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まおうのにっき  作者: 月狂 四郎
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モフられベヒモスの裏切り

 どうして私の人生にはこのような不幸ばかりが起こるのでしょうか。


 先日けしかけたベヒモス――カバに似た、手の付けられない凶獣。そいつは勇者たちを喰い殺すべく南へと向かっていきました。


 その結果は、最悪なものになりました。


 ベヒモスは勇者たちに倒され……たのではなく、勇者たちの味方となりやがったのです。


 ――ベヒモスが裏切った。


 惜しむらくは、ベヒモスを放つ前に勇者たちを確実に殺すよう調教しておかなかったことでしょうか。


 予想通りあまり頭の良くなかったベヒモスは、勇者たちのもとへとすさまじい勢いでやって行きました。


 そこまでは良かったのですが、勇者がベヒモスに干し肉をあげた途端、奴は勇者へとすり寄ったのです。


 嗚呼、手痛いミスをしました。


 私はベヒモスを躾けておくべきだったのです。知らない人から食べ物をもらうなと。


 後悔先に立たず。ベヒモスはものの見事に「餌付け」され、勇者に向かって尻尾を振る始末。遠くの地で中継されるそのさまを眺めて、私は唖然としました。


 勇者たちもまさか目の前に現れたのがベヒモスだとは気付いていない模様で、もしかしたら「でかい犬だな」ぐらいにしか思っていなかったのかもしれません。


 ベヒモスは勇者一行の誰を仕留めることもなく、彼らの仲間になりました。


 オーマイファック……私は最悪の敵を増やしたことになります。


 勇者たちはここぞとばかりにベヒモスを調教して、敵を倒すと餌付けで信頼感を築いていきました。食べ物で魔物を買収するとは卑怯な奴らです。


 手懐けられたベヒモスは、ちょっとやそっとの魔物たちであれば瞬殺していきやがります。それを見た勇者たちは「すげーwwwww」とかほざいてやがります。ふざけやがって。


 ピロリンピロリンピロピロリン。


 嗚呼、またまともに闘いもしない奴らのレベルがどんどん上がっていきます。それもほとんどが私の放った刺客の戦果です。このような不条理があっていいのでしょうか。


 まるで大当たりの助っ人外国人を巨人軍に引き抜かれた気分です。


 神よ、本当にいるのなら教えて下さい。


 私は、あなたに憎まれる何をしたのですか?

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