自宅
涼風や花音含めて4人に真実を伝えるべきだと思った俺は授業中悩みに悩んだ末、同時に4人を放課後に呼び出すことを決意する。
涼風や花音が泣いた時のことを考えると涙実や希愛に居てもらった方が良いかなと安直に考えたのだ。
どうせ、俺が慰めたりしたって意味が無い。
原因が俺なのだから。
涙実を頼り、涼風を呼び出してもらう。
場所は俺の家だ。
学校のどこかで集合という形でも良いかなと思ったが、俺自身が迷って辿り着けない可能性もあり、本当のことを伝える前に4人をイライラさせる訳にはいかないので間違いなく俺が辿り着ける場所をセッティングした。
一応、希愛には直接声をかけておく。
メールでも良かったがどうせ隣に居るのにわざわざメールするのは女々しすぎる。
「今日俺の家来れるか?」
「アンタの家? なんでよ」
「ちょっと話したいことがあるから。希愛だけじゃなくて涙実達も来るからさ。お願い」
「はぁ……。分かったわ。行ってあげる。特に用事も無いし、一緒に帰って良いわね?」
「あぁ。特に問題は無いけど良いのか? さっきの人達に勘違いされるかもしれないぞ」
「からかってくるだけで本気で思ったりなんかはしないわよ」
ということらしい。
思ったよりもあっさり承諾を得れた。
どうやって切り出そうかと悩み、緊張していると放課後を迎えていた。
帰りのホームルームを終えると、リュックを背負った希愛が席の前に立っていた。
そのまま、俺の机にポンッと座りそうな勢いである。
「帰るわよ」
黙っていた俺に対して一言だけ添えると、さっさと教室から出ようとする。
置いてかれるわけにはいかないと思った俺は慌てて荷物をまとめて、希愛を追いかける形で教室を出た。
住宅街を通り、少し大きな道を歩き、時には信号で足を止めて、また細い住宅街の道を歩き家へと到着する。
時間にすると約20分前後。
下校中に会話こそしたが、とても会話が弾んだと評価はできない。
電話ではそこまで感じなかったがこうやって直接会うと希愛とは高い壁を感じてしまう。
距離感とでも言うべきだろうか。
多分2人っきりというのも少なからず関係している気がする。
「俺の部屋はこっちね。まだダンボール片付いてないけれどそこは許して」
「片付いてない部屋に女の子招待しないで」
「仕方ないだろ。突然だったんだから」
ここで会話が止まってしまう。
何かさらに踏み込んだことを言えたら良いのに言い訳だけして終わり。
そんな言葉に希愛は返したくても返せなくムスッとした顔をしながら部屋へと入っていく。
お茶と適当なお菓子を漁り、部屋へと持っていく。
「はい。どうぞ」
「気は遣えるのね」
「そりゃ、俺だってそのぐらいできるさ」
また沈黙が流れる。
なにか喋って間を繋がなきゃいけないという気持ちにさせられ、心がソワソワし、時計の秒針の音が煽りに聞こえてしまう。
何か話題はないかと頭を巡らせるとお茶を1口飲んだ希愛が口を開いた。
「涼風とかは? 遅くない?」
「そうか? 俺たちだって今来たんだしこんなもんだろ」
「そう」
なぜ、希愛と2人っきりだとこうなのか。
少し悩むとすぐに答えが出てきた。
希愛と2人っきりで俺の部屋に居る……。
童貞の俺には緊張しても仕方なのないシチュエーションであった。
希愛を幼馴染としてしか見ていなかったから、意識なんてしてなかったが、なんかの雑誌のトップモデルであったり、ドラマの主演女優なんかをやっていても驚かないような美貌の持ち主だ。
そんな女性が目の前におり、密室に2人っきり。
無意識のうちに意識して緊張してしまっていたのだ。
「……。アンタなに顔赤くなってるのよ。キモ」
希愛はそう口にするが言葉の勢いは弱々しい。
それどころか、希愛も頬をうっすら赤らめている。
「人のこと言えねぇーだろ」
「うるさい……。ばか」
「なぁ――」
雰囲気をぶち壊すインターホンが鳴り響く。
そして、すぐに「ごめんね。待たせちゃった」と涙実の声がインターホン越しに聞こえてくる。
「あぁ……。今の忘れてくれ」
一瞬で頭が冷却された俺は眉間を押さえながら玄関へと向かい、涙実、涼風、花音の3人を部屋へと上げた。
お茶を3人分用意して部屋へと持っていくと希愛が凄い剣幕で睨んできている。
いや、その、非常に申し訳ない。
ご覧頂きありがとうございます。
PVはたくさん頂けるのですが、ブクマが一切動かず「バグってるのかな」と思ってたんですけど、どうやらバグは無いらしく……。
なんか悲しいなと思いつつもPVはしっかり貰えてるので完結まで執筆しようとは思っています。
しばらく物語は続く予定で考えていますが、最後までお付き合いよろしくお願いします。