陛下との挨拶
ついにきました。
玉座に悠然と座る国王陛下からお声をかけられました。
「ようこそ王宮に参られた。これからのことは女官長に聞くがよい。疲れたであろうから、今日はゆるりと過ごされよ」
16歳になられたばかりなのに幼さの残る中にもなかなかの男前で威厳のある若き国王陛下でした。
国王陛下とのご挨拶を終えて、三人のご令嬢方はすぐに後宮に入られることになりました。
それぞれ与えられた部屋に落ち着きました。明日は王太后さまとのお茶会にが予定されています。
「ナターリアさま、疲れましたね。でも、私もついに憧れの後宮で働けるんですね♪」
「マリア、楽しそうね。」
少し疲れた表情でお茶を飲みながら侍女のマリアと会話しています。
「何をおっしゃっているんですか!後宮で侍女として働けるなんてマリアにとっては夢のようですわ。ここで働いたっていうと、縁談の数も違いますのよ。」
かなり興奮してマリアは話します。
うるさい侍女だと思ってたのにこんな一面があったとは…
「マリア、疲れたからもう寝ましょうか?」
少し微笑んでナターリアはマリアに言いました。
「はい、ナターリアさま。明日の予定もありますし、お休みなさいませ」
翌日、慣例により王太后さまのもとでお茶会が開かれました。
招待されたのは、後宮に入ったシャルロッテとナタリーアとオリガの3人です。
「よう参られた。この後宮にこんなに美しいご令嬢方をお迎え出来て嬉しく思います。」
王太后さまが笑顔で迎えて下さいました。
「ご招待ありがとうございます、王太后さま。」
三人が口々に答えます。
「おお、シャルロッテどの、すっかりお美しくなられて見違えましたぞ。」
「恐れいります、王太后さま。父からも王太后さまにくれぐれもよろしくお伝え下さいと申しておりました。」
前国王陛下が早くに亡くなったとき、シャルロッテの父の大臣が後ろ盾になって国王陛下を支えたことを恩義に王太后さまは感じておりました。
「こちらこそよろしく伝えて下され。私がおりますれば、今後のことはご心配なきようにと」
「ありがとうございます、王太后さま。そのお言葉、父も喜びます。」
王太后に答えたあと、シャルロッテは勝ち誇ったような笑顔をナターリアとオリガに向けます。
それは一番年下でありながら王妃になるのは私だと言わんばかりでした。
「さぁ、お茶会を始めましょう。側妃の方々、こちらへおいでなさい」
後宮に入られる方には位がありました。
一番上はもちろん王妃ですが、次は側妃で他国の王女や公爵・候爵・伯爵出身またはの位です。次は夫人でそれ以下出身の位です。三人とも側妃に選ばれました。
王妃に選ばれるためには側妃にならなくてはなりませんが、三人とも王妃候補としての条件を満たしています。
しかし、ナターリアだけはそういう目で見られているとは露とも思っていませんでした。
後宮らしい展開が始まり、ワクワクします。