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魔王転生~元魔王と勇者とその他諸々の物語~  作者: Black History
謳歌する一学期
6/28

——改訂版2——青春を謳歌せし者人生を知る

さて、青春とはいったい何であろうか。




こんな問いに対して陰陽五行思想に基づいた15~29歳の期間の名称のことと言ったやつはくそくらえだ。




おっと失礼、本音が出てしまった。

くそくらえではなくて博識ですねとほめたたえるべきだったかな?




まあいずれにしても「青春とは何か」という問いにはそんな無味乾燥な答えを俺が求めていないことはこれを読んでいる健常な読者、精神が健常な者たちになら論理的にとはいかないものの感覚的にわかってもらえるだろう。




では博識な方々に「くそくらえ」という俺の答えはどうなんだだろうか。




俺は青春というものを青年たちが自分や他人、あらゆる対象物について悩み、恋愛にうつつを抜かし、はたまた精根尽き果てるまで夕日に向かって走るような時期だと思っている。




これではあまりに具体が過ぎるからもっと抽象的に言おう。




つまり俺は人生を謳歌する時期だと思っている。




これを聞いてある人は「ああはいまたそれね」というだろう。




これを聞いてある人は鼻で笑うだろう。




これを聞いてある人は「すごい!」とありがたくも思ってくれるだろう。




「すごい!」と思っていただいた方には申し訳ないのだが俺が言ったことは結構ほかの人も言っている、当然の常識ではないものの当然の帰結なのだ。




しかし、当然の帰結はあながち間違っていなかったのだ。




事実、俺は今から話す数日間でこれからめったに出会わないであろう濃密な時間を過ごした。











(ジリリリリ、ジリリリリ)




目覚ましが鳴る。




俺は当然、その耳をつんざく不快な音を消そうと手を伸ばすのだが、ちゃっちゃと消してぎりぎりまで二度寝しようと手を伸ばすのだが、肝心の目覚まし時計があるべきはずのところにない。




そこで俺は思い出した。




愚かしくも昨日の俺は、過ぎ去りし日の思い出は、朝のこの体たらくのせいで何度も遅刻しかけたことを教訓に手の届かない、立ち上がらないと届かない場所に目覚まし時計を置いてしまったのであった。




俺にはこういう風にその時は名案だと思っても後々俺を苦しめるものになるという経験が多くあるのだが、これを読んでいる読者はどうだろうか。




ある?だよね。

こういうのってすごいストレスなんだけどストレスのぶつけどころに困るよね。

だからちょっとそこの目覚まし時計を止めてくれないか?

え?無理?だよね。

そして俺は昨日の俺にぶつぶつ文句を言いながらのろのろと立ち上がるのだった。











かんかんと日照る太陽はここは俺の時間だと言わんばかりの輝き用で、道中はあまりの暑さに揺らめき立ち、セミどもも俺達より濃密な一瞬に、ものすごい速度で迫ってくる終わりにただ鳴くことで助けを求めるのであった。




そんな道中、俺は額に汗しながら、暑さにへばりながら、体中に汗を流してあまりの暑さに「ひぃ…ひぃ…」と言いながら手をだらしなくぶらんと下げて、いわば手を重力に任せてのろのろと歩くのだった。




