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58 こうなったらもう一蓮托生



 さて、19層に戻ってまた結界をかけて罠を強行突破し、あの大穴の宝箱付近からショートカットして1層に戻ってきた。

 ーーと、出口の目の前に驚いた顔のコボルトがいてこっちもびっくりしてお互い一瞬硬直お見合いしちゃったぜ。でも向こうが「ウガ…、と声を上げかけた瞬間にアリシアが首を斬ッと刎ねたけどね。哀れ。アリシアって首チョンパ多用するけど、中に骨だってあるんだし難しくないのかね。

 首の血管斬るぐらいで抑えとけば刀の消耗抑えられるのに、と思ったけど、今使ってるの固くて軽い、しかも魔法は通すのに弾くというチート鉱物ミスリルの剣だった。それにアリシアの腕だと誤差の範囲なのかも。 

 

 最近ファンタジー世界でも鉱物インフラ? がおきているのか「ミスリルなんざ中級までの武器」「今はアダマンタイトだろ」「オリハルコン」「ヒヒイロカネ一択」みたいなことになってるけど、こっちでは多分そんなに色々発掘されてない。この世界ではまだミスリルは上級者武器だ。そりゃそうだよね、人間が勝手に考えた(か、どっかの世界の管理人にリークされたか)の武器だの鉱物だの、そうそうどこの世界にも揃ってる訳がない。

 スキルもないし、ステータスなんかもないし。

 魔法があるだけでも奇跡だと思う。まぁそういう世界を俺が指定したんだけど。それとモンスター以外は割と普通だなぁ。ドラゴンとかも物語の中の生き物だっていうし。



 皆で揃って久しぶりに外に出ると、日差しが眩しかった。あれ、こんな時間なんだ。俺はちょくちょく買い出しに来てたけど、他の三人には感慨深いだろう、と思ったらそんな情緒ありそうな顔をしてる人はいなかった……。

 しかしものすごく周囲が騒がしい。

 いつも以上に人が多く、店での買い物客まで足を止めて迷宮から出てくる者たちを凝視している。


「……あいつらか?」

「どうだろう、戦士が三人とプリーストじゃ難しいんじゃないか」


 ……ああ、迷宮を踏破したのが伝わって、功労者を待ち構えてるって感じかな。

 別に目立ちたくはないのでそっとギルドに向かうかと思ったら、なんか俺特にめっちゃ見られてる? なんでだ?


「プリーストにあんなに荷物をもたせるとか鬼かあのパーティ……」


 あ、それは俺が志願してます。って伝わらないか。

 いやでもこれでさえ荷物は減らしました。人間が持てる範囲を越えてたんで。

 宝箱の金銀財宝、鉄やら金やらの玉は流石に持ちきれなくて途中で一旦埋めてきた。埋めたってのは、透明にして地面を素通りする途中で置き去りにするというゴーストにしか使えない高等テクでな。盗まれないし隠し場所としては最高。


 とりあえずギルマスに話を通してから荷物を運び込むことにしようかと思って。今回持ち込んだのはコアとミスリルの玉、ミスリルの剣×大量、それに魔石だ。とりあえずミスリルの剣を俺はショートソード4本、アリシアは長剣1本にショートソード1本、兄弟にショートソード1本ずつ。もっと持って行っていいって言ったんだけど、ゴーストハウスには関与してないからと断固それ以上は断られた。売るのもな……なんか勿体無い気もするけど、誰かへのお土産にするほど冒険者の知り合いもいないし。

 


 冒険者ギルドは、ここでも役所っぽい雰囲気だった。それでも作りには特色があって、レンガ造りだった。茶系と焦げ茶の入り混じった少し渋い作りが特徴だろうか。なかなかセンスがいい。広いロビーの正面にはやはり窓口と受付が並んでいて、老若男所入り混じっていた。そうそう、これでいいんだよ。猫耳のあざとくて仕事のできないお姉さんより、渋くて仕事のできる爺さんを希望する!(いや可愛いに越したことはないけど仕事ができる人なら俺は何でもいい)

 あ、最初にいたラフィガルド伯爵領(だっけ?)のギルド員リリーさんは仕事できたから除外する。


 広いロビーの中に入ると、イーヴァンさんを見かけたギルド員がすっ飛んできた。おお、これが領主の威光!

