第一回!恭介と空をくっ付ける作戦会議!
「え~!ではこれから、第一回“恭介と空をくっ付ける”集会を開催したいと思います!」
風太はチョップスターの空き箱をマイク代わりに掲げ、いつもの作戦会議の場所で威勢よく宣言した。
あの夜のあと──。
帰りが遅い美咲たちを心配していた風太が、泣いている美咲を見つけた。
事情を知らない風太は、修治が泣かせたと思い込み、容赦なく何発も蹴りをお見舞い。
慌てて美咲が弁明したものの、結局「朝食後に集合!」と号令を掛けられたのだ。
「ねぇ……風太君って、時々オヤジ臭くない?」
「そうそう! ジャンケンとか、謎の言葉言うんだぜ」
コソコソ話す美咲と修治の声に、風太がビシッと指を突きつける。
「そこ! 私語を慎みなさい!」
その偉そうな態度に、修治が思わず呟いた。
「わぁ~……講義中の双葉教授みたい」
すると風太は得意げに胸を張る。
「ふふん!」
「わぁ~、可愛くない」
「え! 可愛いじゃない。ね、風太君」
美咲が笑いながら言うと、風太は鼻の下を指でこすりながら誇らしげに言った。
「集会を開く時はこうするんだって。
裏山の狸ジジイが教えてくれたんだ!」
「……裏山の狸ジジイ?」
修治が手を挙げる。
「なんでしょう、修治君」
「その、狸ジジイって誰?」
風太は咳払いをして言った。
「人間界の最先端を知ってるジジイだ!」
「えっと……じゃあ、あの変なジャンケンも?」
「そう! 裏山の狸ジジイに教わったんだ。
“ナウなヤング”はみんな使ってるらしい!」
その瞬間、美咲と修治は顔を見合わせて吹き出した。
「え! 何だよ!」
慌てる風太に、美咲は笑いを堪えながら言う。
「風太君、それ……騙されてるよ。
今どき“ナウなヤング”なんて言わないよ」
「えっ……?」
お腹を抱えて笑う修治を見て、風太は今にも泣き出しそうな顔になる。
「う、うそだぁ! あのクソジジイ!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ風太に、美咲が慌てて話題を戻した。
「まぁまぁ、それより会議するんでしょ?」
「そ、そうだった!」
風太は気を取り直して頷く。
「それにしても……修治。
あんた、ここで風太君たちに何を食べさせてるの?」
美咲は山積みになったお菓子を見て呆れた。
「これ? 俺の荷物にあったやつを、風太ちゃん達に見つかって……」
「で、教授や空さんに見つかったら怒られるからって、ここでこっそり食べてたってわけね?」
美咲がジト目で言うと、修治が気まずそうに笑ったその時──。
「お前ら、こんなところで何してる?」
突然、恭介が顔を出した。
「ぎゃ~っ!」
三人が一斉に悲鳴を上げる。
恭介は眉をひそめ、呆れ顔で言った。
「何をコソコソ悪巧みしてるんだ?」
「恭介、お前に秘密の内緒話なんだ!
だからあっち行っててくれ!」
無邪気な風太の言葉に、美咲と修治が同時に頭を抱える。
恭介は笑みを浮かべながら風太の頭を撫で、低く呟いた。
「そうか……俺に“秘密の内緒話”か……」
そして美咲たちに視線を向け、黒い笑顔を浮かべる。
「で? どんな“楽しい話”なんだろうな?」
指を鳴らしながら、一歩ずつ近付く恭介。
「事と次第によっては……覚悟、出来てるよな?
片桐」
「なんで俺だけ!?」
修治が悲鳴を上げると、恭介は冷ややかに笑った。
「さすがに女の子は殴れないだろ?
ほら、今ならまだ許してやる。正直に吐け」
拳を握りながら迫る恭介に、修治は青ざめて笑顔を引きつらせる。
「教授、落ち着いて!……美咲、助けろよ!」
必死の声に、美咲は両手で十字を切って目を閉じた。
「修治、尊い犠牲になってくれてありがとう」
「えぇぇぇっ!? そんなぁぁぁ!!」
次の瞬間、修治の胸ぐらを掴んだ恭介の拳が振り上げられた──。




