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魔王転生~元魔王と勇者とその他諸々の物語~  作者: Black History
謳歌する一学期
3/28

——改訂版2——旅立ちは再開と共に

入学式の前々日となった。




ユクドニアはオリンパスから結構離れた位置にあるので、今から出発する。




入学式式辞で言う文章を懐に携え、寮で暮らすうえで必要な道具一式をそろえた。




今日の天気はまるで俺の旅立ちを応援しているかのような快晴だった。




忘れ物がないよう、念入りに確認していると、時計はもう出発の時刻を示しており、俺は慌ててリビングに駆け込んだ。

そこには二人の姿、父親と母親が座っており、俺のどたどたした足音でそろそろ出発することを悟ってくれているようだった。


「行ってらっしゃい」


二人は声をそろえて言うとどこか昔を懐かしむ様子で、どこか未来を想像する様子で、ただ微笑みをたたえるのであった。


「行ってきます」


俺はそう一言短く言って家の外に出た。











「いっけね、もうすぐ馬車が出ちまう。」


俺は駆け足で馬車の停留所へと向かっていた。


もう少し余裕を持つべきだったか、そう無意味に過去に対する後悔をしながら目的地へと向かっていた。




停留所へ着くとどうやら馬車は今着いたところらしい。最後の乗客が乗り終わるか否かで俺も無事乗り込めた。


「ふぅ、ぎりぎりだな。」


そうひとり呟き、かいた汗をぬぐっているとその馬車の中には見知れた顔があった。


そいつはただ無表情に下を見つめながら、馬車の揺れに従って銀髪のショートカットを揺らしていた。


そう、稲川蘭である。




俺は声をかけるかどうか迷っていた。

何せ途中から疎遠になってしまった相手だしな。

しかし、それとは逆に声をかけないのも失礼だという俺もいて結局は声をかけることにした。




馬車の揺れに注意しながらゆっくり近づいてみるとどうやら結構な荷物を持っているらしかった。

まるでこれから寮で暮らすかのように。


「おう、蘭、久しぶりだな。」


俺は当り障りのないように最小限に言葉をまとめた。


すると蘭はこっち側を向きすぐに俺と分かると


「…久しぶり。」


と言った。


まあ俺にはそこから会話を発展させるような能力はなく、そのあとはただひたすらに沈黙が流れただけだったが。




その沈黙をやぶったのは意外にも蘭だった。


「…私も北コルロ高校に行く。」


ほう、その荷物はそういうわけか。


「そうか、ならこれからもよろしく頼むな。」


ん?しかし、蘭にはこう言っちゃなんだがそれほどの学力はなかったはず。


なんで合格できたんだ?もしかして…あの会わなかった期間に勉強してたとか?


「もしかして蘭、会わなかった時期に勉強していたのか?」


「…そう。」


なるほど、つまりは俺が嫌われていたわけではないのか。

安心した。


しかしなんでそんなに北コルロ高校にこだわったんだ?

