日曜日にお出かけ
さて、バーベキューが終わり、ゆっくりとしたい所ではあるが、今日も今日とて外出している。
隣にはバッチリとおしゃれしている希愛の姿がある。
そう、今日は希愛とのデートだ。
謝罪デートとでも呼ぼうか。
「家の前で集合して行くとかデートっぽさ無いわね」
隣を歩く希愛はそんな文句を垂れる。
「わざわざ駅で集合するのも馬鹿らしいだろ」
「それはそうだけれど……。少しぐらいデートっぽさとかも意識しなさいよ」
ムッと頬を膨らませる。
ちょっとばかし不服だったらしい。
もしも、次回のチャンスがあるのならば改善しようと思う。
出任せで希愛を宥めながら、駅に向かい、何回か電車を乗り換えて目的地である遊園地の最寄り駅に到着する。
所要時間としては1時間と少しという感じだ。
極端に長いわけでもなければ、短いというわけでもない。
希愛に入場券を手渡す。
某夢の国のような大きさの遊園地ではないため、もう開場しているというのにそこまで人は居ない。
この遊園地の来園者数が少ないとよりは比較対象が極端に多いだけなのだが、遊園地といえばあの夢の国をイメージしてしまうので「空いてるな」という感想を抱いてしまう。
もうこればかりは致し方ないことなのだろう。
入園し、パンフレットを受け取る。
ここの遊園地に来たのはいつぶりだろうか。
少なくとも転校する前に1度来たがそれだって何歳の頃か憶えていないぐらい昔のことだ。
「希愛。最初何に乗りたい?」
「ここはどこどこ乗ろうぜって引っ張るところじゃないの」
「俺にそんなの期待すんな」
「ふん。それぐらい分かってるわよ」
希愛はそっぽを向き、立ち止まる。
ガガガガと大きな音をたて、その後に絶叫が鳴り響く。
希愛の向いた先にはジェットコースターがあった。
「ジェットコースターにするか?」
「乗りたいなとは思ったけれど一発目からはどうなのかしら。別に怖いって訳じゃなくて、単純に疲れ的な意味よ」
「早かれ遅かれ疲れるもんは疲れるんだし、迷うぐらいならサッサと乗っちゃおうぜ。迷ってるだけ無駄だろ?」
「ふん。じゃあ乗るわよ。怖くて泣いたりしないでしょうね?」
少々高圧的な態度で問う。
変な心配をされているが絶叫系は苦手じゃない。
むしろ、得意だ。
「逆に希愛泣くなよ。お前がここで泣いたら俺が泣かしたみたいになって困っちゃうからな」
「はぁ!? アンタ私が泣くとでも思ってるわけ? 喧嘩売ってるの? 安全バー外して外投げ出すわよ」
「明確な殺意出すのやめろ」
ジェットコースターに乗る前から命の危険を感じつつ、ジェットコースターの順番待ちの列に並ぶ。
この列も某夢の国の滝のジェットコースターのように3時間待ちなんてことはなく、精々20分前後という感じだ。
「ちょっと良い?」
並んでいると隣にいる希愛が俺の二の腕を人差し指でちょんちょんと突っつきながら、上目遣いで見てくる。
言葉遣いを和らげればここまで可愛くなれるのだから非常に勿体ない。
なんてことを思っていると背中をバシンと叩かれた。
どうやら、顔に出てしまっていたらしい。
普通に痛い。
絶対に背中赤くなってるんだけど。
「なんだよ」
背中を擦りながら、希愛に話を続けるよう催促する。
ちょっと不機嫌な表情をしている希愛であるが口は開いてくれた。
「アンタさ、彼女作る気ないって言ってたでしょ?」
バーベキューの約束をした日のことだろう。
涙実の作戦に乗っかった俺はその発言をした。
「それって彼女は作る気ないけれど、好きな人は居るってことよね?」
揚げ足取りのような理論であるが、即座に否定することは出来なかった。
自分の中で夢中になっている人は居ないが思わず目で追ってしまうような、気になる人は存在するからだ。
少し間を開けてから「どうなんだろうな」と肯定も否定もしない言葉を残す。
自分でも少しずるい発言だなと思うが、実際問題好きな人が居るのか居ないのかが分からない。
だから、仕方ないだろう。
「――」
「それじゃあここのカップルさんまでご案内しますー!」
ジェットコースターの案内スタッフさんが元気良く声を出し、希愛の声を綺麗に掻き消す。
希愛はじわりじわりと頬を赤らめていきながらこちらをジッと見つめてくる。
「さっきなんて言った? 声被って聞こえなかったんだけど」
「は!? アホ。バカ! このご都合主義主人公。バカ!」
背中じゃなく頭をバシッと叩かれ、フンっとそっぽを向かれる。
ご都合主義主人公扱いをされてしまった挙句、バカをなぜか2回も言われてしまう。
なんでだよ、俺悪くないだろ。




