第88話 マガイモノ
最後の捕虜は肉便姫。三人組のCランク冒険者チームだ。
かつて肉奴隷として何度も膜を再生させられては犯され、逃げ出してギルドに保護された。
今は借金を返済しながら、冒険者として生きてるそうな。
そんな三人に同情するダンであったが、クギーから同情される事が全て正しいわけでは無いと、諭される。
ダンは肉便姫と、どう接していいか分からないので、単刀直入に聞くことにした。
『肉便姫の皆さん、初めまして。ダンジョンマスターのダンです。単刀直入に聞きますが、我々の仲間になる気はありませんか?』
肉便姫のメンバーはニクコ、ベンコ、キコの三人。その内、ニクコがダンに返答。
「我々は誰にも頼らず、生きて行くと決めた。あの地獄から逃げ出し、三人で取り決めたのだ。だから魔族の軍門に降る気は無い。我々は囚われようとも、自由だ。誇りを汚さず、死を選ぶ。我々にとって、誇りこそ唯一の心の拠り所なのだ」
『あーうん、噂通りだね。これは厄介だ。本当にデリケートな問題だもの』
「何を迷う?殺すなり、その触手で犯すなり、好きにすればいいだろう?魔族が情けなど、我々の誇りを汚すのか?」
『いや、そんな事はしませんよ。僕ちん、元は人間だし』
と、そこでダンは自分が魔族なった経緯を、肉便姫の三人に語った。
『…まあ、そんな訳で魔族になって、ここで暮らしてます。パイちゃんの敵討ちの為もあり、人間と敵対行動を取ってはいますが、地獄を見た女の子を殺す様なゲスな事なんざ、いたしませんよ?』
「…それが嘘偽りない話なら、面白いな。まさか、魔族に転生できるとは」
『この触手で三人を幸せにしたいって気持ちはあるんだけど、今まで相手をしてきた女の子達が口を揃えて「下手くそ」「気持ち悪い」って罵詈雑言を浴びせるの。流石にそれだと無理でしょ?三人を幸せにするのは…。あ、試して欲しいなら、すぐ触手で責めるけど…』
「試さんでいい。結果は見えている」
『あ、はい。そうですか…』
「それで?貴様は我々をどうするのだ?殺さず、犯さず、甘い男みたいだが…逃すことも無理だろう?」
『うん。逃すことも無理だからね。だから…頼ろうと思う』
「頼る?誰にだ?」
『いや、肉便姫の三人に』
「我々に何を頼る?意味が分からないぞ?」
『だって三人は誰にも頼らず生きてくんでしょ?だったら逆に、頼られて生きてけばイイんじゃない?』
「……」
『僕ちんが三人を頼る。だから三人はこれから、僕ちんに頼られながら生きて行く。うん、決定!』
「…お前はアホか?本気で言ってるのか?」
『コミュニケーションを拒否する三人だからね。こうするしか無いでしょ?だから、これから三人を頼りにして行くね!』
「どうやら我々は、とんでもないドアホに囚われたようだな」
ニクコの言葉にベンコとキコも同意する。
「頭が悪そうに見えたけど…見た目以上に頭が悪そうね」
「本当。どうしようもないクズな男は沢山見てきたけど、どうしようもないアホは初めて見たわ」
呆れる三人であったが、ダンは気にしない。心に傷を負った女の子の為なら、どれだけアホ呼ばわりされても、気にする事など無いのだから。
そしてダンは三人に提案を持ちかける。
『いつか僕ちん達は、奴隷市場のあるプチプリン王国に攻め込むつもり。そこで道案内人が必要となるので、その時は頼らせて貰います!』
「ひょっとして、奴隷解放の為にプチプリン王国に攻め込むと言うのか?」
『いえいえ、元よりプチプリン王国は攻め込む予定でした。そのついでに奴隷が解放されるかも知れませんが、所詮はついでのことで御座います』
「…まあ、いい。私はお前の話に乗ろうと思う。二人はどうする?」
ニクコの質問にベンコとキコが答える。
「私達は一蓮托生。ニクコが望むなら、私達もついて行くわ」
「頼られるのは…まあ、悪くはないからね」
肉便姫の三人はダンの提案を飲んだ。いつか攻め込むプチプリン王国への道先案内人として、肉便姫と契約する事となったのだ。
『では、早速三人を魔族にしようと思いますが…御希望はありますか?』
「…淫魔族のサキュバスだ。可能なら淫魔になりたい」
『えっ⁉︎いいの?トラウマとかあるんじゃ…』
「肉便姫にとって最も近いのは淫魔族だ。寧ろ、望んでいるぐらいだ」
『淫魔族を…望んでいる?』
「私が惚れ込む男がいたら、淫魔族の技で骨抜きにしたいと思うのが女の性だろう?つまり、そう言う事だ」
『おおっ⁉︎そいつは羨ましい限りだね!惚れ込まれる男は!』
