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30cmマグナムの生涯!  作者: 猪子馬七
第7章 触手と神
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第85話 大嘘つき



『さてさて、大量のDPと経験値をゲットし、スペアコアも召喚できて、益々絶好調!続いてはお楽しみの、捕虜について!まずは、暗器使いのアンちゃんから!』


 捕虜の選別をダンが始める。まずは唯一、Sランク冒険者での生き残りである、アンが運び込まれて来た。

 裸にされ、亀の甲羅の様に縛られ、お尻から注入された麻痺薬によって動きを封じられた…かつてのビコーの様な扱いを受けるアン。

 その為、麻痺しながらもダンの触手を睨みつける。


『では、麻痺を解除しますね。…さあ、これで喋れますよ。ようこそ、アンちゃん!我がダンジョンへ!歓迎しますよ!』


「…ビコーがそこにいるということは、貴様は魔族の軍門に(くだ)ったという事か?」


 アンの視線がビコーを捉える。かつての後輩、ビコーがそれに答える。


「見ての通りだよ。捕まって殺されると思ったけど、ダンジョンマスターにえらく気に入られて、(くだ)る事になった。あんたも死にたく無いなら、素直に降参する事を勧めるよ。元後輩としてね」


「やはり貴様は出来損ないだな!魔族に(くだ)り、言いなりになるぐらいなら…私は誇りをもって、死を選ぶ!」


「あ、奥歯に仕込んだ毒薬なら、とっくに排除してあるから、自決は無駄だよ。ったく、やることなす事、全てが私と一緒だから…本当に嫌になるね」


「…私を殺さず、どうするつもりだ?」


「だから(くだ)らせる為だよ?ここのダンジョンマスターはスケベだからね。女とみたら、手当たり次第にハーレムに入れようとするの。一応、忠告すると…素直になるのが今後の待遇に影響するから、そのつもりで」


「魔族に(くだ)る事を前提に話しているな?断ったらどうなる?」


「高待遇じゃなくなるだけだと思うよ。まあ、無闇に女を殺すことだけはしないから、安心してちょうだい」


「……」


 思案するアン。そこでダンが話しかける。


『ビコーちゃんが説明してくれた様に、アンちゃんは僕ちんのハーレムの一員になれる資格があります!とても名誉なことですよ、これは!』


 触手をウネウネさせるダンを見て、アンは了承する事に決めた。


「…分かった。私も(くだ)る事にする。だからこの縄を解いてくれ」


『いやっほ〜い!アンちゃんも僕ちんの触手の魅力にメロメロだね!ハーレムに入るのを、躊躇わないんだもの!』


「ハーレムに入るから、早くこの縄を解いてくれ、さあ!」


『あはは!待ちきれないんだね!でもその前に、アンちゃんの身体をこの触手で楽しませて貰おうかな♪』


「お、おい!やめ…」


 アンの抵抗虚しく、触手がアンを責めたてる。20本にまで増やされたダンの触手が、アンの全身を覆い尽くす。


『さあ、どうだい!僕ちんの触手責めの味わいは⁉︎素直になっていいんだよ!』


「…あ、うん…気持ちいいわ…もう…いきそう…」


『うひょー!アンちゃん、感度が抜群だね!』


 アンの喘ぎ声に歓喜するダン。しかし、パイとビコーとクギーの反応は真逆であった。


「「「はい、大嘘つき決定ね!」」」


 ハモった。見事なまでに、三人の意思がシンクロした。

 だが、それに対してダンから異議申し立てが出る。


『ちょ、ちょっとー!何、三人でシンクロしちゃってるの⁉︎よく見てよ、ほら!アンちゃんったら、とても気持ち良さそうにしてるじゃん!』


「馬鹿ねぇ。あんたの触手が気持ちいいわけないでしょ?」


「アンには素直になれと、あれほど忠告したのにな…」


「気持ち良くていけるなんて、その時点で演技だとバレバレでしょう?」


 パイとビコーとクギー、三人が大嘘であると認めている。それでも、ダンだけは認めたくはないのだ。必死で三人に訴える。


『いや、そんな事は無いって!本当に気持ち良いんだよ、触手は!そうだよね、アンちゃん!気持ち良かったよね⁉︎』


「……」


 アンが目を逸らす。決定的だ。


 あまりのショックに、触手をシオシオと項垂れるダン。と、そこにパイが提案を持ちかける。


「例の首輪。早速、使ってみたら?試すにはいい機会じゃない?」


 ビコーの発案によって作られた、リビングウエポンの首輪。ダンはパイに言われるがままに、首輪を取り出してアンに装着。すると一瞬にしてアンの首を締め付ける。


「ぐがががっ⁉︎」


『あ、アンちゃん!その首輪は僕ちんに対して殺意を抱くと、締め付ける首輪なんだよ!死なない程度に苦しめる様、指示してあるから…苦しみたくなかったら、殺気を無くして!』


