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魔王転生~元魔王と勇者とその他諸々の物語~  作者: Black History
謳歌する一学期
14/28

——改訂版2——魔王転生 夏休み編 イレイナ視点3

私は今海水浴ができる浜辺の着替え所にいる。




そう、昨日シン・ヒイラギの友達と思われるサンドラ・ユーロプスの下着を盗んだ場所だ。




しかし、今日の目的はそれではない。




この手紙をサンドラ・ユーロプスのところに置くのだ。




しばらく待っていると、サンドラ・ユーロプスたちがやってきた。




そいつらはそそくさとシャワーに向かっていった。




と同時に私はその手紙をもってサンドラ・ユーロプスのロッカーの前に行く。




その時だった。




「見つけたわ!卑怯者!」




その声と共に私は首根っこを掴まれ引き摺られた。




その時に手紙も落としてしまった。




「さあ観念しなさい!卑怯者!さっさといろいろ白状するのよ!」




見上げるとそこにはしてやったりという感情と激怒の感情がごちゃ混ぜになったサンドラ・ユーロプスの顔があった。




するといつの間に集まった人込みをかき分けてシン・ヒイラギとエリック・オービンスが出てきた。




「おう、サンドラ、やってるな」


「やっと捕まえたわ!この卑怯者!今に見てなさい!けちょんけちょんにしてやるわ!」


私はあまりに劇的なこの展開に混乱し、こんなことを口走った。


「離せ!このぶす!」




あ、言っちゃった。




本当はそんなこと全然思ってないんだけど。




するとサンドラ・ユーロプスが一瞬虚を突かれたような反応をして


「っ!何を…!」


とさらに怒った様子で迫ってきた。




「待て待て、とりあえず落ち着けそうなところで尋問するぞ。ここは…あれだろ?」


そうシン・ヒイラギが言うとサンドラ・ユーロプスははっとした表情になって


「ふ、ふん!仕方ないわね!とりあえずあっちで話すわよ!逃げだしたら……いいわね?」


と私を少し脅して近くの陰気な公園へと向かうのだった。











「で?なんであんなことしたわけ?」


サンドラ・ユーロプスが問う。




私は脅されたことにおびえて、のこのことついてきてしまった恥ずかしい自分を隠すためについ意地を張ってしまう。


「教えなーい」


すると、どうやらサンドラ・ユーロプスは私のこの態度にむかついたようで


「っ!あんたねぇ……」


と言って私の眼をまっすぐに見据えてにらんでくる。


それにちょっと怯えてしまった私はそれが悟られないように


「イーっだ!」


と拗ねた感じで返してしまった。


「っ!こいつ一発殴ってもいいかしら。」


「待て待て、そんなことしたらはたから見れば悪い大人が幼女を囲っていじめているみたいになるだろ」


怒り心頭に発した様子のサンドラ・ユーロプスをシン・ヒイラギが慌てて止めに入る。




こいつはこいつでなんかむかついたのでついこんなことを口に出してしまった。




「平民は黙っておけ」


「っ!よし!殴ろう!」











そしてそれから何回もの修羅場を乗り切った私は今私が元居た組織の拠点の前にいる。




修羅場については言いたくない。




ただ、ものすごい修羅場だった。




それはもう血で血を洗うような、私は最後まで拠点の場所を言わないでおこうとしたが無念、私はこいつらの悪の手によってすべて吐かされてしまったのだった。




……え?こちょこちょされただけで言ってなかったかって?




