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第9話 闇を照らす光

目の前の悪魔――イデルバは、これまでの敵とは比べものにならない圧迫感を放っていた。

洞窟の空気そのものが凍りつくような異質なオーラ。


「贄が減ってしまったか…

仕方ない、貴様ら五人の魂でよしとしよう」


低く響く声とともに、イデルバは無数の闇の魔力弾を放つ。


「やばいぞ!みんな避けろ!」


闇弾が次々と地面を抉り、光を吸い込むような残滓を残す。

一同は散開して必死に逃げ惑うが、連携は完全に崩れていた。


その中で、ただひとり――ユノだけが前へ進んでいた。


ルアの「何もするな」の指示はない。

判断するまでもなく、動かなければ仲間が死ぬと悟っていた。


ユノは魔力弾を紙一重でかわしながら、真っ直ぐイデルバへ踏み込む。


そして――斬る。


ガキィン!!


「…硬い!」


刃は確かに当たっている。しかし通らない。

金属すら斬り裂くユノの剣が、まるで岩を叩いたかのように弾かれた。


「ほぅ、やるではないか小娘。

少し戯れるとしようか!」


嘲笑う悪魔に、ユノは歯を食いしばって応じる。

斬撃の速度はユノが上、接近戦では優位

――しかし“通らない”。


「マジかよ、ユノの攻撃が効いてないじゃねぇか!?」


「マリー、こういうの詳しいだろ?

なんか方法はないのか?」


「多分だけどあいつ、

魔力を高質化して全身を覆ってる感じね。

物理攻撃は通らないかも」


「じゃあ、マリーの魔法攻撃か!」


「いやいや、あそこに飛び込むの!? 無理っしょ!?

それに魔法の耐性もありそうだし、

大したダメージになんないかも」


「でも、このままじゃユノちゃんが…」


ユノが押され始める。

持久力ではどう見ても分が悪い。


「可能性があるとしたら、ソフィアの回復魔法ね」


「わ、私ですか!?」


「多分、あいつの魔力は闇の魔力。

ソフィアの聖なる魔力なら…

もしかしたらだけど、ダメージになるかもしれない」


「でも、私の魔法で大丈夫でしょうか…?」


「ユノもいつまで耐えられるか分からない。

やってみるしかない!」


「隙なら俺が作ってやる、まかせろ!」


ソフィアは心を決める。


「…分かりました、やります!」


ルアは両者の攻防を眺める。


「あとはタイミングだな…

行けるか?アッシュ!」


「いつでも行けるぜ!」


ルアが睨む先、ユノとイデルバの間合いが一瞬だけ開いた。


「アッシュ、今だ!」


「しゃあ!行くぜぇ!!」


アッシュが突撃を開始する

そしてルアはソフィアを抱え上げる。

お姫様抱っこだ。


「え、ちょ、ちょっと、恥ずかしい…です」


「あー、ちょっとぉ!

あたしん時と違うんですけどぉ!」


ソフィアは頬を赤らめ、マリーは遠くから文句。

だが、ルアは二人の声など聞こえないほど集中していた。


ユノの剣とイデルバの爪が火花を散らした瞬間。


「おらぁぁ!!」


アッシュの奇襲が背後を襲う――が、刃は弾かれる。

イデルバが体を捻り振るった腕はアッシュを捉える。


「ぐぁ!」


アッシュが吹き飛ばされる。

しかし、その動きが生んだ一瞬の隙。

ソフィアを抱えたルアはすでに懐へ潜り込んでいた。


「今だ!」


「はい!」


ソフィアの魔力を込めた手がイデルバの脇腹に触れた瞬間、光と闇の魔力が反発し光が弾けた。


「うわぁ!」

「きゃぁ!」


その衝撃で二人は吹き飛ばされる。

イデルバは一瞬だけ怯む。


「…忌々しい光だ。

だが、何だそのか弱い魔力は?

そんな物、蚊ほども効かぬわ!」


ダメージはない。

ソフィアの触れた脇腹のあたりはまだ光を帯びている。

しかしその光は弱く、輝きも徐々に消えていく。

まるで希望が失われていくように。


しかし、その“微弱な光”を見て、

マリーはひとり何かを思いつく。


「ちょっと集合ー!」


その声にわさわさと集まり、ヒソヒソと話し合う一同。


「ソフィアが触れた後のあの光…」

「だとしたら、もっと隙が…」

「だったら俺がマリーを…」

「じゃあ弱点の場所に…」


手短な作戦会議、再度パーティは決心を固める。


「…よし、それでいこう。

ユノ、もう少し時間稼げるか?」


ユノは短く頷き、再び単独で悪魔へ向かった。



再び始まる攻防。

ルアがタイミングを見極める。


そして合図、同時にアッシュが飛び出す。


アッシュは再びイデルバの背後をとる。

だが、今度は刃すら届かず弾かれる。


「無駄な事を。何度も同じ手に…」


「来い、マリー!!」

「おっけー!!」


アッシュの更に後ろ、ルアが腰を落とし両手を組む。

そこへ全力疾走のマリーが飛び乗り、

ルアは両手を振り上げる。


高く舞い上がったマリーは魔力を込める。


「攻撃魔法か…だが、遅い!」


イデルバは頭上のマリーに狙いを定め攻撃を繰り出す…が。


「残念、バリアでしたー」


マリーに最初から攻撃の意思はなかった。

魔力を込めたのは全力で魔力障壁を張るため。


イデルバの攻撃によりバリアが砕け散る中、彼女は吹き飛ばされながらも耐えた。


そして――。


イデルバが上空へ意識を向けたその死角。

懐には、ソフィア。


「……!」


イデルバの胸元、再び聖なる魔力を込めた手が触れる。

また同じよう反発した魔力が弾ける。


ソフィアは吹き飛び、それをルアが受け止める。


イデルバの胸元の中央には、

先ほど同じ小さな光が輝いている。


「小賢しい馬鹿どもが!

その手は我には通用せぬと…」


「やれ!! ユノ!!」


イデルバの声を遮るルアの叫びと同時に、

風を切る小さな影が飛ぶ。


そして――。


ユノの剣が、聖なる光の一点を正確に貫いた。


「ぐわぁぁぁ!!」


イデルバは断末魔を上げ、黒い肉体が崩れ落ち、闇の粒子となって霧散していく。


洞窟に、静寂が戻った。


「…勝っ…たん…だよな?」


互いの顔を見合わせ、全員がその場にへたり込む。


イデルバの胸元に残った光の痕跡は、ソフィアの聖なる魔力が闇の魔力を中和した、ごく小さな“ほころび”だった。

マリーの知識、二段構えの囮、悪魔の心臓を狙う隙、

そしてユノの決定力。

すべてが重なり、あの一太刀に収束したのだ。


誰も言葉を発する余力はない。

ただ静かに――勝利を噛みしめた。


reunionを読んでいただきありがとうございます。

楽しんでいただけたなら、続きも読んでいただけると嬉しいです。

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