蘭ならそのまま行っても一応はエリートになれたじゃないか。

まあその辺はいよいよ受験が迫ってきてもっと上に行きたいと思ったからだろう。

別に聞くほどのことでもないな。











それからの俺たちはほとんど黙りながら、たまにぽつぽつと会話しながら馬車に乗っていた。




その間に日は暮れ、夜になったので馬車は休憩時間となった。




ここで一夜を明かすらしい。




俺と蘭は自前の寝袋で隣り合って寝ることにした。




俺は荷物から寝袋を取り出す。




この日のために買った新品のものだ。




中に入ってみると最初こそは冷たかったが、だんだんと俺の体温によって温められて日が陰り冷え切った寒空の夜を過ごすのにちょうどいい温度となった。




横を見るともう蘭は寝入っている様子で、仰向けになって目を閉じていた。




夜は静かで蘭のすーすーという寝息ですら俺の耳に届くほどだった。




俺はそんな蘭の無防備な姿に、隣の俺に気を許しているこの状況に友情とは別の、何らかの感情を抱きそうになった。




これは俺が前世のころに感じた、篭絡しようとしてきた女たちに感じた感情よりもずっと甘美な、甘酸っぱいものだった。




俺はこんな夜がずっと続けばとすら思えた。











夜が明けた。




野宿していた乗客たちはのそりのそりと馬車に乗り始め、馬も昨日の疲れた様子とは打って変わって元気いっぱいだった。




俺はまだ寝ている蘭に声をかけると、一緒に馬車へ乗り込んだ。




馬車は最初はゆっくりと動き始め、だんだんとスピードを上げているようだった。




このペースなら今日の夜には着くだろう。




その間、俺は蘭と寮生活について語り合っていた。

もっとも、コミュニケーションが苦手な俺と元来無口な蘭とでは会話が続くわけもなく、ぽつぽつとしか話さなかったが。











馬車がユクドニアに着いた。




ユクドニアとは戦乱から遠く離れたところにある地で、ユクドニア国立北コルロ高校、俺たちがこれからはいる高校があるところだ。




日は暮れてしまっているので、とりあえずとってある寮で寝ることにした。




蘭は女子寮を取ってあるらしいから、ここでいったんさよならだ。


「じゃ、明日また。」


「…お休み」


そう言って俺たちは別れた。











小鳥は小枝の上でさえずり、太陽は夜にはその無機的特徴を遺憾なく発揮しただの廃墟のように思われた人工物に魂を吹き込み、町を活気づけるのだった。




陽気な太陽によって道はだんだんと活気が付き始め、その喧騒はあくまでも陽気に、まだ眠っている者たちの目を覚まさせる。




俺もそんな喧噪で目を覚ました一人である。




時計を見るとまだ時間には余裕があるらしい。




入学式のあいさつの練習をしてもいいのだが、せっかく新たな街に来たので少し外を出歩くことにした。




俺が出るころにはもう外は十分に活気づいており、あたりはおよそ人間の出す声量とは思えないほどの声が飛び交っていた。




屋台にあるものは新鮮な野菜から得体の知れないものまで多岐に渡り、俺の起き掛けの眼には十分すぎるほどの彩度で辺りを埋め尽くしていた。




しばらく歩いていると熱心に得体の知れないものを見る蘭の姿があった。


「よう、蘭、おはよう」


「…おはよう。」


「さっきから何に見入っているんだ?」


「…グレンモジャリアリーフ」


「グ、グレンモジャリアリーフ?なんだ?それ。」


「…グレンモジャリアリーフは多角的なアブルデンの統合体及び精神干渉型リバイドの進化形態。」


「アブ?リバ?まあよく分らんがすごいものなんだな。」


「…すごいなんてものじゃない。これがこんなところに売られていること自体異例。」


「あ、ああ、そうか。ところで今日は入学式だな。もう準備は済んでいるのか?」


すると蘭ははっとしたような顔をして


「…急用を思い出した。」


と言ってトテトテ帰っていった。




俺はそのあとも色々見て回ることにした。











しばらく歩いていると、喧噪がだんだんと大きくなり、険悪さも増してきた。




何やら近くで騒ぎが起きているようだ。




俺は暇だったので見てみることにした。




その場所に行ってみると何やら数人の男が一人の女と喧嘩しているようだった。


「おいおい嬢ちゃん、状況分ってんの?俺たちにかわいがられたいわけ?」


悪そうな男たちが不気味に笑いながら言う。


