教授、子供を抱えて大ピンチ!
森の中を歩いていた美咲と修治は、なかなか恭介と出会えずにいた。
美咲は切り株に座り込み、
「修治〜、疲れた」
そう言ってため息を吐く。
せっかくお洒落をして来たのに、結局恭介と離れてしまった。
どうしていつもこうなんだろう……と、美咲がもう一度ため息を吐いていると、
「あ! いたいた!」
と、背後から声がした。
美咲と修治が振り向くと、自分たちの存在がバレていないと思っているらしく、
風太と座敷童子が無遠慮に二人の顔をじっと見ていた。
「座敷童子、あいつら変な格好してるぜ」
風太は興味津々の顔で二人を見つめ、
「男の方、頭悪そうな顔してないか?」
そう言って、座敷童子と二人で笑っている。
美咲は二人の前に立ちはだかると、
「ちょっと! 確かに修治は頭悪そうだけど、そういうのは聞こえるように言っちゃダメでしょ!」
と、怒った顔をした。
すると二人は驚いた顔をして、
「お前ら、オイラたちが見えるのか?」
と尋ねた。
美咲は呆れた顔をして、
「当たり前でしょ。何? それとも君たちは幽霊なわけ?」
と続けた。
すると二人は顔を見合わせて、
「ますますヤバいぞ! 早く空に知らせないと!」
そう言って走り出そうとした。
美咲は慌てて二人の腕を掴み、
「ちょっと待ちなさい! あなたたち、こんな山奥に子供だけで来たら危ないでしょ!」
と叫んだ。
風太と座敷童子は美咲に捕まると、
「離せ! ここはオイラたちの縄張りなんだからな! お前らが勝手に入って来たんだぞ!」
そう叫び、風太は美咲の手に噛み付いた。
「痛い!」
美咲が手を離した瞬間、
「ば〜か! ば〜か!」
と言いながらお尻を叩いてあかんべをした。
その様子に美咲は怒って、
「馬鹿にして!」
と言って追いかけようとした瞬間、恭介が現れて逃げようとした風太の身体を抱き上げた。
「藤野君、君たちは子供相手に何をしてるんですか!」
そう言われて、美咲が笑顔を浮かべる。
「教授! もしかして、私たちが心配で戻って来てくれたんですか?」
「いや、帰ろうとしたら、ここに戻ってしまうんだよ」
美咲の言葉に間髪入れず答えた恭介に、美咲はうふふっと微笑み、
「またまた、照れちゃって。本当は美咲たちが心配で戻って来てくれたんですよね」
と言って抱きついた。
片手に風太を抱いているので、美咲を引き剥がせずにいる恭介は、
「片桐君! 藤野君をなんとかしてくれ!」
そう叫んだ。
すると修治は両手を頭の後ろで組んで、
「え〜! 美咲、邪魔したら怒るし〜」
と言って知らん顔している。
「分かった! 離してくれたら、次の課題を免除してやる!」
これ幸いと抱きついて離れない美咲に困って、恭介が叫ぶと、
「マジ!? それ、約束っすよ!」
と言いながら、恭介が抱いている風太の身体を受け取った。
恭介は両手が空くと、すぐに美咲を引き剥がした。
こんばんは。
連休最終日の夜に、お読みくださりありがとうございます。
さぁ! 元気いっぱいの美咲&修治コンビが帰ってきました。
今回もドタバタのコメディ回です。
少しでも笑顔になっていただけたら嬉しいです。
次回更新は【明日の朝8時】。
またお会いできるのを、楽しみにしています




