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第7話 纏わりつく呪い

ベレットの村に到着した一向。

しかし、ルアたちは違和感を覚えた。


昼間だというのに通りには誰の姿もなく、空気だけが静かに沈んでいる。


アッシュが周囲をぐるりと見渡す。


「なんか、静かな村だな…」


「確かに、なんか寂しい感じね」


マリーも同意した。


「とにかく、まずは宿屋をおさえとこうぜ」


ルアたちは人気のない通りを抜け、唯一開いていた宿屋へ向かった。


「すみませーん」


呼びかけると、店主が奥からゆっくり姿を現した。

しかし、その顔色はひどく悪い。まるで体から力が抜け落ちているかのようだ。


「いらっしゃいませ…」


「あの、泊まりたいんだけど…」


「はい、5名様ですね…宿泊は可能なのですが…」


店主は気まずそうに視線を逸らし、しぼむような声で続けた。


「申し訳ありませんが店の者全員、

体調がすぐれないので…

部屋は勝手に使っていただければ…。

サービスはできませんので宿代は最低限で結構です…」


それだけ言うと、ふらふらと奥へ引っ込んでしまった。


「な、なんか、大変そうだな…」


不安そうな表情で見送る一同。

しかし、宿が確保できたのは幸いだった。


「…」


そのとき、ソフィアだけが何かを感じとったように眉を寄せていた。



宿を出て道具屋へ向かったが、そこは固く戸が閉ざされていた。

扉に貼られた紙には、乱れた筆跡でこう書かれている。


――体調不良のため、休業とさせていただきます。


「ここもか?」


さらに村を歩き回るが、人影はまったくない。

まるで村全体が眠っているようだった。


空腹を満たすために入った料理屋も、状況は同じだった。


「すみません、どうも体調が悪くて……

申し訳ありませんが、水とパンぐらいしか

お出しできそうにありません…」


テーブルにつき、乾いたパンを噛み、水で無理やり流し込む。


「…美味しくない」


ユノが正直な感想を漏らした。


「…」


その横で、ソフィアはパンに手をつけず、深刻な表情で考え込んでいた。


「ソフィア、大丈夫か?」


ルアが気づいて声を掛けると、彼女は慌てて顔を上げる。


「は、はい、私は大丈夫です! 

 ただ…」


「この村の様子、明らかに変っての気にしてる感じ?」


マリーが尋ねる。


「はい。村の皆さん、体調が悪いと言いますが……

病気というより、生気を奪われているように感じます。

そして、少しですが……邪悪な気配がします。

おそらく何者かによる呪いかもしれません」


「ソフィアはクレリックだしねー。

そういうのには敏感ってわけね」


ソフィアは困ったように視線を落とした。

何か言いたいが、迷っている。

その姿を見て、ルアが察する。


「で、助けたいってわけだな?」


「い、いや、その……私達は旅の途中ですし……

私のせいで足止めするのも迷惑に…」


ソフィアは弱々しい村人たちを見るたび、胸の奥が締めつけられるのを感じていた。

目の前の苦しみを、見て見ぬふりなんてできなかったのだろう。


「でも……」


ソフィアは拳を握りしめる。


「放っておいたら、きっとこの村の人たちは…」


その表情を見て、ルアは悟る。

この子は、本気で誰かを救いたいのだと。


「具体的にどうしたらいいんだ?」


「呪いの元凶を断つことができれば……

でも、情報がなさすぎて…」


ルアはしばらく考えたあと、ぽつりと提案する。


「こういう時は、だいたい村長的な人に聞けば、

なんか分かるんじゃないかな? 

とりあえず、行ってみようぜ」


「ルアさん、いいんですか!?」


ソフィアが驚き、そして希望を込めた瞳でルアを見る。


「別に急いでるわけじゃないしな。

それにソフィアがそうしたいんだろ?」


仲間たちも笑って頷く。


ソフィアの顔がぱっと明るくなった。


「ありがとうございます!」



村長の家を訪れると、出迎えた村長もまた顔色が悪かった。


「旅の方々……あいにく、このざまでして。

大したもてなしもできませんが……ご用件は?」


「やっぱり、この方からも呪いの気配を感じます」


「呪い?」


村長が目を丸くする。


一行はこれまでの状況を説明した。


「なるほど……

確かに数日前から村人全員が体調を崩しておりまして、

伝染病か何かと思っていましたが…」


「心当たりはありませんか?

なんでもいいです。

数日前から何か変わったこととかありませんでしたか?」


ソフィアが真剣に尋ねる。


村長はしばらく考えたあと、ぽつりと口を開く。


「…そういえば、関係あるかは分かりませんが、

この村の裏手にある森で怪しげな連中がうろついている、

という話をよく耳にしました」


「何か関係あるかもしれないな。

ちょっと見に行ってみるか」


裏手の森は、村とは対照的に生命力に溢れていた。

鳥がさえずり、木々が揺れ、風が枝葉を擦る音が響く。

その自然の気配が、逆に村の静けさを際立たせる。


森を慎重に進むと、黒いローブをまとった二人組がどこかに歩いて行くのが見えた。


どう見ても怪しい。

その二人の周囲だけ、空気が淀んでいるようさえ感じる。


「後をつけてみよう」


距離を保ちながら尾行する。


やがて二人は小さな洞窟の前に立ち、

そのまま中へと姿を消した。


「ルアさん、どうしましょう?」


「ここまで来たなら行くしかないよな。

みんな、気をつけろよ」


ルアの言葉に一同はうなずき、洞窟へと足を踏み入れた。

reunionを読んでいただきありがとうございます。

楽しんでいただけたなら、続きも読んでいただけると嬉しいです。

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