 ダンの声に反応するアン。すると、首輪が元に戻り、締め付けが解かれる。


『その首輪はね、リビングウエポンで【読心】のスキルも持ってるの。僕ちんやパイちゃん達に殺意を抱いたり、逃げ出そうとか考えると、殺さない程度に締め上げるんだよね。つまり…軍門に(くだ)ると言ったアンちゃんは嘘つきで、僕ちんを油断させて殺そうとしてたと…』


「……」


『とても残念だよ。これでハーレムに入れる事が無理になったんだもん。パイちゃんが認めないと、ハーレムには入れないって取り決めだから、僕ちんと距離を置かないといけないし…』


「わ、私は別に殺そうなどと…ふぐぅ⁉︎」


『あ、いいんだよ。嘘の上塗りなんかしなくて。心を読める首輪が装着されてるんだから、嘘は通じないの』


「確かに…私は隙を見て殺そうと考えていた…だって…触手が気持ち悪すぎて…」


『嘘は駄目とは言ったけど、正直過ぎるのもどうかと思うよ?皆んなして気持ち悪いとか連呼されても、僕ちん傷付くからね?』


「すまない…でも…本当に気持ち悪くて…」


『うん、だからもういいって!それよりアンちゃんの処分について決定を下します!アンちゃんは魔族化、並びに融合ルームの実験体として活用します!』


「わ、私が魔族化?それに何だ、融合ルームとは…?」


 そこでダンは簡単な説明。自分の固有スキルがチートであること。それにまだ、実験が済んでいないことを。


 説明を受け、青ざめるアンであったが、すでに決定は下されたのだ。拒否する権利は無い。

 そんなアンに対して、ビコーも哀れみの言葉を捧げる。


「アン…あんたは今まで、残虐非道なアサシンとして生きてきたんだ。男に対してもそうさ。嫉妬深くて何人も手にかけてきただろう?恨みを買う様なことをしてきたツケを、やっと払う時が来たんだ。この私を殺そうとしたツケも…ね」


『ええっ?ビコーちゃん、アンちゃんに殺されかけたの⁉︎』


 突然の告白に驚くダンであったが、ビコーは平然と答える。


「アサシンとして生きてきた私は、組織から抜け出そうとしたんだ。その時の追っ手の一人が暗器使いのアン。私に深手を負わせて殺されかけたけど、ギルドマスターのルドーさんに救われたって話よ」


『そんな因縁がありながら、アンちゃんが素直な態度を示したら、ハーレムに入れてもイイって、ビコーちゃんは勧めてたんだ…』


御主人様(マスター)にとって都合が良い女なら、私が私情を挟むことはしないわ。でも、コイツはダメね。必ず反旗を(ひるがえ)すわ」


『確かにね。僕ちんもそう思う。だから仕方ないけど…アンちゃん、融合ルームの実験体として、その命を使わせて貰うね!』


 するとダンは、アンのお尻から麻痺薬を注入。とても楽しそうだ。

 動けなったアンを縛り付けている縄を解き、そのまま融合ルームへ。

 そして複数のダンジョンモンスターを召喚させ、グロテスクキメラを作り上げ、アンと同じ様に融合ルームへ。ダンの意識が融合ルームへと飛ぶ!







『やあ、アンちゃん。ようこそ、我が融合ルームへ!』


「……」


『ああ、麻痺薬の効果で喋れなかったね。じゃあ、こうしよう』


 アンの髪先をグロテスクキメラと繋いで融合完了。そこでアンのステータス異常である麻痺状態をキメラ側に移す。


『さあ、これで喋れる様になるよ』


「…私をどうするつもり?」


『残念ながら、人間を辞めてもらいます。本来であれば普通の魔族になって、ハーレムの一員として幸せに暮らせたのに…うん、残念だけど仕方ないよね』


「このグロテスクなキメラが私の姿となるのか…。ふっ…惨めな最期だな」


『ああ、大丈夫だよ。たとえアンちゃんが性格の悪い女でも、そこまで酷いことはしないから。取り敢えず、容姿はこんな感じで』


 そう言って、アンの種族を人間から耳長族のエルフへと交換。


『耳が長くなっただけだから、見た目は大して変わらないけど…うん、やっぱり可愛いね!』


「…まさか、私をエルフにするだけなのか?」


『いや、残念ながらそれだけじゃありません。アンちゃんが今まで育て上げてきたステータスとスキル、双方をキメラの方に移します。これで普通の女の子レベルまで弱体化しました』


「そんな事もできるのか…」


『まあ、それだと流石に可愛そうだからね。キメラの方にあるスキルを一つ、プレゼントします!淫魔族のサキュバスが持つスキル【体液媚薬】を授けましょう!これでエロエルフの出来上がり!』


