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第6話 陽光の中の絆

早朝。野宿の片付けを済ませた一行は、最寄りのベレット村を目指し再び歩き始めていた。補給もしなければならないし、何より、これ以上ユノの請求を増やしたくない。


のどかな道を進む途中、アッシュが他人事のように口を開く。


「そういえばルア、

ユノの借金って今どれくらいなんだ?」


「…まだ、20万グランで済んでる」


「なんだ、大したことなくない?」


気楽な調子でマリーが言うが、すかさずソフィアがたしなめる。


「マリーさん、金銭感覚!

それだけあれば食料や物資はしばらく困りませんよ?」


ルアはため息をつく。


「お前らなぁ、他人事みたいに言ってるけど

これはパーティ存在の危機でもあるんだぞ?

払えなければ…潰される…」


その言葉に全員の顔が強張った。


「…大丈夫、利子とかない」


「は、はは…ありがとよ」


「…でも、遅いの、困る」


ユノの無表情の圧が、逆にルアの胃に来る。


「とにかく、これ以上借金を増やすわけにはいかない!」


「でも、私達、ユノちゃん抜きで戦えるんですか?」


「ふふふ…作戦なら考えたぜ」


ルアは胸を張る。


「さっすがリーダー!

どんな作戦だ!?」


「作戦はだな、まず…」


その時、地面が揺れた。

音を立て盛り上がる土の中から、巨大な魔物が姿を現した。

ゴーレムだ。


「つ、強そうな魔物ですね…」


その巨体は威圧感を放つ。


「マリー、お前の魔法が当たればあいつを倒せそうか?」


「ああいう無機物っぽいのって

内側に弱点(コア)があると思うけど

多分、そこまでは届かないかも。

まあ、外皮ぐらいは剥がせるんじゃない?」


「分かった…なら十分!」


ルアの目に決意が宿る。


「じゃあ戦闘開始だ!」


空気が一気に緊張した。


「まずはユノ、お前は何もするな!」


「…」


ユノはやや不服そうに無言で頷く。


「そしてアッシュ、行け!」


「分かったぜ!

うぉぉぉ!!」


アッシュが突撃し、ゴーレムへ斬りかかる。

剣は甲高い音を立てるだけで全く通じない。

振動が手に伝わりその硬さを実感する。


アッシュはゴーレムを見上げると拳が振り下ろされようとしていた。


「うお!?」


とっさに回避する。

ゴーレムは続けて踏みつける攻撃、

腕を薙ぎ払う攻撃と連続でアッシュを狙う。


動作は緩慢であり回避は間に合う。

だが、それらの攻撃は当たればひとたまりもないだろう。


離れた場所からルアが叫ぶ。


「アッシュー!

踏みつけと振り下ろしには気をつけろー!

動きは遅いからかわせー!

で、次に薙ぎ払いが来たら全力で受けろー!

多分死なないからー!」


「ま、マジで言ってんのかぁ!?」


次にルアは近くの仲間に指示を出す。


「ソフィア、アッシュが吹っ飛ばされたら回復を頼む!

マリーは俺とこっちに!

ユノ、お前は何もするな!」


「は、はい!」


「りょーかーい」


「…」


ユノはまた無言で頷いた。


ルアはマリーの手をつかみ、

アッシュとゴーレムを挟む位置へ移動する。

ゴーレムの攻撃を観察しながらタイミングを伺う。


そして──


ゴーレムが再び踏みつけ、その次に薙ぎ払いの動作に入った。


「今だ!」


ルアはマリーを脇に抱え、ゴーレム目掛け猛ダッシュ。


「ちょ、ちょい、あたし女子なんですけどー!?

抱っこの仕方とか、あぁー!」


アッシュは覚悟を決め、防御に徹する。


「く、来る!!」


薙ぎ払われた腕がアッシュを直撃し、盛大に吹き飛ばされた。


「ぐあぁー!!」


「アッシュさん!」


ソフィアが駆けつけ、すぐ治療に入る。


その間にもルアとマリーはゴーレムの背後へ迫っていた。

突然のルアの行動に動揺を見せたマリーだが、

状況を察して手に魔力をこめた。


そしてゼロ距離、ゴーレムの背中に攻撃魔法を放つ。


「くらえぇぇ!!」


背後で炸裂した爆破により、ゴーレムの外皮が剥がれ、

赤く光る弱点(コア)が露出する。


ルアは飛び上がり剣振りかざす。


「トドメだぁぁ!!」


その剣はコアを貫いた。


沈黙ののち、ゴーレムは崩れ落ちる。


「や、やった…」


ルアはその場に立ち尽くす。

自分でも強敵に打ち勝ったことが信じられない様子。


周囲も同じ衝撃を受けていた。


そして徐々に勝利の実感が押し寄せる。


「か、勝った…!

勝ったぞぉー!!」


ソフィアは一瞬治療を忘れバンザイと両手を挙げる。

アッシュも仰向けになりながら拳を突き上げる。

マリーはガッツポーズを取る。

ユノは無言のまま、しかし確かに微笑んでいた。


彼らにとって初めてのまともな勝利。

それは間違いなく、仲間の連携による勝利であった。


眩しい日差しの下、崩れ落ちたゴーレムの前に立つ五人の影は、どこか誇らしげだった。

ぎこちなくも確かに結ばれ始めた彼らの絆を、温かな光が静かに照らしていた。

reunionを読んでいただきありがとうございます。

楽しんでいただけたなら、続きも読んでいただけると嬉しいです。

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