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30cmマグナムの生涯!  作者: 猪子馬七
第2章 ジョンとマグナム
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第30話 愛人契約



 王都にて、初めて夜の店に来店したジョン。初めての事だし、折角なら一番の人気店にしようとセントラル・フォックスを選んだ。

 本来であれば田舎者が来るような店ではないのだが…。


 入店早々、ジョンは指名をした。この店で一番のテクニシャンをお願いします、と。


 少し待たされ、その後案内されたのが、まさかのオーナー室。なんと店のオーナー、自らが相手をしてくれるそうだ。

 恐る恐るオーナー室へと踏み込むジョン。そこにいたのは白狐のマフラーをした妖艶なら美女。マグナムが過敏に反応する。


 そんな元気なマグナムを見て、微笑む美女が自己紹介。


「はじめまして。当店のオーナー、シロキと申します。今日はようこそいらっしゃいました。どうです?当店自慢のお酒は如何ですか?」


 そう言ってグラスにお酒をつぐが、マグナムは常にシロキの胸元に反応している。まるでお酒など、眼中に無いと言わんばかりに。

 そしてジョンもマグナム同様、お酒を飲むのは躊躇った。


「あの…お酒はちょっと遠慮させて下さい…」


「あら、そんなに立派なマグナムをお持ちになりながら、お酒の嗜みが無いのかしら?」


「いえ、お酒を飲むと意識が朦朧として、マグナムに自我の主導権を握られるんです。だから…」


 それは酔っ払うと女を襲う。そういう意味に受け止められる。

 確かにこれほど見事なまでのマグナムに襲われては、並の女では(たま)ったものではないだろう。

 しかし、シロキは並の女ではない。エクレア王国一のテクニシャンとしての自負がある。暴走するマグナムを相手に一歩も引く気はない。


 そしてシロキにはお酒を飲ませる、もう一つの目的があった。それはジョンが何者であるのか、口を割らせることである。


 もし、今日のジョンの来店に裏で糸を引く首謀者がいるのであれば、それを突き止めなくてはならない。

 これ程見事なまでのマグナムを刺客として送る者がいるとすれば、いずれシロキにとって最も脅威となる存在。何としてでも口を割らせる。その為に酒を飲ませることが必須条件。


「ふふ、残念ね。私のお酒が飲めないなんて。それとも…こうすれば飲んでくれる?」


 そう言って、シロキはグラスにあけたお酒を口に含み、そのままジョンに近寄り…口移しでジョンの口内へと流し込む。


「ふぐっ⁉︎」


 突然の口移し。だが、夜の店の作法を知らないジョンは、これが夜の店独特の作法だと思った。

 飲酒を断れば口移しで飲ませてくれる。何というサービスであろうか。これから夜の店に来る時は、常にお酒はお断りしようと心に誓うのであった。


 ジョンの口内にお酒が流し込まれる。とても甘くて飲みやすい。

 しかし、それはアルコール度数の高いお酒を飲みやすくする為の甘さ。ジョンはすぐに意識を朦朧とさせる。


 お酒がまわり、虚な目をするジョン。そしてそれに反比例する様に、その存在感を硬さで示すマグナム。


 …もう、言葉は要らなかった。お互いに示し合わせたようにマグナムとシロキ、双方が同時に動き出す。

 エクレア王国一の夜の店、セントラル・フォックスに、男と女が激しくぶつかり合う音がこだまする!