聞こえない聞こえない。




「ふーん、で、ここがあんたらのアジトってわけね」




サンドラ・ユーロプスは顔つきでは真剣を装っているが眼の輝きを隠せないまま言う。




やっぱり悪の組織を倒しに行く正義のヒーローってかっこいいよね。




私も実はこの状況を楽しんでいる。




ここは裏口だ。




多分ここからこいつらがリーダーのところまで何とかたどり着いてボス決戦となるのだろう。




そして手に汗握る展開は続きやっとのことでこいつらが勝利する。




私はさながらヒーローショーを見ているみたいに胸をわくわくさせていたのであった。




いろいろこの後の展開を予想しながら胸をときめかせていると、背中からシン・ヒイラギの声が降ってきた。




「おい幼女、お前、教えてくれたのはありがたいんだが本当に良かったのか?組織の報復とか怖くないのか?」




「幼女じゃない!別にそれはいいの。だって……」


私は急いで“幼女”の部分を訂正する。


確かに見た目はこんなんだが一応これでも15歳だ。


幼女では決してない。


幼女では決してないのだ。




しかし私は言い淀む。




もしかしたら組織とのつながりがないと知ったら今までのことを報復してくるかもしれない。




そう思い言い淀む。




「だって?」


しかしシン・ヒイラギはその中途な答えでは満足していなかったようでその先を聞こうとする。


「……もう関係ない人たちだから」


私は何も悟られないように顔を隠しながらそう答えた。




何も勘付かれないようにあえて曖昧に答えた。




そんな時、サンドラ・ユーロプスはその建物の中に入った。




私はついにヒーローショーが始まると浮足立つのだった。











「な!?」




シン・ヒイラギが何か驚いた様子で辺りを見渡す。




私は何事かと思い急いで中を確認する。




そこには無人の部屋が広がっていた。




私もそれに驚く。




そしてすぐにシン・ヒイラギに弁明しようとする。




するとそこには私を睨んでいるシン・ヒイラギがいた。




「おい幼女、これは一体どういうことだ。」


「ち!ちが!私がいたころはここが確かにアジトだったの!」


「ほう、幼女、ここに来てまだ嘘を突き通すつもりか」


「違うの!本当なの!」


するとシン・ヒイラギはラン・イナカワの方へ目配せする。




私は何かすごい嫌な予感がした。




そしてその予感は案の定的中した。




ラン・イナカワは私の後ろに素早く回り込むと私の脇腹を掴みくすぐり始めた。




「ひゃ!やめて!アヒェ!アヒャヒャヒャ!」




本当に自分でも情けないと思うほど変な声が出る。




「ほんと!本当なの!だからやめてぇ!」




私はくすぐられながらも必死の弁明をする。




しばらく疑いの目でその様子を見つめていたシン・ヒイラギもどうやら私が本当のことを言っていると気づいたみたいでため息を一つ漏らし後ろでただ機械みたいに私をくすぐり続けるラン・イナカワにやめるように言った。




「ええっと、じゃあこれはどういうことでしょう?」




私はその声の主をわからずにいた。




あれ?こんな人いたっけ?まあ、民間人が紛れ込んでしまったのだろう。











私はシン・ヒイラギたちに、特にサンドラ・ユーロプスに半ば強制的にこいつらのホテルへと連行されたのであった。




そしてここはサンドラ・ユーロプスの部屋らしい。




と言ってもここはホテルなのでサンドラ・ユーロプスらしい個性が出てそうなところはなかったが。




私はこいつらに組織の詳細について話すことにした。




まずは私の所属していた組織の名前Code:0からだ……




当然、今日組織があの場所にいなかった理由も聞かれたので私は潔く私が組織をやめたことも話した。




「あと、そろそろ幼女でもない私を幼女っていうのはやめてもらっていいかしら。


私にはちゃんとイレイナ・スカーレットっていう名前があるの。


イレイナって呼んでくれていいわ」




私はこいつらと話を進めるごとに警戒心が緩んでいたのか、こいつらが馬鹿だと無意識に思ったのかわからないがついうっかり自分の名前を言ってしまった。




そしてしまったと思った。




なぜならこいつらは一切自分の名前を出さなかったからだ。




こいつらが私に対して気を引き締めたままなのに私だけがこいつらに気を許したみたいになってしまった今の状況を気恥ずかしく思った。




だから私はその気恥ずかしさを少しでも紛らわせようとこんなことを言った。




「あんたらの名前はもう把握してるわ。


いけ好かない面しているこいつがエリック、無表情で何考えているかわからないあいつがラン、この性格悪そうな金髪女がサンドラ、で、平民のあんたがシンていうんでしょ?」




よし、これでおあいこなはずだ。




私の羞恥心は少し紛れたのだった。




そんな時、後ろから、か細くこんな声が聞こえた。




「あ、あのぉ、わ、私は……」




「え?」




私はまだいたっけと思いながら後ろを振り向く。




するとそこにいた女は私がそんな思案をしている様子を睨んできたと勘違いしたのか「ひ!」と小さく悲鳴を上げる。




その女はさっきCode:0の元アジトにいた一般人だった。




「あんた誰?」




私は率直に疑問をぶつけた。











「あんたねぇ!人の言い方ってのをもっと何とかしなさい!」




サンドラ・ユーロプスが私の、特徴を的確にとらえた人物描写が気に入らなかったらしい。




にしてもサンドラ・ユーロプスという人格が大体わかってきた。




この人はたぶん人をどこへでも連れまわすような横暴さを持つ半面、暑っ苦しい正義が胸に渦巻いている人だ。




こんな人と一緒にいるやつらの苦労を私はこの一瞬で嫌というほど思い知らされた。




「ねぇ!聞いてんの!?」




サンドラ・ユーロプスが私に詰め寄ってくる。




「……ごめんなさーい」




私は全然心のこもっていない謝罪をする。




それにさらに激昂したサンドラ・ユーロプスをシン・ヒイラギが宥める。




「おいおい、サンドラ、落ち着け。こいつにはまだ聞きたいことがあるんだ。それに……まだ幼女だぞ?許してあげろ」




私はシン・ヒイラギの“幼女”発言にカチンときてこう口走る。




「平民は黙っとけ」




「っ!よし!殴ろう!」




「落ち着きましょう、シンさん、サンドラさん」




エリック・オービンスといういけ好かない面に微笑みを湛えた男が二人を宥める。




それとなく周りを見渡してみるとラン・イナカワはこの状況に我関せずといった感じに読書に励んでいて、先ほど名前が分かったのだが、エマ・コーギーという人物は心ここにあらずといった感じで意気消沈としてそこに座っていた。




