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序章:平凡な朝

作者の憧れフィリップ・マーロウをモデルとしてみました。

途中でハードボイルドからオカルト染みたラブロマンスに変わってしまうので、本としては駄作と言えるかもしれません。

だけど、作者のお気に入り!?

神奈川県、横浜にある横浜港に沢山の船が浮かぶ中にある全長30フィート(約10メートル)中型クルーザーが私の住み家兼事務所だ。


アメリカの中古艇を扱う船店で前々から貯めていた金を叩いて手に入れた宝物みたいな存在だ。


もっとも、それ以上の宝物が私にはある。


今、目の前で安眠枕に顔を埋めて眠っている金髪の女性だ。


肩まで伸びた金髪はベッドに散りばめられていて白いシーツからフラメンコの足を思わせる綺麗な美脚が見えた。


「ステファン。起きて。朝だよ」


私が揺らすと美脚美人はううん、と寝がえりを打った。


その仕草でも可愛いと思うのだから私は彼女に首ったけだ。


重症だが、それだけの女性という事だ。


「んー、もう少し寝かせてー」


可愛らしい声を出すステファンに苦笑しながら私は身体を自分の方に向かせて額にキスをした。


「目が覚めた?」


「んー、おはよう。ダーリン」


ステファンは青い瞳を眠たそうに開けて私の頬にキスをした。


「さぁ、顔を洗って来なさい。ご飯は出来たから」


はぁいと言ってステファンはベッドから起き上がった。


白いYシャツ姿のステファンが何とも生々しい美脚を惜し気もなく出していて朝っぱらから見るには少々毒だ。


私はステファンの魅力ある足から視線を背けキッチンを目指し歩きだした。


ステファンは逆方向にある洗面所へと向かった。


キッチンに行った私は最後の準備を始めた。


今日の朝食はトーストと目玉焼きに生の野菜サラダだ。


飲み物はコーヒーと紅茶。


私がコーヒーでステファンが紅茶だ。


イギリス人を父に持ったからかステファンは無類の紅茶好きだ。


私はアメリカでの生活が長かった事もありコーヒーが好きだ。


「これで、良し」


私はステファンの朝食をテーブルに置いて自分の席に着いた。


「改めて、おはよう。マイ・ダーリン」


Yシャツと黒のミニスカート姿のステファンが私に改めて挨拶をしてきた。


「おはよう。奥さん」


私もニッコリと笑って挨拶を返した。


「毎日ありがとう」


ステファンは席に着いて礼を言った。


「気にしないでいいよ」


私は笑顔で言った。


彼女は朝に弱く料理の腕も最悪だ。


それは元イギリス貴族のご令嬢だからかもしれない。


彼女の父は元貴族だったが悪い不動産屋に騙されて多額の借金を残し死亡し母親も後を追うように病死した。


残ったのは当時大学生だったステファンで借金返済のために売春宿に売られそうになった所を駆け出しだった私が助けた事で付き合うようになった。


当時ピンカートン探偵社にボストン大学に在学していながらアルバイト生として就職していた私をステファンは優しく支えてくれて正社員となりアパートを借りて同棲してからも変わらなかった。


ピンカートン探偵社を退社して独立し、更に私の故郷である日本に行く事にも賛成してくれて付いて来てくれた。


日本に来たのは“ある方”からの頼みだった。


元貴族であるステファンは料理など一切だめだが乗馬、社交界の事情、フェンシングなどの嗜みはあるから今では仕事の相棒としても活躍している。


まさに夫婦二人三脚で探偵をしているのだ。


「どうしたの?私の顔に何か付いてるの?」


ステファンがトーストを齧りながら尋ねてきた。


貴族の令嬢としては、はしたないが私には見慣れた姿だ。


「いや、いつ見ても可愛い顔だなって思ったんだ」


まぁ、とステファンは頬を赤くさせる真似をした。


「日本人は世辞が上手いわね」


「いやいや。本当の事だよ」


ステファンと笑いながら私はブルーマウンテンのコーヒーを飲んだ。


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