ナターリアとアリスの会話①
更新が遅くなりました。あまり進んでません…。
「ナターリアさま!どうなさいました…。」
よろよろと王太后に仕える侍女に支えられて王太后の居室から戻ってきたナターリアに驚いて、アリスが叫び声を上げました。
「…ごめんなさい、マリア。急に気分が悪くなって、王太后さまが侍女どのを遣わして下さったの。」
ナターリアが弱々しく答えます。
「大丈夫でございますか、ナターリアさま?それにしても、王太后さまがこのようなお気遣いを…。おそれおおいことでございます。お世話をおかけいたしまして、感謝申し上げます。」
アリスは心配しながらも、送ってくれた侍女にお礼を言います。
「いえ、王太后さまの仰せにございますれば、お気になさいませんように。」
王太后に仕える侍女が無表情に答えます。
「さようでございますか。王太后さまに感謝申し上げておりますとお伝え下さいますようにお願い申し上げます。あとはこちらにお任せくださいませ。」
アリスはそう言うとナターリアを侍女から受け取りました。
そのとき、ナターリアもか細い声で侍女にお礼を伝えました。
「それでは私はこれにて失礼します。」
侍女は窺うようにそう言うと王太后のもとへ帰って行きました。
ナターリアはアリスに支えられて、寝室に横になりました。
「大丈夫でございますか、ナターリアさま?」
アリスが心配そうにナターリアに尋ねます。
「ええ、もう大丈夫。ありがとう、アリス。」ナターリアが安心したように微笑んで答えます。
「出かけられるときはお元気そうでしたのに、もしや、あちらで何かおありになったのですか?」
アリスが眉をひそめて尋ねます。
ナターリアはすっと体を起こして、すぐそばに控えていた侍女に、
「お水を持ってきてもらえる?」
そう言うと侍女は下がっていきました。
そして、二人だけになるとナターリアは先程の出来事を話し始めました。
「私の考えが少しあまかったようです。シャルロッテさまを応援なさっている王太后さまに申し上げれば、王妃になることはないと思ったのだけど…。やはりここは後宮、見返りがないと動かないのですね。」
ナターリアはそう言うと、ため息をつきました。
「ナターリアさま…。」
アリスは何と言っていいか分からず佇んでいますと、さきほどの侍女がお水を持ってきました。
「ありがとう。後は私が致しますから、下がっていてちょうだい。」
取り繕ったようにアリスはそう言うと、侍女を下がらせました。
アリスは微笑みながら、お水をナターリアに差し出しました。
「ナターリアさま、お水をどうぞ。」
「ありがとう。」
ナターリアは虚ろな様子でそう言うとお水をゆっくり飲みました。
「落ち着かれました?」
アリスは心配そうな様子で尋ねます。
「ええ。」
「あの、ナターリアさま…。お伺いしてもよろしいでしょうか?」
アリスが遠慮がちに切り出します。
「何かしら?」
「ナターリアさまはなぜ王妃になりたくないのでございますか?ロプーヒナ公爵家のためにこの後宮に入られたはずでございましょう。」
ナターリアは驚いて、
「アリスまでそんなことを言うの…?」
「申し訳ございません、ナターリアさま。ですけれど、後宮に入られたばかりとはいざ知らず、もうナターリアさまは国王陛下の寵妃で第一王子の母君であられます。」
アリスは恐縮しながらも言います。
「分かっているわ、そんなこと。だから、王太后さまのもとに行ったんじゃない!」
穏やかなナターリアが珍しく声を荒げます。
「いいえ、分かっておられませんわ。もうすでに、後戻りは出来ないのでございますよ。」
アリスが苦痛に満ちた顔で言います。
「では、私にどうしろと言うのです?まさかアリスまで王妃になれと…!」
ナターリアは唇を噛み締めながら言い返します。
読んでいただいてありがとうございます。
次はもう少し早く更新できるよう頑張ります。
ナターリアにとってつらい時期がやってきます。よければお付き合い下さい。