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30cmマグナムの生涯!  作者: 猪子馬七
第6章 怪盗ルパイア三世とルドー
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第73話 魔族転生



 かつてエクレア王国では、隊長をダンジョンに落とし、そのままボイコットして奴隷落ちした兵士達がいた。


 その後、奴隷落ちした兵士達はダンジョンへと送り込まれ…そして、帰ってくる事は無かった。


 そんな奴隷落ちがダンジョンに無理矢理突入させられてから、およそ三週間の時が流れた。


『さあ、遂に!今日からあの、作戦を実行しようと思います!DPもある程度溜まった事だし!』


「いよいよね。ビコーが60DP、クギーが40DPと、二人で毎日100DPも稼げるのは大きいかったわね」


 ダンとパイが、前から計画していた作戦を実行に移そうとしていた。

 ちなみにビコーは仲間になるのを反対している為、未だに石化状態で牢獄に。

 クギーも時間が欲しいと、石化されて牢獄に入ることを望んだので、二人共仲良く石化牢獄暮らしだ。


『そのビコーちゃんとクギーちゃんも、今回の作戦は見学させようと思ってるんだよね』


「見学させるメリットなんかあるの?目の前で魔族転生させるんでしょ?」


『うん。ビコーちゃんもクギーちゃんも魔族化する予定だし、今のうちに慣れといた方がいいかなって…』


「…まあ、本当に仲間にするなら、今のうちに同じ悪事に手を染めさせるのも、悪くは無いわね?」


『え〜?今回は悪事じゃないよ?』


「エクレア王国にとっては悪事だからね。まあ、私や国民にとっては善行だけど!」


 そしてダンとパイは、遂に計画を実行するのであった。







『さて、皆さん!長い間、石化の眠りについて貰ってましたが…遂に、計画を実行する時が来ました!』


 かつてボイコットした奴隷落ち兵士122名の石化を解除し、コアルームにてダンが計画の説明を始める。


『えーまず、今日から数人づつ、皆さんには魔族転生を行います。魔族転生に対するエネルギーが溜まり次第、徐々に転生させます。今日、石化しない人はまた、明日から石化で待機となりますので、御了承を』


 そう説明するダンであったが、奴隷落ち兵士達は別のところに集中している。


『それと…我々の仲間になってくれる予定の二人は今回、見学として参加します。あまりジロジロ見ないであげてね』


 ビコーとクギー。二人は石化を解除され、見学者として連れて込まれた。

 相変わらず亀の甲羅の様に縛られてるが、今は布でグルグル巻きにされており、顔だけを外に覗かせている。


『ビコーちゃんもクギーちゃんも、二人共魔族転生する予定です。あと、隣にいるパイちゃんも。さあ折角なので、ダンジョン民になる初の魔族転生を、一緒にご覧頂きましょう』


