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41 訪問者その1

短いです。

一時間後もう一話更新予定です。


 こ、これは一体……。

 蜘蛛人族アラクネ近衛隊隊長は目の前に広がる光景に呆然と立ち尽くした。

 神樹の加護が届かない死の荒野に街ができている。

 巨体の大鬼族オーガたちが荒れ地を掘り起こして整地し、大量の木材を軽々と抱えて運んでいく。受け取り加工するのは鍛冶人族ドワーフだ。優に千人以上はいるだろうが。巨人と職人たちは統率が取れた動きで協力して不毛の大地に街を作っている。街の奥には、巨大な城まで造られようとしているみたいだった。

 驚くべき光景はそれだけではない。街の隣には広大な畑が広がっていた。青々とした一面の若葉が風に揺れている。牧場らしき建物では、魔獣も飼育されているようだった。

 死の荒野を緑に変えるなんて……一体どれほどの力があればそんなことができるのだろう。

 まさか、この街を作ろうとしている主導者は聖域の神樹様にも匹敵する力を持っているということだろうか。

 いや、下手な推測は良くないと隊長は考えを打ち切る。

 今すべきことはこの事象を一刻も早くナクア様に伝えること。

 唖然としたまま固まっている部下を我に返らせ、女王が待つ拠点へ先を急ぐ。


「もしナギに誘われたとき待たせずに済むように、ナギの家までの道を確認してきなさい。ただし、決して悟られてはダメよ。私様が誘われたがってるって思われたらナギはその、重いって思うかもしれないし。気軽に付き合ってもらえるちょうどいい距離感を意識しなくちゃ。とにかく! 道だけ調べて帰ってくること! いいわね!」


 初めて友達ができたとはしゃいでいた女王のことを考えると、隊長の胸は痛んだ。

 これだけ強大な勢力の支配領域となったこの辺りに住んでいるとなると、友人らしいナギという名の魔族はまず無事では済まないだろう。

ナクア様が助けに行くなんて言いださなければいいのだが……。

 他の魔族に怖がれ避けられ続けて育ったせいか、情に厚く仲間思いの女王を思い浮かべつつ、蜘蛛人族アラクネの隊長は先を急いだ。



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