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突然の里帰り

ナターリアはいきなり王太后から呼ばれて何事かしらと、何か失礼でもあったのかと少し怯えながら王太后のもとにやってきました。


「王太后さまにはご機嫌麗しくおめでとうございます。ナターリア、お呼びにより参りました。」

緊張しながら王太后にナターリアは挨拶をしました。


「ごきげんよう、ナターリアどの。突然呼ばれて驚かれたでしょう?悪いとは思ったのですが、気になることがありましてね。」

笑顔で王太后が迎えました。


ナターリアはえっという顔をして、

「気になることでございますか…?」


王太后は後宮に入って以来何ヶ月かぶりに見るナターリアが以前も美しいとは思っていたのですが、

アレクセイに愛されているせいかさらに美しくなっていました。これでは可愛いがわがままなシャルロッテどのにもとに来る気になれないなとひそかに王太后はため息をつきました。


「ええ。さあ、お茶の用意がしてありますので、こちらへおいでなさい。」

そういって王太后はナターリアを誘いました。


「恐れ入ります、王太后さま。」

ナターリアは恐縮しつつ席につきました。


「それにしても、ナターリアどのはお綺麗になられたこと。見違えましたわ。」

微笑んで王太后はナターリアに話しかけます。


「いえ、そのようなことは…」

ナターリアは思いもかけないことを言われて、恥ずかしそうに答えます。


「本当のことですよ。他にも妃がいるのに、そなたのばかりに行く陛下のおかげかしら?」

棘を含むように王太后が言います。


ナターリアは、

他にも妃がいることは分かってはいましたが陛下が自分のところにばかり来るのせいで他の妃が自分のことをどう思っているか考えもしませんでした。

それというのも、急に後宮に入ることになったので何の勉強も覚悟も出来ていないからでした。

他の妃の立場を考えなかったことを指摘されたと思って、すっかり畏れいってしまい、

「恐れ入ります…。」


王太后はその様子を見て、ほくそ笑み、

「それで、気になることというのはロプーヒナ公爵のことです。」

窺うように王太后が言います。


「お父さまの…?どのようなことでしょうか?」

いきなり父のことを言われてナターリアは戸惑いがちに答えます。


「ええ。父君がご病気なのに後宮にお迎えして申し訳なく思っておりましてね。それで、一度、お見舞いに実家に帰られて はいかがかと思いますてね。どうかしら、ナターリアどの?」

微笑みながら王太后 が尋ねます。


ナターリアは父のことを忘れていたわけではないのですが、後宮での生活や陛下がよく来るようになってそのことを実家にいたときより考えなくなっていました。なので、そのことを言われたとき、はっとして、お父さまに悪いことをしてしまったと思い、遠慮がちに、

「王太后さま、でも、私、後宮に入りましたのに、実家に帰らせていただいてもよろしいのですか?」


「遠慮なさらなくてもよろしいのよ。陛下には私から伝えておきますから、すぐに実家にお帰りなさい。」

王太后は親切そうにナターリアに語気を強めて言います。


「本当にいいのでございますか…?」


「もちろんですよ。」


「お気遣いありがとうございます。あ、でも、実家に使いを出しますので、また日にちが決まりましたら、ご挨拶に伺います。」

少し嬉しそうにナターリアが言います。


王太后はうまくいきそうだと含み笑いをしながら、

「その必要はありませんよ。すでに使いを出し、馬車も用意出来ております。」


あまりに手際よいの良い王太后にびっくりして、戸惑いがちに、

「そんなことまでしていただいては…。」


王太后はイライラして強い口調で、

「遠慮はいらぬと申しているであろう。誰かおらぬか!」


側に控えていた侍女が駆け寄り、

「王太后さま、お呼びでございますか?」


「ナターリアどのが父君の見舞いに実家に帰られる。陛下にそのことを伝え、ナターリアどのを実家にお送り申し上げなさい。」


侍女は王太后が機嫌が悪くなっているので素早く行動し、

「ナターリアさま、ご実家までお送り申し上げます。さあ参りましょう。」


あっという間にナターリアと一緒に王太后の部屋にやってきていた侍女のマリアは馬車に乗せられて実家のロプーヒナ公爵家に帰されました。



その様子を眺めて王太后は

「悪く思わないでね、ナターリアどの。憎いわけではないけれど、こうでもしないとアレクセイはシャルロッテどののもとに行かないでしょうから。」

と小さく呟きました。




それから数時間もしないうちにあわてふためいた陛下が、王太后のもとにやって来ました。



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