一体エマ・コーギーは何にそんなショックを受けたのだろう。見れば見るほどかわいそうである。




そんなことはさておき、場が落ち着いたのを見計らって私はCode:0のある計画について打ち明けた。




それはCode:0がここにある国立の図書館を燃やしてそれを平民全体のせいにするというものだ。




まあ私が概算するにそんな計画絶対成功するわけないし、もし仮に成功したとしても今の民主主義はゆるぎないと思ったがこちらの大将はそうは思わなかったらしい。




目をらんらんと輝かせて私の話を聞いていたかと思うと、こう言ってこの議論をまとめた。




「これは世界最大の危機よ!これこそ正義部の出番だわ!」




ほかのメンバーも渋々という感じで、というよりかはいつものことだという感じで食傷しながら同意を示したのだった。




まあ私は生でヒーローショーが見れるなら何でも構わないが。











「よし!じゃあ班決めはくじ引きでやりましょう!」




サンドラ・ユーロプスはそういうと紙にA,B,Cと書いた紙を二枚ずつ作って箱の中に入れよくシャッフルした。




どうやらみんなでまとまって動くには少々広すぎるということで手分けして怪しい人物がいないか探すことにしたらしい。




くじ引きの結果、A班がシン・ヒイラギとラン・イナカワ、B班がサンドラ・ユーロプスと私、C班がエリック・オービンスとエマ・コーギーになった。




よりにもよってこんなやつと一緒なのか。




私は心の中で自分の悲劇を嘆いた。




しかしそれは相手方も同じようで不服そうな顔をしている。




そんな様子に気づいたシン・ヒイラギがごちゃごちゃ言い出す前にこう予防線を張る。




「おいサンドラ、お前がくじ引きにするっていったんだからごちゃごちゃ言うなよ。そんなにイレイナが嫌だったんならお前がいつも通り勝手に決めればよかったじゃないか」




その言葉にサンドラ・ユーロプスがこう反応する。




「そんなことしたら運命を感じれないじゃない!」




運命?




この人はいったい何を言っているんだ?




もしそれで男女になったりしたらこの人はそれを運命だと思うのか?




私はそこまでいって気が付いた。




はは~ん、もしかしたらこの人、サンドラ・ユーロプスはこの中に好きな人がいるのかもしれない。




少し強引だがその人と一緒になれたらやっぱり自分とその人は運命でつながっていると思えるからこんなことをしているのか。




「運命……なるほどな、お前とイレイナにはもしかしたら運命があるのかもな」




いや、それはごめんだ。




私はこんな女と運命でつながっていたくない。




「はぁ!?そんなこと言ってないでしょう!」




サンドラ・ユーロプスは論の前後関係がごちゃごちゃになってしまうような否定をする。




こいつに否定されて私が否定していないとまるで私がこれでいいと思われそうだったから私も急いで否定する。




「私もこんな性格きつそうな女と一緒なんて嫌だ」


「はぁ!?私だってあんたと一緒なんて嫌よ!」


サンドラ・ユーロプスは私のその発言に食いついてくる。


私も言い返そうとしたがシン・ヒイラギのこの言葉にさえぎられた。


「まあまあ、落ち着けサンドラ」


すると、その言葉を契機にサンドラ・ユーロプスの意識が私からシン・ヒイラギに移ったのを感じた。


「……言いたくなかったけど一番気に食わないのはあんたよ!シン!なんでランと一緒なわけ?!」


「次は俺かよ……」




シン・ヒイラギは少し困惑気味に呟く。




そこに割って入ったのはエリック・オービンスだった。




「まあまあ落ち着いてくださいサンドラさん。


じゃあサンドラさんがAチームに入ってイレイナさんをCチームに入れて2チームにしてみては?


別に巡回ルートをこうして怪しそうなところを重点的に、人目に付きやすいところは警備を薄くすればいいんですから」




するとサンドラ・ユーロプスは落ち着きを取り戻し


「そ、そうね。ナイスアイディアだわエリック」


と言った。




「ただ…」




サンドラ・ユーロプスはそのあとに意味深な沈黙を続ける。




「ただ?」




エリック・オービンスとシン・ヒイラギの声がハモる。




「勝手に決めちゃうとシ、シンに申し訳ないわね。シ、シンはその辺どうなのよ。私と一緒でもいいわけ?」




急にもじもじして、でも少し高圧的にサンドラ・ユーロプスはシン・ヒイラギにそう聞いた。




はは~ん、サンドラ・ユーロプスはシン・ヒイラギが好きなんだ。




でも性格からか素直になれないでいる。




……はは~ん




「ん?俺か?まあ別にかまわないが」




しかしシン・ヒイラギはそんなサンドラ・ユーロプスの気持ちに気づかない様子で返事をする。




こういうやつがいわゆる朴念仁っていうんだろう。




「そ、そう、よし!それじゃあ決まりね!明日はこのチームで行くわ!」


サンドラ・ユーロプスは元気になり、張り切った様子でそう言うのだった。












にゃんにゃん

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