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23.イチゴパンツのイチゴが届いた

 目の前に用意されたのはカボチャ。それも色がピンク色だった。よく見たら白い水玉が入ってる。可愛いと思うより、毒々しいね。でもハロウィンの飾りでありそう? 口と目を切り抜いたらいけるか。


「はろうぃん? はよく分からないけど。ピンクはイチゴと言ってたから、取り寄せたの」


 リディが得意げに豊かな胸を張る。羨ましい、私も将来はあの大きさに育つだろうか。ぺたんと平らな胸を撫でてみる。複雑そうな顔をしたアランとエルに頭を撫でられた。その表情は、無理って意味かも。


「サラは今のままで魅力的だ」


 エルの慰めが沁みるわ。幼女趣味でも許してあげよう。アランも私を抱き締めて頬擦りした。


「可愛いことは正しい。サラは最強に可愛いですよ」


 慰められながら、ふと気づいた。さっき、リディはこれをイチゴと呼んだよね?


「イチゴ、なの?」


「サラちゃんが知るイチゴは違うの?」


 お互いに疑問をぶつけ合い、頭の中に真っ赤なイチゴを想像する。甘酸っぱくて、美味しい。大好きだけど、ピンクのカボチャではなかった。


「うーん、味は近いと思うの。でも形は違うわね」


「先にイメージを聞いてから取り寄せたらよかったのに」


「どちらにしろ、イチゴはこれなので同じ結果なのでは?」


 リディが唸る横で、エルがむすっとした顔で文句をつける。平然とナイフをどこからか取り出したアランは、さくっとイチゴを切り分け始めた。


 皮は剥かない。そのままサクサクと切り進め、真っ二つになった。中は赤い。イチゴの中と外が入れ替わった感じの色合いだった。割れたイチゴの半分をエルが片付けさせる。受け取った侍女が運んでいくけど、その様子が仰々しいのが気になった。


「サラは本当によく見てるね。賢い証拠だ。残ったイチゴはデザートに加工してもらう予定だよ」


 エルが誤魔化そうとしてる。じっと見上げると、頬を赤くして顔を両手で覆ってしまった。


「隠してなんて……」


「やだ羨ましい! 見つめ合うなんて、私もしたいわ」


 リディが乱入し、たわわな果実を強調したお胸に抱き込まれた。苦しいけど、柔らかい。やっぱり胸が筋肉はちょっと硬いよね。柔らかい方が私好みだな、幸せ。うっとり目を閉じる間に、イチゴは可愛くカットされた。


 赤い鳥の形だけど、お胸様を堪能していた私は制作過程を見逃してしまった。残念。


「また切りますよ。それよりどうぞ」


 赤い鳥をお皿に載せて差し出された。


「可愛い」


 思わず漏れた声に「可愛いが可愛いを手にするのは最強すぎる」とエルが叫び、悶える。領主って幼女趣味の変態でいいの?


「平気さ、俺は聖獣だからね」


 よく分からない理論だけど頷く。手の上には金縁のお皿と赤い鳥のイチゴ。ドキドキしながら近づき、口付けるみたいに頭から頂いた。途中までメルヘンなのに、最後がホラーでごめん。首を噛みちぎったら、ぶわっと優しい甘さが口を支配する。


「美味しい!」


 例えるなら、イチゴ味のアイスだ。乳製品が入ったっぽい味。柔らかくてババロアみたいな食感だから、イチゴババロア? でも冷やしてあってアイスみたい。


「サラちゃんが喜んでくれて良かったわ」


 微笑みながらリディは優雅な動きで、赤い鳥をフォークで真っ二つにした。意外と怖い。隣でエルは首を摘んで丸ごと頬張るし。アランは上品に微笑むけど、もう口の中みたい。首を噛み千切られた可哀想な姿のイチゴは、責任持って最後まで胃に納めました。ご馳走様!

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