第72話 山積みの書類
エクレア王国の冒険者ギルドにて、ギルドマスターのルドーが、本部から内定調査員として派遣された、ナイテの報告を聞いていた。
「まず、横領の罪を犯したクギー元副ギルドマスターについてだが…捕虜になったとみていいだろう。ダンジョンは交渉への呼びかけに一切応答は無く、最終的にはクギーを引き摺り込んだ。つまり、それが答えだ。交渉の余地無し、人類への敵対行為を執行する。そう、冷酷なる魔族だと判断する」
ナイテの報告に、ルドーは顔を顰める。
「やはり大魔王の可能性もあるのだな…」
「いや、それは無い。大魔王の復活では無いのは確かだ。理由は言えないがな」
「ナイテ殿がそうおっしゃるのなら、そうなのだろう。だが…それでも、厄介な魔族である事には変わりは無い。クギーも…できる事ならば、助けたかったのだがな…」
「置き手紙…怪盗ルパイア三世によると、クギーがナーム女王へと情報を流していたのだからな。それが新人冒険者大量殺害に繋がった可能性もある事だし、どのみち罪に問われる予定だったのだ。お金を預けた様子見で、尻尾を出したから速攻で捕えたが…まあ、こうなる運命だったのだろう」
「そのルパイア三世も…どうにかしたいところですな」
ルパイア三世は王宮にある財宝のみならず、銀行やギルドの金庫からもお金を盗み出したのだ。
パイが犯人だと思われたが、ダンジョンには前から財宝が沢山あると、ソウメイからの情報がある。つまり、ダンジョン以外に財宝が隠されている可能性もあるのだ。
「ルパイア三世については、こちらからも調べておく。今回の事件は我々だけでは人手が足りないからな。増援も要請しているので、近いうちに何らかの手掛かりは掴めるだろう」
ナイテはその後、ギルド本部の方針を説明し、今後の打ち合わせを済ませると、ギルドから去っていった。
残されたルドーは山積みとなっている書類を前に、ポツリと呟く。
「クギー…。お前の仕事は俺が引き受ける。だから…せめて、ビコーと共に生き抜いていてくれよ!」
クギーもビコーも捕虜として生き抜いている。そう、信じるルドーは山積みとなった書類を、片っ端から処理していくのであった。




