第90話 触手の教え八箇条
『うん、恐らくあれは…神様だね』
朝になり、パイとビコーとクギーが朝食をとっている。そこでダンが神様発言。一応、パイが聞いてみる。
「なに?寝ぼけてるの?」
『いや、迷宮族は睡眠を取りませんよ。実はね、皆さんが寝静まった後…異世界召喚を執り行ったのです!』
そこで夜中にあった事を説明。まるで触手の神が如く、凄まじいオーラを身に纏った少女が現れ、そして一冊の本を残していった事を熱く語った。
そんな熱く語るダンとは温度差がかなり違う三人は、冷ややかな目でそれを聞いていたが、パイが取り敢えず一蹴する。
「夢でも見てたのよ」
『いや、だから迷宮族は睡眠を取らないから!』
「起きてて夢を見たなら重症ね。魔族って医者とか、いるのかしら?」
『ちゃんと証拠だってあるよ!ほら!コレ!』
ダンは少女が置いて行った本を皆の前に取り出した。題名には【触手の教え八箇条】と書かれている。
『コレを読んでね、僕ちんは目覚めたの。触手とは何なのか、その真理をね』
「ふーん。良かったわね」
『僕ちんが今まで繰り出して来た触手なんてのは、まさに児戯!触手の本質を全く理解していない、マガイモノでしかなかったの!』
「だったら、引っこ抜きなさいよ、そんな触手は」
『朝から辛辣だね、パイちゃんは!兎に角さ、これを読み上げるから、ちょっと聞いてみて!』
【触手の教え八箇条】
・愛なくして触手語らず、触手なくして愛を語らず
愛とは触手。触手とは愛。この二つはまさに同義語ではないかと思わせる、その基本理念こそが、触手道の本質である。
愛の無い触手など、触手に有らず。触手の無い愛など、愛に有らず。
愛を知りたければ触手を。触手を知りたければ愛を。
触手道を邁進する者であれば、愛を忘れるべからず!
・触手を知る者は、触手を汁モノに
触手に責められた者が放出する体液。それを浴びてこそ、一人前の触手と言えよう。
触手に責められ、触手を知る者は、その体液を触手に放出し、触手を汁塗れにする。そう、汁モノになって、初めて触手は一人前なのだ!
逆に言えば、体液の放出を促せぬ触手など、触手であって触手でない。厳しい言い方かも知れないが、それが触手道。
触手道を邁進する者であれば、体液の放出を忘れるべからず!
『…どうだい?素晴らしいだろう?これこそ、触手道の真髄!やはり彼女は触手の神だった!…って、聞いてる?』
ダンの熱弁を、誰もが無視していた。
パイは抱き枕にしている、ダンジョンモンスターのネコマタをモフモフしている。
ビコーは甲冑を纏いながらトレーニングを開始。
クギーは王宮やギルドから盗み出した書類の整理。
エロエルフ専属メイドのアンは食器の後片付け。
『ぐぬぬ…この素晴らしさが理解できないとは!』
仕方なく、ダンは別のところに向かった。
◆
「これは…確かに素晴らしい書物だな。触手の全てが、ここに詰まっている。触手の神と邂逅したと言う話も、頷ける」
『おお…やっぱり肉便姫の皆さんは違うね!この素晴らしさが理解できるとは、只者ではないよ!』
淫魔族のサキュバスとなった肉便姫のニクコ、ベンコ、キコはダンの持ち込んだ書物に感嘆の声を漏らす。
「人の身でありながら触手道を邁進し、触手の神へと昇華されるとは…我々ですら、師事を仰ぎたいところだ」
『三人がそれ程までに言うのなら、やっぱり神で間違いは無いようだね』
「当然であろう?お主の触手もこの書物に触れたのだ。自身の触手の変化に、自覚はあるだろう?」
『うん。今までの自分の触手捌きは児戯に等しかった。肉便姫の三人からマガイモノ呼ばわりされたのも、今なら分かるよ』
「ならば…試してみるといい」
『え?試す?』
「今のお主なら、マガイモノとは呼べぬ。触手道のスタートラインに立てたのならば、我々が相手をするのも吝かでは無い」
『で、でも…』
「何を気遣いしている?我々に頼ると言ったのはお主だろう?三人でも話し合ったが、頼られるのは中々気分が良い。触手道を邁進する者に頼られるのであれば…さぞかし、気分が良いだろうからな!」
『あ、有難うございます!では…参ります!』
ダンの触手、20本が肉便姫に襲いかかる。
肉便姫の三人もまた、淫魔族のサキュバスに転生したその力を、ダンの触手を相手に御披露目する。
『うおっ⁉︎これがサキュバスのスキル【体液媚薬】の力か⁉︎ダメだ…意識が持っていかれる!』
「甘い!甘いぞ!この程度で根を上げてどうする⁉︎我ら肉便姫、三位一体の奥義を前に、抵抗一つ出来ぬのか!」
『お、奥義…だと…?』
「「「奥義!便器幼界!」」」
『ぐふぅ⁉︎こ、これが奥義の力…いや、これは…僕ちんに触手道を学ばせる…スパルタ教育かっ⁉︎』
「この程度でスパルタとは片腹痛い!スパルタとは、この様なものを言うのだ!」
『こ、これでスパルタでは無いと⁉︎』
「「「奥義!キツキツ便器幼界!」」」
『き、きっつきつだ!触手が…触手が締め付けられる⁉︎』
「どうした!この程度か⁉︎これでは触手道の深淵に触れることすら、叶わぬぞ!」
『ダメだ…このままでは…触手が蹂躙されるだけ…』
「ならば、抗うがいい!貴様の触手は何の為にある!」
『僕ちんの触手は…愛の為!女の子を幸せにする為にあるんだ!』
「さあ、見せてみよ!その、愛の力を!」
『おおおおおおおおおっ!』
ダンの触手の動きが変わった。今まで、見せたことのない動きだ。
滑らかに、かつ激しく!そして優雅に!愛の化身とも呼ぶべき、触手の真の姿が、奥義の会得へと昇華させた!
『奥義!浪漫秘孔!』
ダンの触手が肉便姫の急所に、的確に襲いかかる。
そして愛に満ち溢れた触手の責めは、いとも容易く体液の放出を促すのであった。
「うむ…これぞ触手…」
「これだけの放出を促すとは…」
「久しく忘れていた愛を思い出したよ…」
ニクコ、ベンコ、キコの三人は、ダンの触手の覚醒を確信した。
『はあ…はあ…これが…触手の真の力…?』
驚きを隠せないダン。それもそうであろう。児戯に等しいと思われていた、かつての触手捌きとは…全くの別物なのだから!
これが触手道。そして、終わり無き道へと踏み出した事を、ダンはようやく悟るのであった。
肉便姫の三人も理解した。触手道とは修羅の道。邁進し続ける者のみが生き残る、生と性に執着する者の歩む道。
「ふ…その我らの体液を浴びた姿こそ、触手のあるべき姿…神の導く触手道…余りにも美しいな…」
ニクコが讃えるよう、ダンの触手は美しかった。これから沢山の女の子を幸せにする、愛に満ち溢れた触手は…その輝きを更に増すのであった!




