第2話 不揃いな集結
ルアが思いついた策、それは昨日の酒場で耳にした話をそのまま信じた、あまりに安易なものだった。
「パーティを追放されたやつを集めたら、
最強のパーティができるんじゃないか!?」
その考えに基づき、ルアはギルドにパーティ募集の依頼した。募集条件は『パーティを追放された者』であった。
パーティの参加、脱退はよくあることらしく、
思いの外、追放された者を探すことは苦労しなかった。
そして今、ルアの前には四人の人物が集まっていた。
「じゃあ、まずは自己紹介。
俺はルア、このパーティのリーダーを務める。
よろしく!」
「…」
「はい、拍手!」
ぱちぱちぱち…
催促された拍手は弱々しい拍手だ。
「じゃあ、まずそこの女子、自己紹介、どうぞ!」
「わ、私ですか!?」
最初に指名されたのは、白いローブを身に纏った可憐な女性。
胸元には金色の球体に十字架が刻まれた小さな首飾りが光る。
歳はルアと同じぐらいだろうか。
「わ、私はソフィアといいます。
クレリックで回復魔法が使えます…少しだけ…。
聖都エルファリエの教会出身です」
「ああ、もう見た目通り。
回復魔法かぁ、頼りになりそう!
パーティから追放された理由は?」
「えっと…回復魔法は使えますが…
でも、回復力が低くて…それで…追放されました」
「なんて謙虚なんだ…だが、そこがいい!
(おそらくこのパターンは、
回復魔法にものすごいバフ効果があったりするやつか?)」
拍手。
「じゃあ次、隣の男子!」
「よし、俺の番だな!」
次に指名されたのは、赤髪を逆立てた青年。
軽装の装備に腰には剣を携えている。
ルアより少し歳下に見える。
「俺の名前はアッシュ!
職業は戦士!強くなることが目標!よろしく!
ちなみに地元はここ王都!」
「おー、気合い入ってんなぁ!
見るからに熱血漢タイプ。
ちなみに、パーティから追放された理由は?」
「弱いから!!」
アッシュは両手を後ろに組み、胸を張って堂々と答えた。
「潔い!
(きっとこいつはあれだ、
何か覚醒するやつだ、きっと!)」
拍手。
「じゃあ、お隣のギャル」
「お、あたしの番?」
大きな魔道帽を被り、それ以外はラフな格好でアクセサリーをジャラジャラ身に付けた女性。
ルアより少し歳上の雰囲気が漂う。
「あたしはマリー、一応魔導士やってる感じ。
自由を求める女子ってやつ。
出身は…秘密、ウケるっしょ?」
「ウケるウケる、マジウケるんだけどー。
で、追放された理由は?」
「なんつーか、
あたしの魔法の方向性の違い?みたいな」
「めっちゃ分かるんだけどー
(なるほど、多分抑えきれない魔力が暴走するタイプだな。
使い所は難しいけど、決まれば一撃必殺、そんな感じか)」
拍手。
「じゃあ最後、そこの女の子!」
「…」
最後に選ばれたのは、周りよりも明らかに背丈の低い少女。
この中では最年少だろう。背中には標準的なサイズの剣を背負っているが、小さな彼女には不釣り合いに見える。
「…ユノ、剣士、山出身」
「や、山?」
無言で頷くユノ。
「へー、自然っていいよね。
で、追放された理由は?」
「潰した」
「ん、何を?」
「パーティ」
「パーティを潰したから追い出されたの?」
また無言で頷くユノ。
「んー、ちょっとよく分からないけど、すごい!
(分からん、この子はよく分からん。どう見ても子供…)」
拍手。
自己紹介がひと通り終わり、ルアは深く息を吐いた。
「よし、じゃあ皆んなこれからよろしくな!
さっそくなんだが、これからギルドに行って、
パーティを登録しに行こうと思う」
一同はギルドへ向かう。
街の雑踏を抜け、夕暮れの光に照らされた石畳の道を進む。その背中には、これからの冒険への期待と不安が入り混じっていた。
ギルドに到着、ルアは受付で申請書を書き、手続きを進める。
「はい、これであなた方5名のパーティ登録が完了しました。
活動の目的はどうされますか?」
「とりあえず、魔王討伐で」
「申し訳ありません、魔王討伐には許可が必要になります」
「え、そうなの?」
「はい、魔王討伐は大変危険ですので、
ある程度の実力がないと国から許可が出ません」
「じゃあ、どうしたらいいんだ?」
「いくつか国が発注する依頼をクリアしてもらえれば
それが評価され、魔王討伐の許可が出ます」
「なるほど、今はどんな依頼があるんだ?」
「今でしたら…こんなのはどうですか?」
受付は1枚の依頼書を差し出す。
内容は、王都より東にあるウェトス半島と呼ばれる地域に
魔王が拠点を作ろうとしているので阻止せよ。
というものだった。
「よし、じゃあそれにする!」
「分かりました。
では、この依頼はルア様御一行が受注となりました。
どうか、良い旅を」
ギルドを出た一同、空には星が姿を現そうとしていた。
「今日は遅くなったし、明日から出発だ。
改めて、みんな、よろしくな!」
「はい、よろしくお願いします」
ソフィアがお辞儀する。
「燃えるぜー」
アッシュが叫ぶ。
「りょーかーい」
マリーは気の抜けた返事。
「…」
ユノは無言。
こうして、この寄せ集めのパーティの冒険は始まる。
しかしルアは、まだ理解していなかった。
彼らの真の実力を…、もちろん悪い意味で。
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