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魔王転生~元魔王と勇者とその他諸々の物語~  作者: Black History
けれども謳歌する二学期
24/28

俳句5

今俺たちは全員でサンドラの家に向かっている。

なぜかというと俳句の授業を受けるためだ。




サンドラは提案を拒否される気など毛頭もなく、提案日から授業をするつもりだったらしい。

もちろん、その先生の代金はサンドラ側が負担している。




そしてサンドラの家に着いた俺たちは、今日授業が行われる部屋へ通される。




そこには高齢の優しそうな女の人がいた。




「ええ、まずは皆さんの実力を確認しましょうね」


そう言って取り出したのは、味気ないただの紙だった。


「では、お題は月で一句書いてみてください」


俺は俳句などやったことがないから、少し困惑して書き始めた。




ええっと、確か……5・7・5だったよな?

『単身で 夜な夜な歩く 涼月夜』

こんなんでいいのだろうか。

まあ分からないが恐る恐るその先生に出してみる。

するとその人はおばあちゃんのやさしさが詰まったほほえみで俺の句を見てくれた。











「面白い句ですね。いいと思いますよ」


「ありがとうございます」


俺はとりあえず酷評はされなかったと胸をなでおろし、ちらっと隣にいたエマさんの句を見てみた。




『まん丸で おいしそうです お月様』




エマさん……











それからの俺たちは毎日俳句についての授業を行った。




俺だって最初の方はただの5・7・5に何ができるのかと思っていたさ。




しかし、俳句というのは案外そういうものではないのかもしれない。




俳句というのは限られた韻文の中でいかに読者の心を震わせるのかという一種のスポーツなのだ。




読者の心を震わせるにはまず、最初の5音でその作品へと読者を没入させる。




そして次の7音で世の無常を体現し、最後の5音で結果を余韻と共に残す。




これは言語という点で体系的な、抽象的な心象を具体化させるという一種の帰納法なのだ。




一見、これは今日の合理主義、個人主義に逆行するもののように思われる。




しかし、コペルニクス的転回ではないが抽象が存在する限りにおいて具体が存在する、すなわち抽象と具体は表裏一体、光と影なのである。




我々は具体を経ることで抽象を知る。




ということは具体を知るとき、同時に我々は卑近な例ではないはずの抽象を経ることができるということなのだ。

つまり、抽象をより具体的に知れるのだ。




そういう点で俳句というのは今の時代にあっている。

そう思った次第だ。











そして俳句大会の当日の日が来た。




俺たちは各々に俳句を家で作ってきた。




普通の学生にとってはとるに足らない些事であるから、みんな興味がなさそうにしていた。




「えー、では、俳句を作ってきた人はこの後教卓に来るように」


そう担任が締め括ると帰りの会は終わった。




俺たちは帰り始めるクラスの人たちと逆行するように教卓へ向かう。




それを見た担任は一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに面白さを噛み締めるような笑みに変わった。

その表情は、担任が金髪なのも相まってサンドラが面白そうなことを思いついたときに浮かべる笑みに似ていた。




俺はそんなことを思いながら、家で書いてきた俳句を提出した。

『月を待つ 人皆ゆるく 歩きけり』











それから一週間後には俳句の大賞の発表があった。




大賞は……サンドラだった。




『月の夜 彼をつい想う 一人かな』




俺はこの俳句のどこがよかったのかがわからなかったが、エリックに言わせてみればこれは恋の歌らしい。




そういえば、サンドラは前に屋上で好きな人がいると言っていたな。




確かそれはエリックのことで……




そこで俺は思考を強制的に中断した。




忘れようとしていたことがまた思い返されようとしていたからだ。




俺は思い出さないためにあえてそのことを口には出さないが……ごめんな、エリック。

再度エリックに謝っておくのだった。




しかしエリックはうまくやっているのだろうか。




俺はサンドラがエリックのことを好きだということを伝えたのだが、あいつは微妙な反応に加え、サンドラにもっと話しかけるという意欲すら見せないではないか。

サンドラの今回の俳句を恋の俳句だと分かったのなら、返答歌はできないまでもせめて態度を改めてやったらどうなんだ。




これはサンドラの恋の顛末に関わることだから厳しく言わないとだめだな。

そう奮起しなおした俺だった。


新話の進捗が遅いです。

5000文字程度書くつもりなんですが、まだ1500文字ぐらいしか行ってません。

気長に待っていてくれると嬉しいです。

カクヨムにもいつか投稿しようと思います。

アルファポリスは誰も来ないので諦めました。

だって……誰も来ないんだもん……

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