「羨ましいと思うなら、お前が惚れ込まれる男になればいい。今のお前では…まあ、無理そうだがな」
『期待させて落とす…うん、中々の悪女っぷりだね!』
そんなやり取りをした後、三人は無事に淫魔族のサキュバスに魔族転生。
アンの様なダンジョンモンスターではない為、裏切られる可能性もある。その為、制約に首輪を着けることを条件とした。
「我ら三人、気になる男の情報を聞きつけ、ここまでやって来たが…まさか、他に興味深い男と出会うことになるとはな…」
そんな発言をするニクコに、ダンも興味を示した。
『え?三人が興味を示す男なんているの?』
「ああ。その男目当てで、エクレア王国にやって来たのだが、生憎と不在でな。その為、ダンジョン攻略に乗り出し、こうやって捕まってしまったのだ」
『まさか肉便姫の三人が男目当てでエクレア王国に来てたとはねぇ。で、どんな男なの?』
「…マグナム」
『はあっ?マグナム⁉︎』
「名は知らぬが、30cmマグナムと呼ばれる魅力溢れる男がいるそうな。高級肉便器愛好家の、レズヨ女史が新聞の記事で紹介していたのだ。マグナム、凄い、肉便器を超える…とな」
『まさか、こんなところでマグナムの話が聞けるとは…』
「なんだ?ひょっとして、知り合いなのか?」
『知り合いも何も、本人だよ!さっき話した、このダンジョンと入れ替わったのが僕ちんで、人間の体を手に入れたのがジョン。そのジョンが僕ちんのマグナムで無双して、今は行方不明。落ち着いたら誰かに捜索を頼もうとしてたけど…』
「ふうむ。なんとも数奇な運命。我々が惹かれた男と、その様な因果があるとはな」
と、そこでビコーが口を挟む。
「あの時のジョンは本当に酷かったからね。手当たり次第に女の子を食いまくって…そのレズヨって女の子も、肉便器屋で出会った子のはずだよ」
『そっか。ビコーちゃんはずっとジョンの事を尾行してたから、ジョンの行動を全て把握してるんだね』
「診療所で童の貞を奪われた後、学校で女教師にスパルタ聖なる教育。その後は女帝と愛人契約。昼間は街の女の子を、夜は女帝の相手と、やりたい放題だったよ、ジョンの奴は!」
『その話を聞いて、疑問に思うのは…ひょっとして、ビコーちゃんも…マグナムを味わったりしちゃったの?』
「えっ⁉︎いや、それは…その…」
『あーはいはい、分かりました!真面目で義に厚いってキャラだと思ってたけど、ムッツリスケベなキャラだったんだね!ビコーちゃんは!』
「いや…その…つい…ムラムラして…」
『まあ、それだけマグナムが魅力的って事だからね。うんうん、持ち主としては自慢できますよ!』
ビコーのムッツリスケベが露見したものの、マグナムの凄さを改めて思い知ったダン。
肉便姫もこの話を聞いて、俄然興味が湧いたようで、いつかマグナムと対面したいと、話が纏まった。
『では、三人が暮らすエリアも用意しましたので、暫くの間はそこで畑仕事をお願いします。まだ種も苗も揃ってないから、土作りから始める様だけどね』
そう言ってダンは三人を見送るが、ニクコが転移ゲートをくぐる前に、ダンに一つの助言をした。
「…お前は中々愉快な奴だ。私達に気に入られるなんて、滅多な事ではないのだぞ?」
『あ、はい。ありがとう御座います』
「そんなお前に一つ、助言を残しておこう。その触手についてだが…それは触手であって、触手ではない。寧ろ、ただのマガイモノだ」
『ま、マガイモノ⁉︎』
「そうだ。マガイモノだ。それはまだ、触手としての本来の力を得ていない」
『本来の…ちから…?』
「…もし、触手道を邁進するのであれば、まずはスタート地点に立つ事だ。お前はまだ、触手道のスタート地点にすら立っていないのだ」
『え?どう言う事?』
「お前が相手をした女が、口を揃えて罵詈雑言を吐くのは…触手が触手でないから。ただ、それだけだ」
『なら、一体…どうすれば?』
「そこから先は自分で考えるんだな。触手の力は、お前が考えている以上に凄いモノなのだから…」
そう言い残し、ニクコは転移ゲートで用意されたエリアへと移動した。
残されたダンは、己の触手を見つめながら、その可能性について考えるのであった。
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評価pt5.5付けてくれたり、レビューを書いてくれても、問題は無いのですよ?
(●´ω`●)
【追記】
嫌がらせを受けた為、こうやって一生懸命頑張ってた自分が、本当に可愛そうに見える。
応援されるどころか嫌がらせを受けるんだもん。酷い話だ…。