 そして最初に魔族転生する男が立ち上がる。


『さて、ボイ君。覚悟はいいかね?』


 かつてボイコットを扇動して奴隷落ちしたボイ。その後は他の兵士を説得して、全員を魔族化するようにした男だ。

 今回の魔族転生に対しても、自身が一番にと、名乗り出たのだ。


「覚悟はできてます。いつでもお願いします」


 ボイの身体は僅かに震えている。これから行われる魔族転生に対し、どれだけ覚悟を決めたところで、恐れを拭い切るのは難しいだろう。

 だが、それは他の兵士も一緒だ。だからこそ、ボイは率先して魔族転生を受け入れた。


『ふむ。中々、関心だな!では、そんな勇気あるボイ君が転生する魔族が…こちらだ!』


 そこで用意されていた、ダンによってカスタムされた…グロテスクキメラが現れた。


「な、何ですか!コレは⁉︎」


『これは複数のダンジョンモンスターを融合させたキメラ。どうだい?カッコイイだろう?』


 確かに複数のモンスターが混じっているのがよく分かる。そしてこれが自身の転生する姿だと思えば、流石にボイでも抵抗を見せる。


「あ、あの…他の魔族では無理ですか?このグロテスクなのは流石に…」


『ああ、抵抗されるかもしれないから、一応保険として麻痺毒を打ち込んでおくね』


 するとボイの後ろから双頭百足(ムカデ)を召喚し、首筋を噛ませる。


「ぐはっ⁉︎」


『悪いね。君の意見は通らないのだよ。では…』


 そう言ってダンは触手でボイを縛っていた縄を解き、服も脱がせる。


 一矢纏わぬ姿となり、麻痺毒によって痙攣しているボイ。他の捕虜は、誰もが未来の自身の姿だと思い、顔を青くしている。


 そんな連中をよそに、ダンは魔族転生を実行。


『では、これより!待ちに待った魔族転生を開始します!拍手を…して欲しいところですが、皆さんは動けないから無理ですね。パイちゃんだけでもよろしく』


 静かなコアルームに、パイの拍手だけが響き渡る。


「ほら、拍手したわよ。前置きはいいから、早くしなさい」


『あ、はい。拍手、ありがとでした。では…行きます!』


 そして遂に魔族転生が開始される。ボイを融合ルームへと入れると、グロテスクキメラも指示して融合ルームへ。


 ボイとキメラ、二体の融合はすぐに完了。魔族転生は成功した。そして融合ルームから、融合した二体が姿を現した。


「ま、マジかよ⁉︎」


「はぁ⁉︎どういうことだ⁉︎」


「ええっ⁉︎何故…」


 捕虜121名、全てが驚きを隠せない。それはそうであろう。ボイとキメラ、二体の融合によって…女エルフに姿を変えたのだから。


『はっはっはっ!どうだい、ボイ君!その身体は⁉︎素晴らしい肉体だろう!』


 そこでダンは王宮から盗んであった鏡を差し出し、その姿を確認させる。


「あの…なんで女エルフに…?」


『融合ルーム内でも語ったが、男をダンジョン内に住まわせても、楽しくはないだろう?だから女エルフだ。それに、普通の女エルフではない。ほれ、これを見よ!』


 そう言って、ダンが女エルフとなったボイのスカートをめくり上げると、そこには白いパンツが…そして、モッコリと膨らみを感じさせた。


『どうだ!ただの女エルフではないぞ!そう、ふたなりエルフだ!人間だった頃の顔立ちも残し、愚息をも残す!これぞ魔族転生の醍醐味!』


「……」


『更に、それだけでは無い!複数のモンスターを組み込んだのは、ステータスの値を増やす意味もあるが…それ以上に、スキルも増やす為だ!特にオークの持つ【凌辱】のスキルは最高だぞ!』


「あの…何の為にこんな魔族転生を…?」


『だから言ったでしょ?ダンジョン内にて生活する、ダンジョン民が欲しかったって。さあ、今回はあと三人!志願者はいるか⁉︎早い者勝ちだぞ!今回転生しないなら、再び石化して貰うからな!』


 ダンはそう言いながら、女エルフと繋がっているキメラの部分を切り落とす。


 魔族転生の凄さを間近で確認した、ビコーとクギーも思わず声を漏らす。


「嘘でしょ…」


「まさか…こんな事が出来るなんて…」


 そしてパイも御満悦に声を漏らす。


「ふふっ!これで私の魔族化も現実味を帯びてきたわね!」



 ダンの行った融合は、キメラの融合を利用した複合の融合である。

 まず、キメラにエルフやオークなどの、複数のダンジョンモンスターを融合。それをボイと共に融合ルームへ。

 ボイとキメラの一部を融合させたら、キメラの一部である女エルフとボイの肉体を交換。その時、顔は交換ではなく。女エルフの顔と混ぜて、元の顔の印象を残した女顔のエルフに。そして愚息はそのまま女エルフに付けておく。


 女エルフの体ができたら、麻痺毒などの状態異常はキメラの方に。そしてステータスやスキルは女エルフの方に。

 こうして、ふたなり女エルフとグロテスクキメラとの融合が完了した。

 あとは接合部分を切り落とし、ふたなり女エルフの完成。誰もが息を飲む、素晴らしい出来栄えだ!


 この素晴らしい魔族転生を見た捕虜達の中から、すぐに志願者は現れ、同じ様にふたなり女エルフに魔族転生を行った。

 四人のふたなり女エルフ。それを見たダンは満足そうに頷く。


『うん、イイね!とても素敵だよ!ダンジョンモンスターの女エルフは美人だけど、全員同じ顔で個性がないからね。こうやって元の顔を混ぜて個性ある美女ができるのは素晴らしい!うん、最高だよ!』


 満足するダンと、苦笑いはしながらも美女である、ふたなり女エルフになった事を喜ぶボイ達。


 と、そこでダンが別の計画についても説明を始める。


『さて、魔族転生は無事に完了しましたが…今回、皆さんを石化解除したのには、別の計画への参加もあっての事です。それについて…説明します』


 ダンが用意した計画は魔族転生だけではない。むしろ、こちらがメインの計画。

 その計画を聞いた捕虜達は、こぞって歓喜の声を上げるのであった。



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