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まおうのにっき  作者: 月狂 四郎
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派遣淫魔嬢レイナちゃん

 ベヒモスを手懐けた勇者たちはその戦力をフル活用して、どんどんレベルを上げていきます。ふざけやがって。


 このままではあいつらは大した苦労をすることもなく、手の付けられない強さとなって私のところへと辿り着いてしまいます。それはあってはならないことです。


 私は手を打つことにしました。そうです。また刺客を送るのです。


 前回は狂暴ではあるものの、知性の無い魔物を送ったことが間違いでした。ですから今回はその反省を活かして、知的な刺客を選別することにいたしました。


 今回送ることにしたのはサキュバス――淫魔とも呼ばれる、魔界の姫です。


 見た目は妖艶な女ですが、その魔性から何組もいる男女の仲を引き裂き、数えきれないほどの男たちを背徳の沼へと沈めてきました。


 レイナと名付けられたサキュバスは、ベヒモスのようなアホではありません。人間たちに紛れれば、どこの業界でも屈指の実力を発揮するでしょう。


 私はレイナに勇者を誘惑するよう言いました。淫魔は勇者と呼ばれる男がどれほどなのか、楽しみにしていると言いました。


 レイナはコウモリの姿となり、世闇へと消えていきました。


 彼女は賢い淫魔です。あの手この手を使って勇者を篭絡し、どうしようもないダメ人間に堕落させてくれるでしょう。


 思えばそれこそが一番良い勇者の殺し方なのかもしれません。


 色欲に狂わせて、本来の目的を忘れさせる。


 魔王を倒すなどという大それた目標に向かうよりも、淫欲に耽溺している方が人生は楽しい――そう思わせたら、奴はもう来ないのではないか。


 これは名案です。まるでコロンブスの卵です。素晴らしい。エロい悪魔万歳!


 レイナは人を堕とすプロです。勇者たちから、使命感も大義も奪い去ってくれるでしょう。まるで、ソープ通いを続けている内に破産した小金持ちのオッサンのように。


 さあ、魅惑のサキュバスよ、その力を見せておくれ。


 闇落ちして、風俗通いがやめられなくなった勇者をこの私に見せて下さい。

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