「そっちこそ状況分ってんの?この子はあんたらに痴漢されたって泣いてんのよ?謝りなさい?」


見ると女の後ろには小柄な女の子がうずくまって泣いていた。


「ヘッヘッヘ、どこにそんな証拠があるんだよ。冤罪はひどいぜ、なぁ?」


そうひとりの男が言って仲間に振り向くとその仲間たちはにやつきながら各々に頷いた。


「証拠ってあんたら…」


そして女は一つため息をついた後、あきらめのついたような顔をした。


「そうね、あんたたちのような外道に反省を求める私が馬鹿だったわ。やっぱりこういうやつらはとっちめないと」


「おいおい嬢ちゃん、とっちめられるのはそっち側だぜ。やったれ!野郎ども!」




確かに勇猛果敢なことはいいのかもしれない。




しかし彼女は、痴漢された少女を助けた彼女にあったのは勇敢さだけのようだ。




強さの伴わない正義は正義ではない。

正義になり損ねたなにかだ。




そんな正義になり損ねた彼女を、今回は俺が、たまたまいたっていうことで助けようとした。




しかし、それには及ばなかったようだ。




俺は誤解をしていた。




辺りの人々が一斉に地面に打ち付けられたのであった。




いや、厳密に言えば俺とあと一人以外だが。




そう、その一人とはあの女である。痴漢された少女をかばっていた女である。




彼女には力があったのである。正義を行使するだけの力が。




「こうなるから嫌だったのよ。どう、反省した?」


そう女は悪党の首領と思しき人物に話しかけた。するとその男は


「ご、ごべんなさい。」


と地面に打ち付けられながら必死になって謝った。


これは確かに悪党をとっちめるのにはよかったかもしれない。


いや、最善の方法だった。


俺が彼女の立場だった時もそうしただろう。


ただ、




ただ被害者の女性も打ち付けられてますよぉ。

いいんですかぁ。




そんな俺の心の声は当然届くはずもなく、無慈悲にも被害者の女性は地面に打ち付けられたままだった。




女は辺りを見渡し去ろうとしたが、異物でも見つけたのか立ち止まった。


「ちょっと待って、なんであんた立ってられてんのよ!」


そう言いながら俺のほうへとずかずかと近づいてきた。


「確かに手加減はしているけど結構な魔力を使ってんのよ!?普通の人間が立っていられるはずがないわ!」


その間にも無慈悲に被害者の女性は地面に打ち付けられたままだ。

ああほら、涙流してる。


「ねぇ!ちょっと聞いてんの!?」


「いや、その前に解いてやらないか?魔法」


ここで魔法の説明をもう一度しよう。


なぜ俺が立っていられたのか。


それは魔力の容量によって魔力耐性が付くからだ。


ちなみにその魔力の容量というのは生まれつきだ。


また、魔力というのは呼吸することによって回復する。


では、現在の状況に戻ろう。


俺は被害者の女性を指さしながらそう言う。


すると彼女は今気づいたらしく、はっとしてすぐに魔法を解いた。


悪党どもは「ひぃぃぃ!逃げろぉぉぉ!」と言って逃げていった。


当然、周りのやじ馬たちもわれ先に逃げていった。


残ったのは被害者の女性と俺と女のみとなった。


「で?なんで立ってられたの?」


「いやぁ、なんで立ってられたかと聞かれても…」


「はぁ……まああんたが強いってことは分かったわ。私の名前はサンドラ・ユーロプス。サンドラって呼んでくれていいわ。」


ほぉ、サンドラか、いい名だ。


まるでどこかで聞いたことがあるような…まあそれくらいいい名だということだろう。


髪は金髪のツインテールで端正な顔立ち、さっきの口調を見る限り若干性格はきつそうだ。


「あのぉ…先ほどは助けていただいてありがとうございました。」


被害者の女性がこっちに駆け寄りながら言う。


「エマ・コーギーって言います。エマって呼んでください。」


はじけるような笑顔で言う。


くりりと丸い目に朱色のロングでストレートな髪、母性愛を抱きたくなるような感じだ。


まあ俺に母性愛などないのだろうけど。


「………」


「………」


「………」


「えっと…何この沈黙。」


「いやあんたまだ名乗ってないでしょうが。」


サンドラと名乗った少女が言う。


「あ、そういうことか。」


「どんだけコミュ障こじらせてんのよ。」


サンドラと名乗った少女は俺がうすうす気づいていて気にしていた事実を何のためらいもなく言い放った。


それは俺も気づいていたんです。


