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30cmマグナムの生涯!  作者: 猪子馬七
第1章 30cmと30cm
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第12話 エクレア王国の冒険者ギルド



 エクレア王国の王都にある冒険者ギルド。そのギルドマスターのルドーは、蓄えた白い顎髭をいじりながら、大きな溜息を漏らす。


「…新人冒険者34名。全員、死亡ってか?馬鹿にしてるのか、あの三下は?」


 ルドーがギルドマスターに就任してからおよそ三十年。この様な不始末は初めてだ。

 本来であれば新人冒険者を育成する為の、国から依頼される危険度の低い仕事。それが新人冒険者専用依頼。

 余程のことでも無い限り、新人冒険者が死亡することはない。それが今回、参加した34名全員が死亡との報告。


 その報告をしてきたのが、新人冒険者を引き連れていった小隊長のヒズ。何者かに襲われて全滅したと、一人だけノコノコと戻ってきたのだ。


 ヒズの報告によれば、新人冒険者達は山賊っぽい連中に襲われたが、多勢に無勢。仕方なくヒズは新人冒険者達を残して一人で帰還。途中、後続の輜重隊にも帰還を指示し、一人で王都へと戻ってきた。

 既に新人冒険者達は全滅してると思われる為、救援はせずに時間を置いてから死体の回収に軍を送るとのこと。



 …こんな馬鹿げた報告で、ギルドが納得するとでも思っているのだろうか?

 そもそも、ギルドが冒険者に依頼を斡旋しているのは、冒険者との信頼関係が築かれているからだ。力量が及ばない依頼を冒険者に斡旋するなど、言語道断。

 このような事が続けばギルドの存続に関わる事態に。

 その、今まで積み上げてきた「ギルドの信用」を無碍にされて、納得など出来るわけがないだろうに。

 それでも小隊長のヒズは、この報告のみで終わらせようとしている。馬鹿にするにも程がある。



 今回の一件でギルドの評価は下がった。危険な依頼を新人冒険者に依頼し、多くの犠牲者を出したのだから。

 勿論、依頼した王国にも責任があり、賠償金なども発生するが、その程度の金額なら国庫が痛む事はない。


 つまり、国と新人冒険者との間を持ったギルドが一番責任を負うことになる。到底、納得できるものではない。

 そこでギルド側として、依頼主であるエクレア王国に対してペナルティを課すことになる。


「…エクレア王国からの依頼を一年間、受理しない。そんなところか?」


 ギルドマスターのルドーの提案に、副ギルドマスターのクギーは面白くなさそうに頷く。


「確かに今回の件に対してのペナルティとしては妥当だとは思われますが、王国からの依頼を一年間、受理しないのはギルドにとっても不利益になりますよね?」


 巨乳眼鏡の敏腕副ギルドマスターであるクギーの言う通り、王国からの依頼を受けないのはギルドにとって、デメリットしかない。

 しかし、ギルドにもメンツはある。今回の事件に対して賠償金などの支払いのみでは、余りにも被害が多すぎる。

 ペナルティを課さなければ、逆に冒険者から不満も出よう。


「まあ、それが王国の狙いだろうから、こちらもそれに従うのが一番なんだが…」


「パイア王女のことですか?」


 ルドーの言う王国の狙いとは?クギーの心配するパイア王女とは?


 ギルドの上層部が認知している、エクレア王国の闇。それが今回の事件に大きく関わっているのは、二人とも理解していた。

 それでもギルドの運営を任されているギルドマスターと副ギルドマスター。優先すべきはギルドの存続。闇についてはそれ以上、語られることはなかった。


「取り敢えず、Bランク冒険者辺りにでも現場の検証を頼むとしよう。話はそれからだな」


 ルドーの提案にクギーも了承する。


「丁度Bランク冒険者チームの『餓狼の牙』が依頼を終えたばかりです。ギルドからの指名依頼として話をつけておきますね」


 餓狼の牙は七人組のBランク冒険者チームである。これと言った特徴のあるチームでは無いが、どんな依頼でもそつなくこなす、中堅どころのチームとして活躍している。


 そんな餓狼の牙がダン達の襲撃された場所へと、ギルドの指名依頼によって赴くのであった。



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