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客室にて③

少し短いです。すみません。

さて、こちらは場所変わってナターリアのいる客室です。

ぼんやりとベットに横になっていたナターリアのもとにアレクセイとラウル卿がやってきました。


「失礼いたします。ナターリアさま、陛下がお越しでございます。」

ラウル卿がナターリアに告げました。


「……。」

ナターリアは何と言っていいかわからず、顔を何ともいえない表情をしたままベットに横になっていました。


「あの、ナターリアさま…。」

遠慮がちにラウル卿がナターリアに促します。


ナターリアは返事をしなければならないとは思いつつ、いま一番逢いたくない人、でも一番逢わなければならない人、それがアレクセイでした。


どうしようかしら…。

いまは逢いたくない。

でも…。





「あの、ラウル卿…。申し訳ないけれど、気分が優れないのでお帰りいただくように伝えていただけないかしら?」

無駄だとは思いつつ、ナターリアはため息をつきながら、ラウル卿に頼みます。




「さようでございますか…。ですが、一目なりともお逢いになれませんでしょうか?」

ラウル卿は申し訳ない思いでしたが、隣室に控えるしょんぼりとしたアレクセイのことを思い浮かべて、ナターリアに頼み込みます。



「それは…。あの、ラウル卿、お願いできないということ?」

ナターリアは唇をかみ締めながら、ラウル卿に尋ねます。



「いえ、そのようなことは…。かしこまりました。そのようにお伝えいたします。」

そう言うとラウル卿はナターリアのいる客室を出て、隣室のアレクセイにそのことを伝えに行きました。






「そ、そうなのか…。しかし、一目だけでも逢いたい。」

アレクセイは、恨みがましい目つきでラウル卿に言います。


「ですが、その…。側妃さまのご意向でございますので…。」

ラウル卿は国王陛下の意向は絶対だとは思いつつ、ナターリアのあのような姿ははじめてなので、どうしてよいかわからずに戸惑っておりました。



「あの、ラウル卿…。悪いが、一目だけでいいからとナターリアに伝えてもらえないだろうか?話したいこともあるし…。」

アレクセイは思いつめたようにラウル卿に命じます。


誤りたい…。

本当なら王妃候補としてのお披露目のはずだったのに…。



ラウル卿は、困った顔をしながら、

「かしこまりました。お伝えしてまいります。」

そう言って、ナターリアのもとへ行きました。



弱りきったラウル卿がナターリアのもとへやってきました。

「あの、ナターリアさま…。」

言いづらそうにラウル卿がナターリアに話しかけます。


「無理でしたの、ラウル卿?」

ナターリアがベットから身を起こして、不機嫌そうにラウル卿に尋ねます。



「申し訳ございません、ナターリアさま。一目なりと陛下が仰せられまして。お話しになりたいことがおありのご様子にございます。」

ラウル卿は平謝りをして、ビクビクしながらナターリアに答えます。



「分かりました。私は話すことはないのだけれど…。」

はき捨てるようにナターリアはそう言うと、側にいた侍女に身支度を整えさせました。




「ナターリア…。」

アレクセイがこわごわと部屋に入ってきました。



「アレクセイさま、ようこそおいでくださいました。」

ナターリアがいつもと違って、冷淡な様子でアレクセイを迎えました。


「あの、ナターリア…。今日はすまなかった。」

アレクセイが申し訳なさそうにナターリアに話しかけます。


「いえ…。お話とは、そのことでしょうか?」

ナターリアが少し顔を強張らせて、アレクセイに尋ねます。


「それと…、ラウル卿から子ができたと報告を受けた。大事にしてくれ。私にできることはなんでもするから。」

アレクセイが少しうれしそうでしたが、腫れ物に触るようにナターリアに話しかけます。


「何でも、でございますか?」

ナターリアは眉をひそめてアレクセイに尋ねます。



「ああ…、今日のことのお詫びもかねて、出来ることはする。」

アレクセイは力強く言いました。



なんでも…。

それならば…。


「では、私をいますぐ王妃にして下さいませ。」

ナターリアはアレクセイを試すように言い放ちました。




「そ、それは…、ナターリア。申し訳ないが出来ない。」

アレクセイは力なく答えました。


「分かっておりますわ。でも、なんでもと、仰せられましたのに…。」

ナターリアは自嘲気味に言いました。



「すまない。でも、ナターリアを王妃にしたいという気持ちは本当なんだ。そのうちなんとか…。

アレクセイは、苦しそうにナターリアに言います。


分かってくれるだろうか…。

あの大臣の娘と隣国の王族との縁談さえなかったら、今頃は…。

ナターリア。


「そうですか…。でも、出来ない約束はなさらない方がいいのではないですか?」

ナターリアは、分かってはいてもつい言いたくなってしまい、辛らつな言葉がでてしまいました。


ナターリアのその的をついたような答えに、アレクセイは返す言葉もありませんでした。


「あの、アレクセイさま…。その代わりと言ってはなんですが、お願いがございますの?聞いていただけますか?」

ナターリアが少しあまえるようにアレクセイに尋ねます。



「何だ?私に出来ることなのか…?」

少し怯えるようにアレクセイが尋ねます。



「ええ。たいしたことではありませんわ。わたくし、しばらく里下がりをさせていただきたいのです。王子を連れて。」

にっこりと笑ってナターリアが言いました。









読んでいただいてありがとうございます。

拙い話でお恥ずかしいです。


ついにナターリアも陛下を見限るのかな…。


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