だから勘弁してやってください。


心の中で彼女の横行闊歩さに戦々恐々としていた。


「えっと、俺の名前は柊真。真って呼んでくれ。」


「ヒイラギ・シン…変わった名前ですね」


エマと名乗った少女が目をぱちくりさせながら呟く。


「ファーストネームがファーストネームじゃないってなんだか変な感じね。まあいいわ。シン、エマ、またどこかであったらよろしく。まあもう会わないでしょうけど」


サンドラと名乗った少女がそうつっけんどんに言う。


「エへへ、よろしくです。シンさん、サンドラさん。」


エマと名乗った少女が本当にうれしそうに笑いながら言った。


「よろしく。えっと…サンドラとエマだっけか?」


俺はもうこれ以上コミュ障と言われないように場の空気を敏感に感じ取り、遅れることなくそう告げた。


そして三人は各々分かれた。




この後再会を果たすなんてことを露も知らなかった俺はようやくあの性格のきつそうな女から抜け出したと安堵していたことだろう。




今思い返してみればこの安堵を返してくれとさえ思う。











入学式の時間となった。




各々で座りたい場所に座るため、中学からの同級生がいるやつらはまとまって座っているようだった。




俺も中学からの幼馴染の蘭と一緒に座りたかったのだが、この広大な体育館の中から目当ての人物を探し出すのは困難を極め、結局一人で座ることにした。




だだっ広い体育館は緊張を弛緩させるようなものではなく、むしろその厳格さや広さに緊張をするものだった。




入学式の会場5分前となり、多くの人が集まって若干の喧騒が起こり、あたりにはこれからの高校生活に対する期待と不安が渦巻いていた。




学校の先生と思しき人物が壇上に上がった。




その瞬間、喧噪はどこかに消え去り、代わりに緊張が走った。




「ええ、これから入学式を始めます。全員起立!」


「礼!」


皆は一斉に立ち上がり礼をした。


会場の支配権は壇下の進行役とみられる先生に受け継がれたようだった。


「では次に校長からの祝辞です。校長先生、お願いします…」











そして、俺の入学式のあいさつの番となった。


俺は入学時に首席で入り、そのため入学式の挨拶を任された。


「では、次に入学式のあいさつです。シン・ヒイラギ、よろしくお願いします。」


「はい!」


俺は壇上へ行くまでの間、羨望の目を目いっぱいに受けた。


そんな視線をひしひしと感じながらマイクの前で一礼をし、話始めた。


「暖かなる春の訪れとともにこのユクドニア国立北コルロ高校に入学できたことを大変うれしく思います。

本日はこのような素晴らしい入学式を開いていただき、ありがとうございます。

高校での3年間の生活がこれから始まるということで、期待と不安が入り混じっていますが、先生方や先輩方にいろんなことを教えてもらいながら、毎日を悔いのないよう過ごしていきたいです。

勉学、部活動、行事。

何事も一生懸命、全力で取り組んでいきたいと思っています。

先生方、先輩方、並びに来賓の皆様。

私たちへの励ましのお言葉をありがとうございました。

これから温かくも厳しいご指導のほど、よろしくお願いいたします。


○○年 4月10日

新入生代表 柊真                               」


うむ、結構テンプレっぽいがいいだろう。


そして俺はマイクの前で一礼をし、元の席へ帰っていった。











入学式の後はクラス分けだった。




一応蘭の名前も探しては見たが、俺のクラスにはいなかった。




俺は指定された席に着き、この後に来るであろう担任の到着を待っていた。




そんな時、後ろからトントンと肩をたたかれた。




振り返るとそこには金髪のツインテールで顔は端正な女がいた。




そいつはどこかで見覚えのある顔だった。




「久しぶりね。いや、さっきぶりと言ったほうが正しいのかしら。にしてもあんた、ここに首席で入学していたのね。入学式のあいさつをする代表者の名前を聞いた時にはびっくりしたわ。まあ、内容に関してはテンプレートばかりで飽き飽きするものだったけど」


俺に対してさも知人かのようにぺらぺらと喋ってくるこいつはいったい誰なんだ。


しかも言葉の節々にとげがある。


いや、しかし顔はどこかで見覚えがある。


さらにこの言葉のとげとげしさも初めてではないような……


……そうか!あの痴漢された少女を助けていた女か!


