幸せな朝
夢のような出来事だった…。愛しい初恋の人を抱くことがやっと出来た。
窓のカーテンの隙間から朝日がこぼれている。
もう、朝なのか…。
今日は朝から公務がが目白押しだ。もう行かねばならない…。
隣には愛しい人が寝息をたてて眠っているというのに。
「ナターリア、愛してる。」
アレクセイはそう言って、ナターリアの額にキスをしました。
そのとき、ナターリアが身じろぎして、目を覚ましました。
「陛下…、おはようございます。」
恥ずかしそうにナターリアが話しかけます。
「おはよう、ナターリア。起こしてしまったか…。すまない。私は公務かあるから、もう行かねばならない。」
ナターリアの髪をなでながら陛下が名残惜しそうに話しかけます。
「陛下、お支度を…」
ナターリアはそう言って、陛下の身支度を手伝おうと体を起こしかけましたが、
体がだるく起き上がれそうにありません。
それを見た陛下が
「ナターリア、起きなくてもよい。ゆっくり過ごすといい。」
そう言って起き上がりました。
「でも、陛下…」
ナターリアも無理に体を起こしました。
そして、陛下の身支度を整えました。
「ありがとう、ナターリア。」
陛下はそう言って、
ナターリアを抱きしめました。
「いってらっしゃいませ、陛下。」
ナターリアは抱きしめられたまま切なそうに話しかけました。
「また、来てもよいか?」
陛下はナターリアから体を離してから尋ねました。
「はい。お待ちしております…」
体をふらつかせながら、ナターリアが答えます。
「大丈夫か?また、来る。ゆっくり休んでくれ。行ってくる。」
陛下は心配そうに言って、部屋を後にしました。
ナターリアは陛下が部屋を後にするとベッドに横になり、日が高くなるまで眠っていました。
「…さま、ナターリアさま、お加減はいかがでございますか?」
侍女のマリアが心配そうに話しかけます。
「マリア、もう大丈夫よ。起きるわ。」
ナターリアはそう言って起き上がりました。
「大丈夫でございますか?ナターリアさま。ご昼食の支度が出来ておりますので。」
その夜もアレクセイが訪ねてきて、一緒に過ごしました。
そんな日々が続いたある日、アレクセイのもとに王太后が訪ねてきました。
「これは母君、いかがなされました?」
「陛下、こんなことを申したくないのですが、シャルロッテどののもとに行かれてないとか…?」
遠慮がちに王太后が言います。
それを聞いたアレクセイは、思わず眉をひそめて、
「公務が忙しいのですよ。」
「他の妃に行く暇はあるのに、ですか。陛下?」
陛下は王太后に痛いところを突かれて、動揺して
「どうしろと言うのですか?」
「シャルロッテどのは大臣の息女です。大臣にはいろいろお世話になっていますし、私の顔をたてて、行ってはもらえませんか?」
陛下が苦虫を潰したような顔をして、
「王太后が特定の妃を贔屓にされるようなことは控えられた方がよろしいのではないですか?」
王太后は困った顔をして、
「わかってはおるが、そなたに頼むしかないのだ。母の頼みを聞いてはもらえまいか?」
陛下はナターリアのもとに行くつもりで執務を頑張って時間を作っていたので、ため息をついて、
「仕方ありませんね。では、今日のお茶の時間に参りましょう。それてよろしいですね、母君?」
「ありがとう、陛下。そなたなら頼みを聞いてくれると思いましたよ。シャルロッテどのも喜びます。泣いて頼まれたのですよ。」
王太后がうれしそうに言いました。
そして、午後のお茶の時間となりました。
後宮のシャルロッテの部屋に陛下がやってきました。
「陛下、お待ちしておりました。」
シャルロッテが陛下を笑顔で迎えました。
これからの展開がう~、楽しくなりそうです。