 (むさぼ)る。そんな言葉が最も適切だと思われるほどに、貪った。どちらかではなくマグナムとシロキ、その双方が、だ。


 一週間、お互いに貪り続けた二人だったが、やっと落ち着きを取り戻し、そしてマトモに会話をするようになっていた。


「はあ⁉︎本当にただの田舎者なだけなの⁉︎」


 驚くシロキ。てっきり恨みを買っていた他店からの刺客だと思い、必死で口を割らせようとしていたのだが、蓋を開けてみれば田舎者が背伸びをして、分不相応な高級店に来ただけの事。なんとも拍子抜けな話である。


 そしてそのままジョンから話を聞くと、更なる驚愕の事実まで聞かされる事に…。


「…そう。私がまだ、三人目の相手だったんだ」


 なんとも立派な30cmマグナム。だが、相手にした女の数は、自分を含めてまだ三人だけ。

 その程度の経験値でありながら、エクレア王国一のテクニシャンである自分を相手に、一週間も奮闘したのだ。恐るべき潜在能力(ポテンシャル)

 その、底の見えない30cmマグナムの可能性に、裏社会の実力者であるシロキが一つの提案をすることに…。


「ねえ、それだけ立派なマグナムなんだから、有効活用してみる気はないかしら?」


「有効活用?」


 シロキの提案の意味を理解できないジョンが聞き返す。


「ええ。あなたのそのマグナムには、可能性が秘めてあるわ。そう、無限大の可能性が、ね…」


「無限大の…可能性?」


「私なら、その可能性を引き出せると思うの。国一番のテクニシャンである私なら、ね。だから私と愛人契約しない?勿論、あなたが私の愛人としての契約よ。一ヶ月、10万G(ゴールド)。寝床と食事はこちらで用意するわ。どう?破格の待遇だと思うけど?」


「えええっ⁉︎愛人契約⁉︎」


 ようはジョンにヒモになれと、そう提案しているのだ。働かずに、自分が養うから夜の相手をしろと…。


 そそり勃つ30cmマグナムには、働かずに夜の相手をするだけで毎月お金が貰える…それ程の価値があるという事だ。


 そんな好条件による愛人契約。ジョンは二つ返事で了承した。


「ほ、本当ですか⁉︎分かりました!ぼく、シロキさんの愛人になります!」


「ふふ。良かったわ。あなたが女性に恥をかかせるような人じゃなくって」


 そう言ってシロキは妖艶な笑みを浮かべる。


 …もしジョンがシロキの申し出を丁重に断っていたら、シロキはジョンの事を無理矢理地下牢にでも幽閉し、そのまま愛玩奴隷として()でていたはず。それ程までに、マグナムに惚れ込んでいたのだ。

 故にこの場で愛人契約を結ぶ事は、ジョンにとって最善の選択。


 しかし、その最善の選択の先にあるものが、必ずしも幸福だとは限らない。


 その後ジョンは、裏社会の女と関わる事がどれだけのリスクなのかを、身をもって知る事になる。


 これから自分に降りかかる災いを全く予期していないジョンは、呑気に愛人契約を結んだ事を喜ぶのであった…。



【作者よりお知らせ】

毎日更新の制約を設けて、二ヶ月分のストックも貯まったし、ノリに乗って執筆してましたが、クレームを入れる読者の方が…。


クレーム入れるぐらい嫌なら、読まなきゃいいと思うのですがね。

(´・ω・`)

何やら問題になりそうなので、毎日更新は今日で辞めようと思います。残念ですが。


最終話まで書き終えたら、一気に投稿しようと思いますので、次の投稿は数ヶ月先となる予定です。続きが気になる方は、ブックマークをお願いします。

尻切れ蜻蛉で終わらせることはありませんので、発表する場所を変えてでも完結はさせます。

発表する場所を変更する場合は、その時に報告をしたします。


では数ヶ月先まで…。

(つД`)ノ


【追記】


運営によって非表示になってるのに、数人の方からアクセスがあるようで。わざわざ見に来てくれて申し訳ありません。

(´;ω;`)


【追記の追記】

開示設定を「開示しない」にしてるのに、読みに来てくれる人がいる様で、申し訳なかとで。予約投稿は92話までしてあるので、数ヶ月先に連載再開いたします。

カクヨムの方では3月から連載しますので、4月辺りにはこちらの連載を追い越します。気になる方は、カクヨムの方をご覧下さい。こちらで修正入れた回も普通に連載しますので。

(●´ω`●)

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