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30cmマグナムの生涯!  作者: 猪子馬七
第5章 ビコーとクギー
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第70話 人質交換



『さて、DP不足の解消も可能となりましたし、そろそろダンジョン民の育成と例の計画に着手しようと思います』


 ダンの提案に、パイも頷く。


「そうね。最初の捕虜の122名も牢獄から溢れそうだし。本当は強化人間にして、DPを稼がせたいところだけどね」


『いやいや、例の計画に彼らの力が必要だし、今後のダンジョン運営にも彼らは必要だよ?より快適なダンジョン生活を送るなら、ね』


 そんな話をしていると、ダンジョンの入り口で動きがあった。その日の突入する兵士…では無く、何やらセクシーな衣装を見に纏った、一人の巨乳が入り口に立つ。


『うひょっ⁉︎なに、あの巨乳は!なんてセクシーなんだ!え?もしかして、こちらを誘ってる⁉︎』


 ダンが食いつく様に、モニターを見る。そしてパイもモニターで巨乳を確認。


「あれは…副ギルドマスターのクギーよ!なんでギルドの職員がここに?それもあんな、露骨な衣装で?」


 入り口に立っているのは、副ギルドマスターのクギー。だが、いつもの服装とは違って、かなりセクシーだ。

 コンプレックスである巨乳を隠す様な服では無く、巨乳の魅力を遺憾無く発揮させる、とてもセクシーな衣装。確かに、クギーらしくない。


 そんなセクシー衣装のクギーが、ダンジョンに向かって通告する。


「私はエクレア王国冒険者ギルド、副ギルドマスターのクギーです!人質となっているソウメイ様、並びにロリメイ様の人質交換の使者としてやって来ました!もし、交換の意思があるのならば、要望に応じた数の奴隷を用意します!返答は明日の夕方までに!それでは、良いお返事をお待ちしてます!」


 そう言ってクギーは踵を返して戻って行った。

 人質交換。それを聞いたダンとパイは、お互いに頭を悩ませる。


『いや、人質交換をするにしても…ねえ?』


「ロリメイはただの肉人形で、ダンジョンの外に出たら消滅するし、ソウメイはロリメイの魂だから、本人じゃないし…うん、無理よね」


『いや、でも…パイちゃん。この取り引きを無視するのは、どうかと思うよ?』


「奴隷が貰えること?それとも、クギーの巨乳のこと?」


『そりゃ、両方だよ!決まってるじゃん!あんなセクシーな衣装で誘惑してくるんだから、間違い無くクギーちゃんは僕ちんに惚れてるよね!』


「寝言は寝てる時に言いなさい」


『いや、迷宮族は眠らないから…』


「あのね、少しは落ち着きなさい。そもそも、冒険者ギルドの副ギルドマスターが、あんな格好でここに来る事自体がおかしいのよ?」


『え?なんで?あの格好だとおかしいの?』


「当たり前でしょ?クギーは巨乳をコンプレックスとしてるんだから。元々は弓の名手だったのに、発育が凄すぎて弓を使えなくなったのよ?なのに、あんな格好をしてるって事は…それなりの事情があるんでしょ」


『それだけ、僕ちんに惚れてるってことでは?』


「無いわよ」


『…そですか』


「恐らく…何かの罠か、クギーが不始末を犯して責任取らされてるか…」


『あ、ひょっとして、あの置き手紙じゃない?』


「ギルドの金庫に残した?ああ、確かにナームに情報流した礼って書いたわよね?ひょっとして、その責任で?それにしても、あんな格好で取り引きをさせるなんて…ギルドも中々、酷いことをするわね」


