シャルロッテのもとへ
「シャルロッテどの、久しぶりだな。」
アレクセイがぶっきらぼうに話しかけます。
「陛下、儀式の時以来でございますね。お逢いできなくて寂しかったですわ。」
シャルロッテが可愛らしく小言を言います。
「すまない。何かと忙しかったものでな…。」
「そんなに忙しかったんですの?お父さまに陛下をあんまり忙しくさせないように言っておきましょうか?」
「いや、いい。公務だからな。」
「遠慮なさらなくてもよろしいのに。お父さまは私の言うことなら聞いてくれますのよ。」
陛下に対しても自慢げにシャルロッテは言います。
それを聞いてアレクセイは
母君の頼みとはいえ、来るんじゃなかったな…。
と思い、ひそかにため息をつきました。
そのころ、同じ後宮のナターリアの部屋では…。
「ナターリアさま、陛下が都合が悪くお茶の時間に来られなくなったとのことでございます。」
使いを受けたマリアがナターリアに伝えます。
「そう、お忙しいのね…。」
ナターリアは寂しそうに呟きました。
「ナターリアさま、陛下はいらっしゃらないですけど、お茶の時間ですし、ご用意いたしますね。」
そう言ってマリアがお茶の支度を始めました。
「なんだか、今日のお茶の時間は一人で寂しいわね、マリア?」
ため息をつきながらマリアに話しかけます。
マリアが首をかしげて、
「ナターリアさま、でも陛下がいらっしゃる前はずっとお一人でいらっしゃいましたでしょう?」
「そうなんだけど、陛下がいるのが当たり前になってしまってなんだか寂しいのよ…」
「もしかしてナターリアさま、もう陛下のことを好きになってらっしゃいますの?」
「私にもよくわからないの…。カールさまのことを好きな気持ちには変わりはないと思うのだけど、陛下がいらっしゃらないとなんだか寂しいのよ…。」
戸惑ったようにナターリアが答えます。
「そうですか。カールさまとのことは残念ではございますが、ナターリアさまはもう皇妃さまとなられておいでなのですよ。もうお忘れになりませんと…」
姉のような口調でマリアはナターリアを諭します。
「わかってはいるのだけれど…。それにもう、カールさまも私のことなんて忘れてるわよね…。」
ため息をついて呟きます。
「ナターリアさま…」
「ごめんなさい。もう忘れるようにするから…。」
「ナターリアさま、何か気分転換なさったらいかがです?後宮に入ってからずっと部屋に閉じこもりですし、気分も変わりますわ。」
ナターリアを元気づけるようにマリアが言います。
「そうね。あ、そうだわ、以前オリガさまが訪ねていらっしゃったけど、まだお返事してなかったわね。
明日にでも、オリガさまを訪ねてみようかしら?」
「そういえば、そうでしたわね。陛下がよくいらっしゃっるようになったのでそのままになってましたわね。オリガさまのもとに明日お伺いしますと使いをだしておきますわ。」
そして翌日のお茶の時間にナターリアはオリガの部屋を訪ねていました。
「オリガさま、ごきげんよう。お訪ねするのが、遅くなりまして申し訳ございません。」
遠慮がちにナターリアは挨拶をします。
「ごきげんよう、ナターリアさま。いいのですよ。陛下がいらっしゃっるので、お暇がなかったのでしょう?」
微笑みながらオリガが言います。
「ま、ご存知でしたの…」
恥ずかしそうにナターリアが答えます。
「噂ですわよ、ナターリアさま。でも、シャルロッテさまはご存知ないようですけど…」
と言って、含み笑いをしました。
「まあ、そんな噂がありましたの…」
「ええ…。ナターリアさま、今日は来てくださって嬉しいですわ。仲良くして下さるということなんですもの。お茶の用意をしてありますからこちらへどうぞ。」