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初めて結ばれた日

読んでくださる方が増えてきて嬉しい限りです。また、調子に乗って書いてしまいました。

「陛下、お迎えに参りました。」

予定時間を過ぎて、しびれを切らした女官長がナターリアの部屋まで陛下を迎えにやってきました。


「あ、もうそんな時間か…。ナターリアどの、長居をしたようだ。」

残念そうに言って、陛下が席から立ち上がりました。


「あ、いいえ、私の方こそ、気がつかなくて失礼をいたしました…。」

戸惑いがちにナターリアが言います。


「では陛下、参りましょう。」

女官長が陛下に帰りを促します。


「ナターリアどの、また来てもよいか?」

陛下が名残惜しそうにナターリアに尋ねます。


「はい。お待ちしております。」

ナターリアは微笑んで答えました。


「また来る、ナターリアどの。では、女官長、参ろうか。」

陛下はうれしそうに言って、女官長と部屋を後にしました。




「ナターリアさま、いつまでそちらにおいででございますか?」

ナターリアが陛下が去った後もしばらくそこに立っていたので、侍女のマリアが見かねて声をかけました。


「え、ああ…、そうね。マリア、さきほど陛下が下さった菜の花はどうしたの?」


「花瓶に活けておきましたわ。ご覧下さいませ。綺麗ですわ。」

マリアがそう言ってテーブルまでナターリアを誘います。


「本当に綺麗な菜の花ね。幼い頃を思い出すわ。」

ナターリアは物憂げに呟きます。


「ナターリアさま、決心して後宮にいらしたのでしょう?陛下も良いお方のようですし…」

マリアが少し強い口調で諭します。


「そうだったわね。だめね、私は…」




それから数日後、王宮の執務室でご機嫌な陛下が執務に励んでおりました。


「陛下、本日の執務はこれにて終了でございます。」

側に控えていた宰相が陛下に話しかけます。


陛下は微笑んで

「本当か。ではもう、今日は自由の身だな?」


「いえ、本日は隣国の大臣をお迎えしての晩餐会がございますれば、お忘れで?」

宰相が冷静に陛下に答えます。


陛下は残念そうに、

「まだ、公務があったのか!すると、夕食までは自由だな?」


「はい、夕食までは自由でございます。それにしても最近の陛下は、ご機嫌でいらっしゃいますな。妃をお迎えになると変わるもので。」

宰相は微笑みながら陛下に話しかけます。


「からかうな、宰相。では、もう部屋に戻るぞ。」

そう言って陛下は執務室を出て、後宮のナターリアのもとへ向かいました。





「まあ、陛下。ようこそおいで下さいました。」

ナターリアが笑顔で迎えます。


「また来たよ。話しがしたくてな。」

陛下がうれしそうにナターリアに話しかけます。


「あの、今日はお時間はよろしいのでございますか?」

ナターリアが遠慮がちに陛下に尋ねます。


「大丈夫だ。夕食までは自由の身だよ。きょうはゆっくり出来る。」

陛下はうれしそうに話します。


それから夕食までの時間二人でゆっくりと話しました。


その帰り際、陛下がナターリアに向かって恥ずかしそうに、

「今度は夜、訪ねてもよいか?」


「はい。どうぞ私でよろしければお越し下さいませ。」

ナターリアは陛下のことを弟のように思っていたので、話し相手をするつもりで答えました。


「本当にいいのだな…。ではまた近いうちに来るからな。」

陛下はそれを聞いてとても喜んで、鼻歌まじりに部屋を後にしました。


ナターリアは私と話しをするだけであのように陛下に喜んでもらえるなんて、後宮の生活も悪くないのかも知れないと思いはじめていました。


その夜は陛下は来れませんでしたが、翌日の夜、ナターリアの部屋に陛下が訪ねてきました。


「ナターリアどの、来たよ。」

陛下が頬を染めてナターリアに話しかけます。


「陛下、ようこそいらっしゃいました。遅くまで執務をなされたのですね。お疲れさまでございます。」

ナターリアが微笑んで陛下を迎えます。


「ああ、今日は疲れたよ。慰めてくれるかい?」

陛下がナターリアにあまえて話しかけます。


「はい、陛下。いま、お茶の支度をさせますので…」


「いや、お茶はよい。寝室へ参ろう。」

そう言って陛下はナターリアの手を握ってきました。


ナターリアは驚いて、

「陛下、寝室とは…」


「ナターリアどの、いやナターリアは私の妃だ…。夜来るとはどういうことかわかるだろう?」

陛下はナターリアに熱い視線を向けて言いました。


「陛下、あの…」

戸惑いがちにナターリアが言います。


陛下が悲しそうに

「ナターリア、嫌なのか?」


「いえ、そういうわけでは…。今日は話し相手だと思っていたので驚いて…。」


「じゃあ、いいのだな…。」

陛下はそう言って、ナターリアの肩を抱き寄せて、その頬にキスをしました。


ナターリアは突然の出来事に恥ずかしそうに陛下に寄りかかりました。


「では、寝室に行こう。」

陛下は顔を上気させて、ナターリアの耳元に囁きました。


「はい…」

ナターリアは弟のように思っていた陛下に抱き寄せられ、ボーッとなってしまいました。


そのまま二人は寝室に行き、その夜結ばれました。


二人が結ばれました。ここからが後宮の恐ろしさの始まり始まり…

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