「やぁ、ええっと…サンドラさん、だっけか。さっきぶりだね。」


「あんたちょっと忘れてたでしょ。」


俺は一瞬ぎくりとした。


だがすぐ気を取り直して


「いやいや、そんなわけないよ。何せさっきぶりだしね。」


「……ふーん、ま、いいけど。」


どうやらうまく誤魔化せたようだ。











その後に来た担任が言ったことはこれからこの高校で暮らしていく上での注意事項であり、内容はどこでも言われるであろう平々凡々としたものだった。




そのあと、教材一式を渡され、自己紹介の時間となった。




俺は自己紹介が苦手である。




なぜならそれだけで今後が決まってしまうからである。




平々凡々な自己紹介をしたら、そいつは平凡な奴だと思われ、かといって変な自己紹介をしたら周りから敬遠されてしまうからである。




しかし、だからと言ってその二つ以外の選択肢が俺の中にあるわけでもなかった。




俺はぎりぎりまでどっちで行くか迷っていたが、変な自己紹介をするような勇気が俺の中には内在しないことに気づき、平凡な自己紹介で済ますことにした。




「ええ、一年A組出席番号15番の柊真です。真って呼んでください。趣味は運動することです。よろしくお願いします。」


およそ運動しているとは思えない体でそんなことを言ったからか一瞬疑われたような気がしたが、まあ問題ないだろう。


しかし、俺のそんな矛盾が小さく見えるほどに、次の自己紹介が変わっていた。


いや、今覚えばこれがこれから起こる俺とその仲間たちの激動の歴史の予兆だったのかもしれない。


もっともこの時の俺はそんなこと予感すらもしてなく、そんな奴もいると思っていただけだったが。











「1年A組出席番号16番のサンドラ・ユーロプスよ。サンドラって呼びなさい。趣味は正義、特技も正義ね。私が来たからにはこのクラスでの悪事は断固として許さないわ。覚悟なさい。」


一瞬クラスがどよめいた。


つまりこいつは正義という独断でこのクラスを支配するということを言ったからだ。


そう宣ったのは誰か。


そいつは先ほどあった痴漢事件で少女を助けた、力で正義を具現した、サンドラと名乗った少女である。


しかし当の本人はそのどよめきを称賛のどよめきだと受け取ったようで堂々としていた。


担任も驚き4割呆れ6割といった感じで次の人へ促した。


俺は小さな声でサンドラを咎めた。


咎めた、と言っても俺たちはそこまで親しいわけではないし、何せ会ってまだ何時間かだから興味本位半分、友達作りという目的半分の当たり障りのないものだったが。


「おいおい、なんてこと言ってんだ。お前、半ば独裁宣言をしたようなもんだぞ。」


俺は慣れていなかったがからかうようにそう言った。


コミュニケーション能力のあるやつはこういうことが起こったら大体そういう風に聞くんだろう?


「独裁?そんなことはしないわ。だってみんなは迷える子羊だもん。あくまで私はそいつらを導いてやるだけだわ。それにクラスのみんなは同意してくれたじゃない。」


「いや、お前なぁ……」


今の彼女には何を言っても無駄そうだった。


というよりも今の俺ではそれ以上会話を広げられなかった。











まあなんだかんだあったがとりあえず終わった自己紹介。




その後各自で帰路についていた。




かくいう俺もその一人で、蘭と別れた後、一人で男児寮へと向かっていた。




そんな時、俺を呼び止めたものがいた。


「シンさん」


振り向くとそこには茶髪で、すかした顔の男がいた。


こいつは確か俺のクラスの自己紹介でエリック・オービンスと名乗ったやつだ。


「やぁ、エリック君、何の用かな。」


すると彼は少し驚いたような顔をした。


「あれ?あなたならもう僕の正体に気づいていると思っていたんですがね。」


俺はけげんな顔をした。


正体?いやいや、こいつの正体はエリック・オービンスその人だろう?


「ん?エリック・オービンス君、だよね?」


「それもそうですが…もしや、自分がこの世界に来た理由をお忘れですか?」


「ん?自分がこの世界に来た理由?それは…」


そこで俺は思い出した。


俺は確かサンドラっていう勇者の統御をするためにここに生まれたのだった。




そういえばサンドラという名前のものがもう近くにいたな。




そうか、あいつが勇者だったのか。




しかし、これをエリックが知っているとはどういうことなんだ?




