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まおうのにっき  作者: 月狂 四郎
3/10

パ〇ス(ぬわー!!)

 人生とはなかなかうまくいかないものです。


 これを書いている私の心は、散りぎわの桜のように乱れています。


 勇者の討伐に向かったオーガたちは、予定通り勇者の生まれたと言われる村を襲いました。そこまでは良かった。


 ですが、なんと肝心の勇者については取り逃したというではありませんか。


 オーマイファック……私はこれまでに無いほど動揺しています。


 聞けばオーガたちは勇者たちの家を取り囲んだそうです。


 あと少しで勇者をその手にかけることができる――そういった時に、勇者の父親が立ちはだかったとのことでした。


 タチの悪いことに、その父親は王都で騎士団を務めていたという強者だったのです。


 何人かのオーガが斬り殺され、不運にもその人生に幕を閉じました。それでも集団で取り囲み、多勢に無勢のフルボッコで勇者の父を倒したとのことです。


 父親は誰にも届かない遺言を残してから「ぐふっ」と息を引き取ったとのことでした。


 時間はかかりましたが、邪魔者はいなくなりました。


 さあ、これで勇者をその手に――というところで家に踏み込んだところ、すでにそこはもぬけの殻となっていました。


 ――やられました。


 そうです。父親は自身の命と引き換えに勇者を遠くへと逃がしたのです。


 これだから人間という生き物は嫌なのです。


 私たちにはまったく理解ができません。


 どうして他者を救うために自身の命を犠牲にできるのか。イカれているとしか思えません。


 どうあれ、勇者には逃げられました。最悪の結果です。


 作戦に失敗したオーグたちを「粛清」した後、私は恐怖で震えました。


 嗚呼、いつか勇者が私を殺しに来る。


 私は彼に、魔王を殺す理由を与えてしまいました。


 何年も経った後に、彼は復讐心に満ちた最強の敵となって帰って来るでしょう。


 私はいつになれば安心して眠れるのでしょうか?


 生きていくのはつらく、厳しいことです。


 誰か私に、生きる希望をください。

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