『…酷いことって言いながら、とても良い笑顔をしてるよ、今のパイちゃんは』


「そう?じゃあ、あなたも楽しそうにしなさいよ」


『僕ちんが楽しそう…とは?』


「あのクギーを捕まえて、触手で責めることを想像したら…とても楽しそうでしょ?」


『うほっ!確かに楽しそう!』


「あなたの下手くそな触手責めに嫌がるクギーを想像したら…うん、私もとても楽しくなってきたわ!」


『…パイちゃん、その下手くそってのは、本当に勘弁して。マジで凹むからね』


 そんなやり取りをしながら、二人はクギーの捕獲作戦を練るのであった。







 人質交換の旨を伝えて、翌日になった。ダンジョン入り口近くにある対策本部では、夕方までクギーが返事を待っている。

 だが日が沈み、辺りが暗くなっても、一向にダンジョンから返事は来ない。

 何度かダンジョンに向かって通告を繰り返したが、梨の礫。


「このままでは、私が突入する羽目に…。何としてでも、取り引きには応じて貰わないと…」


 そう呟くクギー。もう、後が無いのだ。


 クギーは内偵のナイテから、条件を出されていた。もし、ダンジョンと人質交換を成功させれば、クギーの犯した罪は免除する、と。

 つまり、クギーの犯した罪を、何も無かった事として処理してくれるそうだ。

 ギルドにしてみても、次期教皇の命を救えるなら、クギーの犯した罪の免除など安いものだ。


 逆に、取り引きが失敗に終われば単身乗り込み、ダンジョンの攻略を強制させられる。

 今もナイテは身を潜めながら、クギーを監視しているのだ。逃げ場は無い。


「魔族とパイア王女が繋がっているのなら、捕まり次第自決しないとね…」


 ビコー同様、奥歯に自決用の毒薬を仕込んであるクギー。パイに恨まれてると理解しているから、自決の準備も万端だ。


 そして日が完全に暮れ、人質交換のタイムリミットになった。これでダンジョンから何の応答も無ければ、単身ダンジョンに乗り込まなければならない。


 覚悟を決めたクギーが、ダンジョン入り口へと立つ。

 そして最後の通告をしようと、ダンジョンに向かって声を上げると…足元から滑り落ちる様に、ダンジョンへと転落した。


「わた…きゃっ⁉︎」


 井戸の様に深い縦穴100mのダンジョン。地面に激突すれば、死は免れない。

 必死で体勢を立て直そうとするが、落下中のクギーに三つの影が迫り来る。


 捕獲用のダンジョンモンスター、(シャドー)(オーク)だ。その三体が一斉にクギーにスキル【糸縛り】を発動。粘着糸に絡まったクギーは地面への激突は免れたが、麻痺毒によって完全に自由を奪われる。


 自決する暇さえ与えられないクギーは、そのままダンの待つコアルームまで連れて行かれるのであった。







『上手くいったね!流石に暗くならないと無理だとは思ったけど、何とか引き摺り込めたよ!』


「デブが相手だと無理な策だけど、クギーが相手なら何とかなったわね」


 ダンのとった作戦は、風呂敷を入り口付近に敷いて、その上にクギーが来たら引っ張って中に落とす、簡単な落とし穴だ。

 勿論、普通の風呂敷では無い。黒くて目立たない風呂敷を、融合ルームにてダンジョンモンスターの忍び猫が持つスキル【隠密】を付与して、目立たなくした風呂敷だ。

 それを暗くなってから入り口から少しづつ外へと棒を使って押し出す。【隠密】を付与された棒を使えば、それも目立ち難い。


 そんな手を使って、暗くなったらクギーをダンジョンに落として捕獲。そしてコアルームへと運び込まれた。


『うひょー!巨乳ゲット!早速、楽しい身体検査から始めないとね!おっと、その前に…』


 暴れられない様に、捕獲したクギーに再び麻痺薬を注入。勿論、即効性を重視したお尻からの注入だ。ダンは楽しそうに麻痺薬を流し込む。


 そしてスキル【糸縛り】を解除させ、服を脱がせる。ダンの眼前に現れたのは…たわわに実った、見事なまでオッパイ。サイコーだ!


『おおっ!なんて見事な巨乳!うん、最高だよクギーちゃん!』


 大喜びのダンに反して、パイは冷静に状況を判断。


「浮かれるのはいいけど、まだ自由にしちゃダメよ。ビコーみたいに奥歯に毒薬を仕込んでいる可能性もあるからね」


『そうだった!死者蘇生は不可能だし、死なれたら大変だ!こんな見事な巨乳、死なせてしまっては世界の損失だしね!』


 そう言ってダンが奥歯を確認。すると予想通りに毒薬が仕込まれていた。


『マジかー!クギーちゃんも自決覚悟でここに来たのかー!あ、それならここにも…あ、ビコーちゃん同様、仕込んであるんだね』


 ビコー同様、下半身に仕込ませてあった小さな暗器も回収。

 その後、綿密に身体検査を行い、ビコー同様に亀の甲羅の様な縛り方で捕縛。

 そして麻痺薬を解除して、尋問を開始するのであった。



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