 大事な話と言ってギルドマスターに面会を希望すると言うと、スケジュールを確認してすぐさま案内された。なんつーVIP待遇。


 ギルマスは、なんとなくハゲのおっさんかセクシードレスの美女を想像してた俺は悪くない。ラノベがそういうの多かったんだよ。あとはのじゃロリ。

 しかし、ここでは髭でガタイのいい仕事のできる感じのおっさんがどっしりと目の前に現れた。

 おっさん率たけーな、オイ。女の子は?


「このタイミング、もしかして、ダンジョン踏破したのがお前らだったか?」


 おっさん……もといギルドマスターはそう言って俺たちを順番に品定めするように見つめた。


「俺たち、というよりそこの二人に助けられついでに連れて行ってもらっただけだな。俺たちはほぼ何もしていない」

「いや、そんなことないよ」


 一応謙遜したけどこっちを一顧だにしないこえー。


「なるほど、ラフィガルド伯爵領のアリシア・スティービオ。知っているぞ、実力は金と言われながらも仲間に恵まれずずっと銀だった奴だな。……そっちのプリーストは見たことも聞いたこともない」


 うお、隣の領までアリシアは知られてるのか!


「あ、はじめまして。最近アリシアと組んでる光魔法使いです」

「ほう……光魔法を使うか」


 不審者を見る目が一瞬で感心に変わった。光魔法つえー。


「で、まずは報告をしたいんですが」


 イーヴァンさんの言葉に、頷いたギルマスは秘書さんが持ってきてくれお茶を置いて出ていくタイミングで話を促した。まぁ、ここで話しすんのは全部知ってる俺しかないよな。


「まず、8層にはほぼ脱出不可能の罠があります」

「罠?」

「宝箱前の部屋からの転移罠は、14層に落とされます。そこは出入りの扉が一切なく、壁を掘っても自己修復し、9層から14層までのモンスターから、規定のドロップを集めないと扉が出現しません。おそらく、上級パーティの不眠不休の努力でも落とされた人間の餓死寸前までかかります。中は落とされた冒険者たちの死体だらけでした。救助は一度もなかったようです」

「……んだそりゃあ? すげぇ殺る気満々だな」


 イーヴァンさん、そしてアリシアが遺品のプレートをジャラジャラ取り出し机に積み上げていく。ソレを手にとり、大量の青の石の嵌ったプレートを見ると、さすがのギルマスも哀れそうな顔になった。

 「こんなにか……」と呟く声が悲しい。20人近かったかもしれない。クズ3人以外は丁重に遺族に返されるだろう。


「14層なんで、まだ辿り着いた人もいないですしね。ドロップもかなり無茶でした」

「というと?」

「おれたち2人、そしてアリシアが落とされました。それを追って、ルイがただ一人で奮戦してくれましてね」


 するとギルマスの目がこっち向いた。


「9層に石のゴーレム? がいて、そいつが石の玉をドロップしたんですよ。で、14層には穴を嵌める竜の手があったので、最初その石を嵌めるのかと……」

「ルイ」


 アリシアに止められ、ようやく「あ、まずった」って気づいた。そこからがみんな苦労してる階層だろって! 何で俺一人でそこまで行けたんだって感じだ。うわー気が抜けてたよ俺!

 ギルドマスターの目が一気に険しくなった。


「……おい、詳しく話せ。そこまでどうやって行って、何故それを知ったかをだ」


 あーーなんで俺ってこんなに間抜けなんだ!!


