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30cmマグナムの生涯!  作者: 猪子馬七
第3章 ダンとパイア
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第48話 槍使いと斧使い



『…では、行きます!』


 そう言うと、ダンは予定していた通りにダンジョンの拡張を開始。

 地下100mの地点から、ダンジョンが拡張で広げる最小の大きさである直径1mの横穴。それをエクレア王国の王都がある方角へ、一直線に伸ばしていく。

 そのスピードはかなり速い。騎馬でも追いつかない速さでの拡張である。


 そして30分もしないうちに、拡張は停止する。


『さて、これで予定していた距離を拡張完了しました。1万DPを全て使うのは危険なので、残り3000DPになるまでの拡張が終了』


「それで?どのくらいの拡張が進んだの?」


 パイの質問に、ダンは何となく体感で感じる距離を測定。


『うーん…多分、王都までの距離を100とするならば、70〜80ぐらいは進んだかも?』


「それだとギリギリね。王都内での拡張も考えると、あと最低は5000DPは欲しいわね」


『その数だと、あと50人は捕食しないとね。この前みたいに80人近くを一網打尽にできれば助かるけど…』


 と、そんな話をしていると、ダンジョンの入り口の辺りが騒がしくなって来た。


 ダンがモニターを拡大して外の様子を伺うと、二人の屈強な男がエクレア王国の派遣している捜索隊の隊長と話をしている。

 どうやら、この二人の男がダンジョン内に入るのに、隊長から情報を聞き出しているようだ。


『あいつらが今日の生贄か。でも軍の兵士って感じはしないよね』


 ダンの問いかけに、パイは焦りながら答える。


「ヤバイわよ、ダン!あの二人は冒険者!それもSランク冒険者の槍使いヤーリと、斧使いのオーノ!」


『ええっ⁉︎冒険者?でも、冒険者がダンジョン探索に来るって事は…』


「このダンジョンの噂を聞きつけてやって来ただけなら問題無いけど…もし、ギルドからの要請で来たなら…ダンジョン攻略に特化した冒険者が、攻めてくるかも知れないわよ!」


『マジで⁉︎いや、でも…丁度DPが欲しかったところだったから、侵入者が増えるのは都合がいいのでは?』


「馬鹿ねぇ!全然良くないわよ!Sランク冒険者ってのはね、大迷宮レドリゲルの深部で活躍するレベルの連中よ!つまり、世界最大の迷宮を相手にできる連中なの!あなたのミミズの巣ダンジョンなんか、一溜(ひとた)まりも無いわよ!」


『えええっ?じゃあ、どうしよ…。丁度、DPを大量に消費したところなのに…』


「ごめんなさい。私のミスだわ。ギルドが参加しないと高を括ってた。それにDPの消費も私の指示だし…」


『いや、パイちゃんのせいじゃないよ。いきなりSランク冒険者が来るなんて誰も予想だに出来ないよ!それにパイちゃんだけなら助けられるから!』


「無理よ。出口は一つで、道は一本道。逃げ場なんて無いじゃない」


『いや、敵がここまで来たら、俺がパイちゃんを人質としてナイフを突きつけるから…そうすればパイちゃんは俺に捕まった被害者として、助けられるし…』


「私は国際指名手配されてるのよ?王宮に火を放ったのは紛れもない事実だし、国王を焼き殺した犯罪者として処分されるわ。それに…あなたはどうするのよ?」


『俺の事は心配しなくていいの!それよりパイちゃんのこと…あ、そうだ!折角、王都に向かって拡張した横穴があるんだ!それを使って脱出をしよう!今から急げば、かなりの距離を離れたところで地上に出られるから!』


「それも無理でしょ。あなたが言ってたじゃない。ダンジョンの入り口を増やすのは、レベルが上がらないと無理だって…」


『それなら大丈夫!横穴を地上ギリギリにまで伸ばすから、俺が死んでダンジョンがただの洞窟になれば、パイちゃんでも土を掘って脱出できるから!』


「ごめんなさい。意味が分からないわ…」


『ええっと、つまり…横穴をこう、斜め上に向けて進めて…』


「そうじゃなくて…。なんで、あなたは私の為に命を投げ出すのよ?あなたがここで死んだら、あんなに楽しみにしてた初夜はもう、無理なのよ?意味が分からないって、そう言う事!だいたい、私はもう王女じゃないし、何も持ってない!あなたが命を懸ける価値なんて無いのよ!」


『惚れた女の為に命を投げ出すのに…それ以上の理由なんか、必要ないでしょ?』


「……」


『はは…一度は言ってみたかったセリフを最後に言えて良かったよ!さあ、急いで準備を…』


「…嫌」


『え?何が⁉︎早くしないとあいつら、侵入して来ちゃうよ!俺が少しでも足止めしとくから、我儘言ってないで…』


「私は逃げない。それにまだ、やる事があるのよ」


『やる事?こんな時に何を?』


「こんな時だからよ。もし、これから私達が死ぬなら…お互い、悔いのない様にしないとね」


『悔い?何のこと??』


「まだ、分からないの?私の処女を捧げるって言ってるのよ。だからあなたも…童の貞を私に捧げなさい」


 それは突然の告白であった。



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