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王太后との会話④

お待たせしました。

ついに後宮の恐さが…

「いかがかしら、ナターリアどの?この話、あなたにとって悪い話ではないはずよ。ナターリアどののは望みどおり王妃にならずに妃の一人として後宮で過ごす代わりに幼なじみのカールとか申す者をテオドラの側近に説得をするだけでいいのよ。」

王太后は微笑んでナターリアに語りかけます。


しかし、ナターリアにとってはそれは悪魔のような微笑みに感じられました。


それというのも、隣国に嫁ぐ王女の側近といえば、出世街道のようですがそれは友好関係にある間柄だけのこと。

利害関係が一致しただけのこの場合、万一のことがあれば我が身はおろか王女の命さえ危ういのです。いわばていのいい左遷とも言えます。そんなところに誰が喜んで行くと言うのでしょうか。


たとえ王太后のたっての願いであったとしても…。



ナターリアは冷や汗をかきながら、言葉をふりしぼりながら答えました。

「そ、それは…。王太后さま、私にはとてもそのようなことは出来かねます。」


そんなナターリアの姿を見た王太后はくっと笑いながら、

「おや、出来ないと?ならば、王妃になるつもりですか?」


「いえ、それは…。」

ナターリアは困ったように口ごもって答えます。



「ナターリアどの、あなたは少し覚悟が足りないようね。望みを叶えたいのなら、それ相応のことをすべきでしょう?」

鼻先でふっと皮肉そうに笑いながら、王太后が真剣なまなざしで尋ねます。



ナターリアは、言われることはそのとおりなので、返す言葉もありません。


王太后がシャルロッテを王妃に望んでいるのは周知のことでしたので、王太后に伝えればなんとかなると思った我が身のあまさを感じていました。


いえ、

ちょっと待って…。

王太后さまにとって、私が王妃になりたくないのは渡りに船のはず。

それならばどうしてこんな交換条件を…。


もしや、私を試しているのかしら…?


それならば…。



ナターリアは意を決したように、

「王太后さま、恐れながらお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「何か気になることでも?よい。申してみよ。」

王太后がおもしろそうに答えます。


「有り難う存じます。恐れながら王太后さまは、かねてよりシャルロッテさまを王妃にお望みと伺っております。なにゆえ私にこのようなことを申されますのでしょうか?」

ナターリアは一つ一つ言葉を選びながら窺うように王太后に尋ねます。


それを聞いた王太后 はニヤリと笑い、

「なるほど、そこに気がつきましたか。そうね、確かにシャルロッテどのを後宮にお迎えしたときはその心づもりでしたよ。ですが、今はナターリアどのでも構わないとも思っております。」

王太后の思わぬ答えにナターリアは思わず絶句してしまいました。


「そ、それはどういうことかお聞きしても…、よろしいでしょうか?」

しどろもどろになりながらナターリアは王太后に尋ねます。




「ええ。聞きたいのでしょう?それは、ナターリアどのの実家ロプーヒナ公爵家に我が兄の息子が婿養子に入るからよ。」


「それが理由で、ございますか…?」

ナターリアは訝し気に尋ねます。


「ええ、そう。そもそも、我が兄の宰相に娘がいないのはご存知かしら?」

ナターリアを試すように王太后は尋ねます。


「そ、それは以前、そのようなことを耳にしたことはございますが…。」

ナターリアはわけが分かりませんでしたが後宮に入る前に聞いた話しを思い出しました。


「そう。知っていたのなら分かるでしょう?我が実家の繁栄のためにシャルロッテどのを王妃に望んでいたと…。シャルロッテどのの姉はお兄さまの跡取り息子に嫁いでいるわ。だからよ。」

王太后は微笑んで答えます。


「あ、はい…。でも、え、あの、もしや…。メアリーとの結婚で?」

ナターリアは、まさかと思いながら、恐る恐る王太后に尋ねます。


王太后は含み笑いをして、

「気がついたのね?そう、ロプーヒナ公爵家と縁続きになった以上、シャルロッテどのでもナターリアどのでも我が実家はどちらに転んでも安泰ということなの。だから、私はあなたが王妃になっても構わないのよ。お分かりいただけたかしら?」


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