「……」


『更に、アンちゃんは反乱の意思があるため、自由を奪わせて貰います。残念ですが。そんな訳で【ダンジョンモンスター】も、アンちゃんに移します。これで自我のあるダンジョンモンスター…に、なるはず』


「はず…って?」


『実はまだ、試したことが無かったの。ひょっとしたら自我が破壊されて、普通のダンジョンモンスターと同じ様になるかも知れないから、本当は他の人で試したかったんだけどね。うん、仕方ない』


「死ぬ事もできず、永遠とここで働かせるのか…。無様な最期だな」


『えーこれでアンちゃんの方の処置は終了しました。んで、今のキメラの方にはアンちゃんのステータスやスキルが、無駄に余ってます。捨てるのは勿体無いので、活用しようと思います。これも実験なので、失敗する可能性はあるけどね』


 そう言うとグロテスクキメラから一部が繋がった状態で、ダンジョンモンスターの忍び猫…の、肉体の一部である武器のクナイを分離。


『このクナイは忍び猫の体の一部だけど、これにリビングウエポンを移してクナイ型リビングウエポンを生成。んで、キメラにあるステータスとスキルを移動。これでステータス値が高いクナイ型リビングウエポン、残りカスのキメラ、エロエルフのアンちゃんが完成。二つを融合させて、三つを生み出す。うん、何とかなったね!』


 そして完成されたモンスターを外へと出す。ナイフで接合部分を切り落として、三体のモンスターは完全体へと姿を変えた。


『残りカスは要らないので廃棄して…さて、問題のアンちゃん。どう?自我はある?』


「自我は…ある。問題は無い」


『良かった!成功だね!じゃあ、自分のオッパイ、モミモミしてみて!』


 アンはダンの指示に素直に従い、自身のオッパイをモミモミする。


『うん、ダンジョンモンスターとしての機能も問題なさそうだね。じゃあ、これからメイド服に着替えて、専属メイドとして働いてもらおうかな!』


「わ、私がメイド⁉︎」


『アンちゃんは悪行を繰り返してきたんでしょ?だったら、これからは奉仕の精神で、生きていくべきだと思うの。エロエルフ専属メイドによる奉仕…うん、最高だね!』


「メイドの経験なんか無いから、無理だと思うのだが…」


『メイドの心得なら、王宮から盗み出した本があるから、それを読んで勉強しておいてね。あと、アンちゃんはダンジョンモンスターになったから、ダンジョンの外に出たら死んじゃうからね。そこは気を付けて!』


「…分かりました」


『あとは…皆んなに危害を加えない事。自傷も人を傷付けるのも辞めてね。勿論、自殺もね』


「…分かりました」


『うんうん、従順なるエロエルフ専属メイドは、やっぱり最高だね!膜も再生させておいたし、メイドとして頑張ったら僕ちんが初めての相手になってあげるね!』


「…ワ…カ…リ…マ…シ…タ」


『えっ⁉︎なんで、そんなに嫌がってるの⁉︎血の涙を流しそうな勢いじゃん⁉︎』


 自身の未来に絶望を抱いたエロエルフ専属メイドのアン。ダンの指示通り、嫌々ながらもメイドの勉強を始めるのであった。


『ちょいと納得出来ない部分もあったけど、ダンジョンモンスターに自我を植え付ける事も可能と分かったし、実験は成功だね!そしてもう一つの実験も…うん、成功みたいだ!』


 クナイ型リビングウエポンの完成品を見て、ダンは満足そうに頷く。


『じゃあ、クナイはパイちゃんの装備品として、パイちゃんの指示に従ってね』


「は?私の装備品⁉︎」


 驚くパイであったが、別におかしなことでは無い。


『パイちゃんの身を守る為の親衛隊を作る予定だけど、それにはまだ材料が足りないし、場所を取るでしょ?だからまず、パイちゃんにリビングウエポンによる強化をする予定だったの。ビコーちゃんとクギーちゃんみたいにね』


「なるほど。その為のクナイって事ね」


『本当は甲冑でもいいんだけど、王女様が常に甲冑姿だと落ち着かないでしょ?やっぱりパイちゃんはドレスかメイド服か裸か…うん、そう言うのが似合うから、暗器として場所を取らないクナイにしたの!【読心】のスキルもあるから、敵意のある人が来ても身を守ってくれるから安心だよ!』


「暗器使いのアンと、キメラの能力を足したクナイ…うん、悪くは無いわね」


 武器としても使え、護身として宙にも浮いて、迎撃できるクナイ。ダンジョンの外には出せないという制約があるにしても、かなりの使い勝手の良い武器に御満悦のパイなのであった。



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