まさか俺と同じくあの女から命令を受けてここに来たとか?




まあ確かにあの女は別に俺一人が送り込まれるとは言っていなかった。




「…とりあえず話をしよう。お前もこちら側の人間なのか?」


「話が早くて助かります。」











俺はエリックを俺の部屋に招き入れた。


「へぇ、結構きれいにしているんですね。」


そりゃあまあ、暮らし始めてまだ2日目だからな。


「そこにかけろ。」


エリックは俺が指さした方向を見て、椅子を見つけ出し、そこに腰かけた。


「では話そう。その前にお前は本当にこっち側なんだよな?」


「はい。僕もサンドラさんの統御のためにこの世界に来ました」


「なるほど。俺の仲間ということで間違いはないようだな。で、お前は前の世界でどんなことがあったんだ?」


「はい、僕は前の世界では勇者だったんです。しかし僕があまりにも強すぎたせいで魔王軍を魔族もろとも滅ぼしてしまって。そんな僕をあの女神さまが拾ってくださり今に至ります。」


「なるほど、お前は元勇者なんだな。俺は魔王だった。経緯もほとんどお前と同じだ。」




「ほう、魔王ですか……」


そういうとエリックという名の男は意味ありげな笑みを浮かべる。


「では殺さないとですね。」


そう微笑みを浮かべながら彼は言った。


その途端辺りが小刻みに揺れ始めた。


「ほう、ここでか。まあいいだろう。」


地響きはさらに大きくなり、どんな鈍い人でも体でしかと感じれるものだった。




エリックという名の男はそこには何もないが剣の柄を握るような動きをし、もう一触即発の展開であった。




そんな膠着状態の中、いわば開戦の合図である攻撃を待つのみとなっている状態の中、時は一定のリズムに従って流れる。




そんな時、エリックはふっと緊張を解き、俺もそれに従って解いた。


「嘘ですよ。大体僕のところにいた魔王とは別人物なんで恨みは持ってないんでね。ただどれほどの人物なのか試しただけです。そんなことよりさっきの緊張感、シンさんは相当強いんですね。個人的に手合わせしてほしいと思ってきました」


「いや、よしてくれよ。俺は無駄な争いは好かん。」


「ハハハ、魔王のくせに優しいんですね。僕の世界にいた魔王とはまるっきり違います」


「いや、別に優しくなんかは……」


そんな俺の言葉を遮るようにエリックはやることはやったと「じゃ、帰ります。」と言って帰っていった。











(ジリリリリン、ジリリリリン)


電話が鳴っている。




これはエリックが帰った直後のことだった。




俺は即座に電話を取る。


(ガチャ)


「もしもし、蘭どうした?」


「…もしもし、真、さっき凄い地震があったから大丈夫かと思って。」


「ん?ああ、大丈夫だよ。そっちは?」


「…こっちも無事」


「なら良かった。心配してくれてありがとうな。じゃあ、切るぞ」


「…待って」


「ん?まだなにかあるのか?」


「…明日、一緒に登校しよ?」


いや、すごいなぁ。

ここまで読むってすごいことですよ。

僕だったら絶対こんなに長ったらしい話、諦めちゃうなぁ。

今回の改訂で、世界観の統一と補足描写と見やすくなるような工夫を行いました。

今になって見直してみると結構描写が足りないなと思うところがあったんです。

でも、ということは僕も成長したということでしょう。

しかし、僕はもっと成長できると思います。

ですから、どうか感想で率直な意見をください。

そうしてくれるとアイムハッピー。

お祭り気分で羽織るはっぴー。

と、くだらない韻を踏んでしまいましたが、実際感想というのは非難でなければ批判であっても嬉しいものです。

少なくとも僕はそう感じます。

ですから感想は下は新生児から上は大還暦まで古今東西どんな方でも待ってます。

ここまで行けば大体物語の方向性は分かるでしょう。

感想待ってます。

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