登場人物紹介
随時更新予定です
・ジンク
本作の主人公。
“種族間大戦”時には腕利きの傭兵として各地を転戦したが、“恒久平和を誓う共同宣言”採択後は職を失う。その後、紆余曲折を経て王都ヴィヴェッタにて『らーめん工房 じんく』をオープン。王都でも指折りの繁盛店となる。
じんくには種族や年齢を問わない多くの客が訪れる。様々な素材を使ったラーメンを提供しているため、どんな種族でも口に合うラーメンが必ずあるのも人気の秘訣である。
時にはそのノウハウを学ぶため、時にはその人気を妬む同業者。単なる『じんく』ファンならず、どんな者でも生温かく迎え入れるのは、この男の人柄によるところが大きいのだった。コワモテで言葉遣いも荒いが、情には厚い。
・サオリ
二〇二〇年の日本からやってきた“転移者”。大戦終結後の転移だったため、彼女はこの世界がそう遠くない昔、戦争の渦中にあったことを知らない。
元々は、若干二十歳にして次代のラーメン界を担う若き天才職人として雑誌やテレビの取材で引っ張りだこであった。絶好調の最中、支店オープンのため内覧した建物の中に異世界ゲートが存在し、つい入ったらこんなことに。
無銭だったが、ラーメン“っぽい”ものを出していたジンクの店が気になりつい食べてしまった。その単純で深みのない味とダンゴのような麺に我慢ならず、その天才的ラーメン製作技術で一瞬にしてジンクのラーメンをネクストレベルに押し上げた。ただし現実として無銭だったため、そこを突かれてジンクに延々とこき使われることに。
天才故に変わっている。普段はまるで頭を使わずに生きているが、ことラーメンの味に絡むことには人格レベルでの変貌を見せる。バカなことでも真剣なことでも言葉が過ぎる傾向にあり、それは他人に様々なダメージを与えるが、ラーメンへの愛ゆえといったところがあるので始末が悪い。
・キョウヤ
エルフだが日本人っぽい名前の冷静沈着イケメン。
エルフらしく勤勉で頭もいい。そしてイケメンだ。
多分魔法も使える。それがラーメンに生きたりもする。高身長のイケメンである。
エルフという種族の御多分に洩れず、食べ物にはさほど興味もなく大人になったのだが、ある日たまたまヴィヴェッタに用事があって出てきた時に『じんく』のラーメンを食べて体に電流が走った。次の瞬間には、ジンクに直接弟子入りを申し込んだほどである。ジンクは弟子を取らない主義だったが、あまりのイケメンぶりについ首を縦に振ってしまったほどのイケメンである。キョウヤが店に入り出してからは女性客の割合が増えたという。
いつか、生まれ故郷のエルフの森に自分のラーメン店を出すのが夢なイケメンである。
・エミネンザール
“元”公爵家の“元”公爵令嬢。
グランシャール公爵家はこの国でも屈指の名門だったが、武力全振りの一族であったため、『恒久平和を誓う共同宣言』が採択された後の世界で存在感を失う。それどころか、採択後に異種族虐殺行為を働いたとしてお取り潰しに遭ってしまう。なお、最後の戦闘行為は共同宣言採択からわずか数十分後であり、テレビもネェラジオもネェこの世界では不可抗力の面が大だった。
ともあれ、現実として何者でもなくなった彼女は、平和な世界で生き残っていくために、『じんく』の門を叩いた——というよりブチ破った——のだった。
一度培ったプライドは抜けず、生きていくため仕方なくラーメン屋を開こうという意識だったのを、サオリに看破される。