「確かに申しました…。」



「ならば、その責任をとるがよい。」

冷ややかな声でアレクセイが言います。



「はっ…。」

宰相がすっかり肩を落として答えます。




しばらく沈黙が続いた後、さすがにみかねたオルティス公爵が、

「陛下、お気持ちはお察し申し上げますが、これはいかがかと存じます。」



「オルティス公爵、余計なことだ…。」

アレクセイが不機嫌そうに答えます。



「申し訳ございません、陛下。ですが…」


「オルティス公爵、控えよ!」

アレクセイはジロリと睨んで、オルティス公爵を黙らせます。



「宰相いや叔父君、隣国へ行きこの件を上手く処理して下さい。いいですね?」

アレクセイが真剣な表情で宰相に伝えます。



「はっ…。承りました、陛下。」

唇を噛み締めて宰相が答えます。



「宰相なら上手く処理してくれることを信じていますよ。」

アレクセイは複雑な表情で宰相に伝えます。



「恐れ入ります、陛下。ご期待に添えるよう努めます。」

宰相は礼をしてそう言うと、オルティス公爵をジロリと睨むとさっさと部屋を出て行きました。





「…よろしかったのでございますか、陛下?」

アレクセイを窺うようにオルティス公爵が尋ねてきました。



アレクセイはその言葉を聞くとピクリと眉をひそめて、

「何をだ?」



「恐れながら宰相さまの隣国行きのことでございます…。」



「…オルティス公爵は宰相が気に入らぬと見えるな。」

アレクセイが冷ややかにオルティス公爵に答えます。



「そっ、そのようなことは…。ただ、私は原因をつくられた方にお任せするのはいかがかと…」

オルティス公爵は少し怯みながら、言い募ります。



「黙れ。宰相だけに原因があるのではない。」

少し憤慨したようにアレクセイが言います。



その言葉を聞いたオルティス公爵は、ハッとしてしまいました。


国王になったばかりのアレクセイとはまるで違う人間になったようでした。


何も分からず母や叔父の言いなりになっている国王に嫌気がさして、中立派と言えば聞こえはいいですが、遠巻きに見ているだけでした。


愛する人がいると違うものなのか…。



「…恐れ入ります、陛下。」

オルティス公爵は、思わず縮こまって返事をします。



「オルティス公爵、そなたにも原因がある。そしてこの私にも、な…。」

アレクセイは自嘲するように苦笑いしながら言います。




お読みいただいてありがとうございます。お気に入りもありがとうございます。


すごく嬉しいです。 でも、意見を頂いたりするとストーリーを変えそうな小心者の作者なので、もうしばらく検索除外でいきたいと思います。勝手ながらよろしくお願いしますm(_ _)m



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