俺は暑さが苦手だ。




寒いのだったらいくらでも着こめばいいが暑いのだといくらでも脱いでいいってわけではない。




全裸になっても暑かったらそれは暑さというのは強敵であることを示す最たる例だろう。




しかし彼女は、銀髪のショートカットに無表情をたたえている彼女は、この暑さの中でもただ凛としてそこに立っているのだった。




彼女の周りだけは涼しげで、白銀色の髪から想起される冷たさに見事にマッチしていた。




そう、彼女とは蘭のことである。




蘭は俺がこんなありさまだというのに一人涼しげな顔をして、いや、無表情なだけだから暑さを感じさせない顔をして俺と合流したのだった。




「おはよう、蘭。しっかしこんな暑さでよくいつも通りでいられるよな。」


「…そう」


蘭は俺の合流のあいさつもとい単純な疑問を短くあしらった後すたすたと学校のほうへ歩いていくのだった。


しかしいつもはここで二三言話をしてから行くのに今日はないことを考えると蘭の方も一刻も早く日陰に入りたいようだった。


俺もそれに遅れないようについていった。











クラスに着いた。




俺はいつも通り席に着くと後ろの席から肩をトントンとたたかれた。




俺の後ろの席にいてかつ俺に話しかけてくるようなやつは一人しかしない。




そいつは金髪のツインテールで顔は端正ではあるんだが、少し性格のきつそうな女だ。




そしてそいつは自己紹介の時に「私が来たからにはこのクラスでの悪事は断固として許さないわ。覚悟なさい。」なんてことを宣いやがった張本人でもある。




そう、そいつとはサンドラである。




「なんだサンドラ。依頼が来ないのはここが十分に平和であるからで決してここが悪の組織に乗っ取られたため悪人しかいないからではないぞ。」


「そ、そんなことわかっているわよ。それよりなんか仰ぐものない?暑すぎて汗かいてきたんだけど。」


「仰ぐものなんてなんでもいいだろ。教科書でも仰げるし何なら手でも仰げる。この世には案外ほかの用途で活躍するものも多いんだぞ。」


「教科書ってあんた、こんな重いもので仰げると思ってんの?もし仰げても手首がどうかしちゃうわ。」


「ああそうかい、それじゃあ残念だったな。俺にはあいにく仰げるものなんてないし第一持っていたとしても俺が使っている。お前はそのうだるような暑さの中でただ悶々と今日という日を過ごすのだな。」


「普通に無いっていえばいいのになんかむかつく。」


それから俺たちは何らとりとめのない会話をうだうだと、長々しく、特にオチもないまま続けるのであった。











じめじめとした暑さの中、帰りの会になった。




普段なら特に何もないから軽く流させて貰っていたのだが、今回は重要なこと、いわばこの後の展開に関わるようなことが言われたのでここに記すことにする。




その日の帰りの会では体育祭というのだろうか、そういうような祭りを行うために明日事前練習が行われると言われた。




まあ、事前練習というのはそこまで本格的なものではなくて、競技の順番を確認するだけのものらしいが。




しかし、これは俺にとっては寝耳に水な話であった。




そもそもこんな行事が近日中にあるという話なんて知らなかったし、さらに悪いことにこっち側にはサンドラという熱血漢、いや男ではないから熱血女がいる。




俺にはサンドラすなわち熱血女に連れまわされる未来が容易に想像できた。




そしてその想像は俺の背筋を悪寒となって襲う。




今は暑さの極みだというのに悪寒が俺を襲う。




案の定サンドラの眼は「体育祭」と聞いて目がキラキラと輝いていた。











サンドラは体育祭と聞いて黙っているような女ではなかった。




だからその日の放課後、俺はこっそり帰ろうと、こっそり逃げ出そうとしたのだが、すんでのところでサンドラにつかまってしまった。




「とりあえず部室に集合するわよ。」


サンドラは満面の笑みで言う。


これはまずい!なんとしてでも部室に着く前に逃げなくては!




そんな俺の抵抗むなしくサンドラにずるずる引きずられていくのだった。











「いい!皆!」


部員、というよりかは正義部はまだ同好会だからメンバーか、が全員集まった部室でサンドラは口を開くのだった。


「今回の体育祭、絶対に盛り上げるわよ!」


「盛り上げるといってもな、いったい何をするんだ」


俺は呆れながらも聞く。


「それを今から考えるのよ!いい!」


奥からホワイトボードを取り出してきたサンドラは


「案が決まるまで今日は帰さないから!」


と言ってやる気満々なのであった。











「さあ皆、ジャンジャン意見を言いなさい!」


盛り上げるといってもな、正義部なんて言う得体の知れない同好会にできることは限られてんじゃないのか?




