夜会③
すみません。更新が遅くなりました。
「まぁ、さようでございますか…。もし、ナターリアさま、お困りのことがございましたらおっしゃって下さいましね。私に出来ることでしたら、ご支援させていただきますので。」
中立派のオルティス公爵夫人が気の毒そうにナターリアに支援を約束します。
ナターリアはそれを聞いて、
嫌味など言われこそすれ、支援の申し出を言われるとは思ってもいませんでしたので、こんなことは社交辞令ではないかしらと思い、戸惑いながらも丁重に断りました。
「ありがとうございます、オルティス公爵夫人。ありがたいお申し出ではございますが、私は側妃の一人にすぎない身にございます。ご支援いただきましても、何のお返しも出来ませんので、お気持ちだけ頂戴いたします。」
「まぁ、ご遠慮には及びませんわ。ナターリアさまはご謙遜なされておられますが、側妃とは申しても第一王子さまのご生母ではございませんか!それなのに、このようなお扱いを受けておられるなんて、黙っておられませんわ。ねぇ、皆様方?」
オルティス公爵夫人が周りの貴族たちに呼びかけました。
周りにいた貴族たちは、あまりのことに憤慨する者、大臣に遠慮する者、いろいろでしたが中立派のオルティス公爵夫人の言葉は人望もありましたから無視出来るものではありません。
周りの人々が何人か、ナターリアに同情して次々と支援を申し出ました。
その様子に驚きを隠しきれないナターリアとロプーヒナ公爵夫妻がおりました。
あまりの展開に驚いて、どうしてよいかわからないナターリアに代わって公爵を継いだばかりのレオンが答えました。
「ありがとうございます、皆様方。ナターリアさまには、あまりの嬉しいお申し出に声も出ないようでございます。のちほど私の方からお返事させていただきたく存じます。」
「それもそうね。」
「ここでは人も多いことだし…。」
「では、お返事お待ちしておりますわ。」
オルティス公爵夫人がにこやかに答えます。
「ありがとうございます、オルティス公爵夫人。何分にも公爵位を継いだばかりの若輩者にございますれば、ご支援いただきますればナターリアさまや王子さまをお支えできるやも知れません。」
レオンが信じられない表情で緊張気味に受け答えします。
オルティス公爵夫人は、その様子を見て
訝し気に、
「確かレオンどのは、宰相さまのご子息であられましたな。父君からご支援はないのですか?」
それを聞いたレオンは、困り顔で、
「いえ、それはここではちょっと…。また改めてお話いたしますゆえ、ご容赦下さいますように。」
「そうですか…。ではお返事をお待ちすることにいたしましょうか。」
オルティス公爵夫人は、王太后の圧力でもあるのかしらと解釈して同情に満ちた顔で答えます。
それは支援を申し出た人々も同じことでした。
それを隣で聞いていたナターリアが何と思ったのか、執り成すように、
「レオンどの、誤解する言い方はしない方がよろしいのでは?」
「ナターリアさま、お気遣い恐れいりますが、ここは私にお任せ下さいますように。」
レオンがニヤッと笑って答えます。
レオンは、父に何かと兄と比べられてきましたので、次男であるがゆえに養子に出された恨みもあり父に復讐というか見返すチャンスとほくそ笑んでいました。
「そう?レオンどのがよろしいのならいいのだけど…。」
ナターリアは心配そうに答えます。
ナターリアは公爵家に育ったわりには政略結婚ではない仲の良い両親のもとで育ちましたので、そんなレオンの思いなど知る由もなく、ただ父君との仲がおかしなことにならないかしらと心配しているのでした。
「お姉さま、ご心配には及びませんわ。私の夫ですもの、なんとかいたしますわ。」
メアリーも心配そうな姉に向かって話しかけます。
「そうね…。」
ナターリアは少し疲れた表情で呟きました。
「それよりもお姉さま、お疲れではございませんの?少しお顔の色が優れないようですが…?」
メアリーは心配そうに姉を気遣います。
「いえ、だいじょうぶよ。夜会が慣れないものだから、疲れただけだわ。」
ナターリアは少し弱々しい表情で微笑みながら答えます。
「ナターリアさま、本当にお顔の色が優れないようでございますよ。もう下がられた方がよろしいのではございませんか?」
オルティス公爵夫人も気遣うように尋ねます。
「ありがとうございます。それではお言葉にあまえまして失礼をいたします。」
そう言って立ち去ろうとしたその時でした。
「ナターリアさま、お帰りでございますかな?」
取り巻きをつれた大臣が現れました。
次は大臣とナターリアとの初対面です。
どんなことになるやら…。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
こんな拙いお話しを読んで下さるお心の広い皆様に感謝しております。