外伝2−10.もっとずっと幸せになるわ(最終話)
叫び声が終わるや否や、空中から綺麗な女神様が落ちてき……あれ? この方ってこの世界の女神様じゃない。少し若いけど。
「若いのはいつもよ」
ふふんと胸を逸らす姿からして、どうやら若作りしてきたみたい。別にいいけれど。アラン達も女神様が来ても跪いたりしないのよね。
「この世界、楽しいんですもの。管理してる中で一番発展してるし、聖女が幸せそう。私も一緒に暮らすわ」
副音声で「異世界の神ばかりずるい」が聞こえた気がして、ふふっと笑いが漏れた。今さら女神様が増えても、大差ないと思うわ。やや膨らんだお腹を撫でながら、私はアランが用意したクッションに寄りかかった。今回、やたらと重いわ。
「言い忘れてたけど、サプライズがあるのよ」
「双子とか」
「……やだっ、なんで!?」
取り乱す女神様を見ながら、やっぱりと苦笑いした。だって、アリスの時よりお腹が大きいのよ。悪阻が軽いのに変だな、って感じてたの。女神様、隠してるつもりだったのね。知らないフリしてあげたらよかったわ。
「心の中で思ってる時点で、私にはバレてるわよ」
しょんぼりした女神様にアリスが白い花を差し出した。
「はい、あげゆ」
なんか噛んだけど可愛い。ほっこりする周囲にも、摘んできた花を一輪ずつ渡していく。アゼスは赤、リディは黄色、アランと私は同じ青い花。異世界の神様は白だった。纏めて束ねた5つの花を、エルへ渡す。数が多い上にピンクだわ。分かりやすい愛情表現に、エルが満面の笑みで受け取った。
「光栄です、お姫様」
「お嫁様なのよ」
「「「「「え?」」」」」
アリス本人の中では、すでにお嫁さんが確定したみたい。女の子はオマセだと言うけれど、早すぎるわよ。まあ、エルなら心配ないかな。安心して任せられるわ。私の評価が擽ったかったのか、エルの顔が真っ赤になった。
「やっぱり召喚されたサラを助けて正解だったわ。聖獣も世界もこんなに幸福だもの」
女神様は幸福を司る方で、自分の世界を創っては幸福をばら撒いていく。維持するために作ったシステムが、聖獣と聖女の関係だった。
「私、この世界に来て幸せよ。捨てられた時はどうしようかと思ったけど、見返して余りあるくらい幸せになったもの」
「私もサラと結婚できて幸せです」
ちゅっと額にキスをしたアランに、お返しのキスを贈る。もちろん人前で唇はダメだから頬にしたわ。
「アゼス、リディ、エル、夫のアランや娘のアリスも。私を幸せにしてくれて、ありがとう」
自然と感謝が口をついた。でもまだまだ足りないわ。人間は貪欲なのよ、それが聖女の肩書きを持っていてもね!
お腹にいる双子も含めて、誰もが羨ましがる幸せを手に入れるわ。必ず叶うんだから。願うのが幸せになるための聖女だもの、叶わないはずがないわ。
The END……
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。サラちゃんの冒険はここで終わりです_( _*´ ꒳ `*)_また新作、または現在書いているお話でお会いできれば幸いです。
***連載中***
「魔王様、今度も過保護すぎです!」
「世界を滅ぼす僕だけど、愛されてもいいですか?」
「要らない悪役令嬢、我が国で引き取りますわ ~優秀なご令嬢方を追放だなんて愚かな真似、国を滅ぼしましてよ?~」