しかしそんなこと言っても聞いてはもらえないだろう。




俺はどうすれば体育祭が盛り上がるか考えることにした。




「安直にみんな頑張ればいいんじゃないか?」


「何言ってんの。そんなの当たり前よ」


なるほど、こいつは体育祭はみんな頑張るものと思っているらしい。


「いやいや、頑張らない人だっているんだぞ。そういうやつらを活気づかせるのでも十分盛り上がるだろ」


「いちいちそんな奴らの相手をしていたらきりがないわ。ちょっとはこの部活の人数も考えなさい。」


なるほど、こいつも時にはまともなことを言う。


確かに北コルロ高校は結構な大所帯でそういうやつらにいちいち喝を入れるのは人員的にも時間的にも無理そうだった。


「はい!じ、じゃあ合唱とかどうですか?」


エマさんが若干サンドラの熱量に押されながら言う。


エマさんとはサンドラと初めて会った時、あの痴漢事件から知り合いとなった人だ。




その時のエマさんは痴漢の被害者であり、サンドラの後ろで泣いていた。




この人とはひょんなことから再開し、同じ同好会に入ってもらっている。




「何言ってんのエマ!それじゃ私たちの前の方の人しか楽しめないじゃない!それにエマ!あんた大きな声出せるの?もしいつものように弱弱しい声を出したらただじゃおかないわよ!」


サンドラが即座に言う。


その勢いに押されてか、エマさんは「ひぃ…」と小さく言ってすっかり縮こまってしまった。


「では、ダンスなどはどうですか?」


エリックが口をはさむ。


「ダンス…ダンス!いいわね!それでいきましょう!」


サンドラは噛み締めるように呟くと、いきなり大声を出し後ろのホワイトボードをバンとたたいた。


俺は蘭にダンスなんてできるのか心配になって蘭のほうを見たが、蘭は聞いているのか聞いていないのかわからない具合にちょこんと椅子に腰かけ、ホワイトボードをなんともなしに見ている。




蘭に関しては分からなかったが、しかし、もし蘭がダンスをOKしたとしてもひとつ問題が残った。


「おいおいちょっと待て!体育祭まであと何日だと思ってんだ!そんな短期間でダンスなんて習得できんのか?」


実際、時間は今日を含めても4日しかなかった。


普通に考えれば到底無理だ。


「何言ってんの、できるかできないかじゃなくってやるのよ!」


しかしこの女、サンドラにはそういう普通が通用しなかった。


こいつはやるといったことは何でもやってのけるのであった。


俺に満面の笑みで言ってのけたサンドラに俺はため息をつき、やれやれといった様子で同意するのだった。


「よし、じゃあ私たちはダンスをすることにするわ!曲とかそこらへんは全部私が明日までにやっといてあげるから明日朝一からここに集合ね!解散!」




そして俺たちは各々帰路に就いた。











(ジリリリリ、ジリリリリ)




目覚ましが鳴る。




確か時間に余裕があったはずだ。




俺はその不快な音に目覚めるとともに目覚ましのあるであろう方向に手を伸ばす。




ようは目覚ましの音だけ消してぎりぎりまで二度寝しようという魂胆なのだった。




しかし、そんな魂胆は瓦解する。




というのも昨日もおとといと同じく目覚まし時計を立ってしか届かない場所に置いたからだ。




俺はまた昨日の自分にぶつくさ文句を言いながらのっそりと立ち上がり、起きるのだった。




しかし、時計を見てみるといつもと比べて起こす時間がやけに早い。




一体なぜだっただろうか。




しかしその疑問はすぐに解消される。




そうだった、今日は朝一からダンスの練習をするんだっけか。




俺は心持ち急ぎながら支度をして家を出たのだった。











「皆!おはよう!よく来たわね!今回のダンスでは今から配るプリント通りに踊ってもらうから!」


そしてプリントが配られる。


そのプリントに目を落とすと俺は思わず声にこう出してしまった。


「は?」












前の後書きではここで新しい物語について書いていたみたいなんで、それを踏襲します。

結論から言ってしまうと、新しい物語は全然進んでいません。

ですが、これはあくまで書いている側の感想なんですが、この物語より面白いような気がします。

まあまだ序盤も序盤までしか書き終わっていないのでこの後どうなるかはわからないのですが。

次に、ここまで客観的に読んでみて気づいたことを書きたいと思います。

僕の物語って「である」とか「であった」が多用されていてうざいんですよね。

ですから、これからはそこにも気を付けて改訂していこうと思います。

そういえば、新規読者の方でこの後書きを読んでくださっている方はそろそろこの物語の良し悪しが分かって来たんじゃないんでしょうか。

いや、本当は僕が思うに一章の一番の山場は夏休み編だと思うのですが、そこまで読んでもらおうとするのは強欲ですのでここら辺までの感想でもうれしいです。

ですから!感想をください!

じゃないと生硬な文章しか書けない筆者の独断と偏見でのみこの物語が形成されてしまうのです!

どうか感想をお願いします!

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