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レオンの帰宅

すみません。王太后の登場はありません。次回はきっと…。

「…だんなさま、陛下にお願いしてよろしかったのですか?」

メアリーが心配そうにレオンに尋ねます。


「いいんだよ。あのくらいしないとね、義姉君もここに戻ってきてもつらいだけだからね。」

レオンはそう言うとメアリーにいたずらっぽくウインタしました。



「ま、確かにそうですけど…。」

メアリーも同意するように答えます。



「そうだろ?それより、もう今日はもう邸に帰らないといろいろ手配しないといけないし…。ねぇ、もう帰っていいんでしょ?」

側に控えていた侍従にレオンが尋ねます。



「はい。大臣さまとの謁見が終了後、公爵さま方にはお帰りいただくように陛下から申しつかっております。お帰りでございましたら、馬車をご用意いたしますので少しお待ち願えますでしょうか?」

侍従が少し緊張気味に答えます。



「いや、馬車はよい。待たせておるゆえな…。」

オルティス公爵が口をはさみました。


「オルティス公爵どの、馬車を用意してくれると言うのになぜです?」

レオンが怪訝そうに尋ねます。



オルティス公爵は苦笑しながら、

「ロプーヒナ公爵どの、側妃のご実家なのですからあまり目立つ行動は差し控えられた方がよろしいと思ったまでのこと。王太后さまも側妃のころはそのようになされていたはずでは?」



「あ、そう言えばそうでした…。」

うっかりしていたようにレオンが答えます。



「それに、大臣さまはきっと王宮で用意した馬車でこれみよがしに帰られたでしょう?王妃候補と目される側妃の父を誇示するようにね。そうでしょう、侍従?」

ニヤリとするようにオルティス公爵は侍従に尋ねます。



「あ、はい。誇示なされたかどうかは分かりませんが、確かに王宮で用意した馬車で帰られたと聞いております。」



「ありがとう、侍従。ほら、ごらん。ロプーヒナ公爵、思った通りだ。だから我々は自分の馬車で帰ろう。」

ポンとレオンの肩を叩いて、オルティス公爵は帰りを促します。



「しかし、それでは大臣さまに負けたことになりませんか?」

レオンは抵抗するようにオルティス公爵に訴えます。



「分かってないですね、ロプーヒナ公爵いやレオンどのは…。皆、ナターリアさまに無理じいをした大臣さまの姿を夕べ見ているでしょう?」

クスクスと笑いながら、オルティス公爵が言います。



レオンはなんだか馬鹿にされたような気がして、ムッとして、

「それと馬車と何の関係があると言うのですか、オルティス公爵?」



「おおありですよ。つまり、大臣さまは自分で手を下してないとはいえ、第一王子の母であるナターリアさまに失礼を働いた。その直後、ナターリアさまが倒れられた。疑いをかけられたもの、ナターリアさまがご懐妊と判明したため、疑いは晴れ国王陛下の謝罪を受けて、王宮の馬車で意気揚々と帰られた。そして、ナターリアさまは離宮に行かれた。一方、ご実家のロプーヒナ公爵夫妻はご自分の馬車で帰られた。これを皆は、果してどう思いますかな?」

ニヤリと笑ってオルティス公爵はレオンに尋ねます。



「あ…!つまり、義姉君に同情が集まり、大臣さまに批難が集中すると言うわけですね。オルティス公爵は人望のある方と伺っておりましたが、なかなか意地の悪い方ですね。」

レオンは嬉しげにオルティス公爵に答えます。



「それは褒めていただいてるのか、それともけなされているのでしょうか、レオンどの?」

苦笑いしながらオルティス公爵が尋ねます。



「もちろん褒めております。けなすなどととんでもない。さすがはオルティス公爵でいらっしゃると…。」



「これは恐れ入ります。さあ、参りましょうか?まぁ、明日になれば、もしかすると大臣さまがナターリアさまを追い出したと噂になっておれば上々ですがな。」

フッと意地悪そうにオルティス公爵が言います。



「オルティス公爵どのもお人が悪い。まぁ、大臣さまには自業自得と言うところですが。」

レオンもフッと意地悪そうに微笑みました。



「そういうところですかな。ナターリアさまが王宮を出られた真相はどうあれ、皆はきっと大臣さまが圧力をかけて追い出したと見るでしょうからな。では、帰りましょう。侍従、陛下によろしく伝えてくれるか?」



「ははっ。承りました。確かに陛下にお伝え申し上げます。」

侍従は平伏して答えます。




側で聞いていたメアリーが少し怯えた表情で話しを聞いていました。

その様子を見たオルティス公爵夫人が気遣って、

「どうしました、ロプーヒナ公爵夫人?」



「いえ、あの…。」

メアリーは何と答えていいか分からず戸惑いがちに返事をします。



オルティス公爵夫人はニッコリと微笑んで、

「びっくりなさったのでしょう?でも、政治とはそういうものですわ。心配なさらないで、私たちがついております。」



「あ、ありがとうございます。オルティス公爵夫人にそう言っていただけると心強いですわ。」

メアリーは少しはにかんで答えます。



「まあ、可愛らしいこと。結婚前でしたら、私たちの嫁に欲しいところですわ。」

オルティスはニコニコと言います。



「だめですよ、オルティス公爵夫人。メアリーは僕の大事な妻ですからね。」

レオンは嫉妬したのか、メアリーを抱き寄せます。



「だ、だんなさまっ!人前ですから…。」

メアリーが恥ずかしそうに抵抗します。



「おやおや、仲のよろしいこと。レオンどの、妻はあまりに公爵夫人が可愛らしいのでつい言葉にしただけのこと。他意はないのだ、許してくれ。」

オルティス公爵が夫人に代わって謝罪します。



「分かっておりますよ。しかし、つい心配になりましてね。」

レオンはそう言うと、メアリーが愛しくてならないような表情で見つめます。


「これはすっかりあてられてしまいましたな。後は邸でゆっくりなさいませ。では、我々はこちらで…。」

オルティス公爵はそう言うと夫人と共に邸に帰りました。


レオンたちも自分の馬車で大臣とは違ってひっそりと帰りました。





このことが良かったのか大臣に関する噂が貴族たちの間で飛び交うようになりました。


夜会ではシャルロッテが王妃目前と言われていたと言うのに…。

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