プロローグ
皆さん、どうもこんにちは。
佐藤と申します。
まだまだ、若輩者ですが、色々な方々に楽しんで頂けるような、小説を書いていきたいな、と思っています。
どうか、応援の程、よろしくお願いします。
……ちょっと待とうか……。
俺は、寝惚け眼の目を擦りつつ現状をもう一度再確認する。
目の前の、玄関先に立って頬を赤らめている栗色のふわっとしたロングヘアーの女の子は、誰だ?俺の知り合いにこんな子居ただろうか?ちょっと記憶の中に検索をかけてみよう……。
いや……一応、分かる。
ただ……そんな訳がないと俺の灰色の脳細胞が否定する。
とはいえ、悩んでいても仕方ないので、確認の為に直接訊ねてみる事にしよう。
「あ、あのー……君って、その……神永……綾乃さんだよね……?」
「は、はい!そうです!」
う、うぉ!?
彼女――神永さんに名前を訊ねた瞬間、急に顔が近づいて来たので、俺は思わず身を引いてしまう。
すると、神永さんは「す、すみません……」と言って顔を更に赤面させた。
うむ。
まことに信じがたいのだが、取りあえず、この人が俺の頭の中にある人と同一人物である事は確かの様だ。
だが、それなら何故神永さんが俺なんかの家を訪ねて来るのか?
という疑問が浮かぶ。
彼女、神永綾乃は俺、桜井悠斗の通う神恵東高校では、神恵東の天使とか月光の女神とかなんとか良く分からん異名で呼ばれる学校のアイドルだ。噂によると非公式のファンクラブもあるとないとか。
まぁ、確かに美人だとは思う。ゆるくウェーブのかかった栗色のロングヘアー、くりっとした大きな瞳、そしてなにより圧倒的な存在感を放つ胸……コホン。じゃなくて、なんかこう護ってあげたくなる様な不思議なオーラが全身から放たれている。ふと、なんか子猫の様だな……と思ってしまう。
ま、まぁ、とにかく学校のアイドルと言われるだけの事はある。正直、俺も一瞬目を奪われたのは事実だ。
だが、すくなくとも俺の家を訪ねて来る目的は特に思いつかない。
一体どういう事だ?新手のドッキリか?今この瞬間にもどこからか「ドッキリ大成功」の看板が出てきたりしないだろうか?しかし、何処を見回してみてもそんな様子は微塵もない。
俺が混乱して何も言えずにいると、彼女は遂に意を決したかの如く、深く深呼吸をすると再度口を開く。
「あの……私との約束……覚えていますか?……桜井悠斗さん」
それは、俺がこの玄関を開けた時に一度聞かれた疑問。
「えっと……その、どういう事でしょう……?」
そう答えつつ、眼の前の少女の泣きそうに潤みだした瞳を見て、俺の背中を冷たい汗が流れるのを感じた。