22.カボチャパンツでもなかった
抗議して改めて絵を描いた。みんな褒めてくれるけど、同じパンツじゃないと答える。私の絵が下手なの? じっと見つめてもう一度隣に描き直した。もっと半ズボンみたいで、でもスカート感があって。
じっと手元を見つめたアランが、ぽんと手を叩いた。
「多分分かりました。こういうことですね。スカートの真ん中を縫えばいいんです」
「近い! さすがアラン」
「半ズボンの上にスカート縫い止めても同じじゃない?」
リディが首を傾げるけど、それはかなり違う。だって、見た目は似てても内側が窮屈だもの。その説明に彼女も理解してくれた。
で、話は終わったと思うじゃない? 終わっていなかった。新しくキュロットを注文し直したリディは、振り返ってカボチャパンツを手に取る。左の腰部分に緑のヘタ? も付いてる。
「さあ、これも着てみて。絶対に可愛いから」
「やだ」
「大丈夫ですよ、タイツがありますから寒くはありません」
「そうじゃない」
形に抵抗があると話す間に、幼女ゆえの悲しさか。抱き上げられてしまった。膝の上で何度も説得されると、私が悪い気がする。高いお金を払ったのに、なんて言葉は卑怯だ。でもその通りだった。
買ってくれたのはリディとアランとエル。私はお金を稼いでないし、持ってないから頼りっぱなし。ご飯やおやつ、住む場所も提供されてるのに、偉そうに拒むなんて。
言われるままにタイツを履いて、カボチャパンツを引き上げる。腰と足のところがゴムっぽい仕様で、きゅっとしていた。お尻の部分はもちろん、中には綿が入っているみたい。内布と外布の間に、たっぷり入った綿のおかげで形が崩れなかった。意外に凝ってる。
「こっち来て、サラちゃん」
「可愛いですね」
褒められると嬉しくなる。くるりと回ってみせた。あんなに嫌だったのに、着てみたら着心地は悪くないよ。座るとお尻の綿がクッションになるから、気持ちいいし。色も可愛いピンクで、ハロウィンの仮装みたい。仮装衣装と割り切れば、異世界だし普通だよね。
「やっと終わ……っ、やばい。すっごい可愛いじゃないか!」
エルが部屋に入ってくるなり絶賛する。抱き上げてくるくる回り、下ろしてもらってからも褒め続けた。優しいお兄さんって感じで、人の姿のエルにしがみ付く。後ろで羨ましいと騒ぐ二人は、さっきまで私とアイス食べてたじゃん。今度はエルの番。
「優しいな、サラはいい子だ。仕事の疲れが癒える」
「そう言ってもらうと、私も嬉しい」
笑顔を振りまくのが私のお仕事。にっこり笑って抱き締めてもらう。そこで気づいた。このパンツ、抱っこしてもらうのはいいけど、抱き付くには邪魔だね。パンツの前の部分が邪魔で密着できない。
「却下ね」
リディの一言で、ピンクのカボチャパンツは回収されてしまった。ところで、後で知ったんだけど「カボチャ」じゃなくて「イチゴ」のイメージだったみたい。つまり、あれはイチゴパンツ?