 いやでも聞いてくれ、これでも俺、高校はそこそこの進学校に通ってたんだよ。信じられないだろ? ははは、理由を教えてやろう。中学の成績がめっちゃ良かったからだよ!! それでいい高校に入ったからってその成績が維持できるとは限らないってことだけどな! おかげでなんとか美大に入ったけど、4年間絵しか描いてなかったわ。だって美大ってどこでもそうだとは限らないけど語学以外の勉強、全部美術系だもんな。

 そりゃ馬鹿にもなるわ(※人によります)

 馬鹿にもなるわ!!!(※二度目だが人によります)


 ーーすみません。俺が間抜けなだけなので正直に話します。


「……えーと、俺はその、精霊でして」

「ほう?」


 より一層不審者を見る目になった。やっべぇ、全く信用ねぇ!!


「いや、ルイ、光魔法を。そして体を変えてくれ」


 あ、そうそうアリシアがフォローをくれる。

 おれは光魔法をホタルのティンカーベル状態で飛ばし、体を透けさせながら壁に半分入り込んで飛んでみた。ほら、これでどうだ!? 精霊っぽくない?


「…………ほう、……」


 おお、おっさんが黙った!チャンス!!


「こんな感じで、一旦皆を探して助けに行ったんです。でも扉がなくて。そしたら、14層の中央に、これみよがしな4体の竜の像があったんですよね。で、それぞれの色が違くて。銅・銀・金・ミスリルの竜でした。そこにその色のドロップを嵌めればいいんだと気がついて、石や木のゴーレムをこの透明の体で通過しちゃって銅のゴーレムを探しました。そしたら銅のゴーレムのドロップした銅の玉はちゃんとカチって嵌ってくれて。そうなると後は銀・金・ミスリルを集めればいいんだって気づいて、そのゴーレムを探しにいきました」


 他の三人が全員頷いたのを見て、ギルマスが呆れた声を出した。


「なんだと、ずいぶん手の混んだことをさせるんだな……まぁいい、続けろ。いま皆が生きてるということはすぐ見つかったんだろ?」

「いえ、それが、他のゴーレムは玉のドロップ率が違くて……」

「……ああ、そりゃそうか」

「体感ですが、銀が20%、金が5%、ミスリルが1%ってところだと思います。全部で百何十体かは倒しましたけど、最後の方覚えてません」


 アリシアが、俺を見て頷き、きっとギルマスに目を移した。


「当たり前だが、それだけゴーレムも強くなっている。それをルイは不眠不休でずっと倒し続けてくれた」

「いらないゴーレムを無視して通過できるルイでなかったら不可能だった。そしたら私達はここにいないだろう」


 イーヴァンさんが続け、アリシアが頷く。

 ギルマスの顔がこわばる。


「彼が毎日新鮮な食べ物を差し入れてくれて、何日も俺たちを助けるために駆けずり回ってくれた。この恩は一生忘れない」


 オーディンさんも続けて、ギルマスは腕を組んでそうか、と呟いた。


「で、まぁ何日もかかりましたけど、無事、銀・金・ミスリルの玉をドロップして竜に嵌め、扉……(?)を出現させました。これがその玉です」


 おれが持ってた玉を取り出すと、ギルマスが面白いくらいに顔色を変えた。喜びじゃなくてものすごい顰め面だ。


「んだぁこりゃあ!! このミスリル、本物か!!」


 そっちかよ。


「本物デス。扉は壊されてるのでもう誰か落ちても大丈夫だと思って竜から取ってきました。ミスリル以外はまだまだあります」

「マジかよ……!!」


 おっさん(とうとうギルマスと呼ぶのもちょっとアレなひとだと気づいたんで)が額に手を置き天を仰ぐ。面白いぐらいのテンプレ反応。


「なんとなく経緯ははわかった。で、14層が終わりだったのか?」

「いえその……まだ報告はあります」


「まず、ダンジョンで盗賊に襲われた3人の女の子がいた」


 アリシアが言った。そうそう、それだ。


「ああ、聞いている。プリーストたちが治してくれたと言っていたらしいがお前か」

「はい。その襲った奴らもその14層に落ちてまして。そのプレートの赤3人です」

「赤か!! 3人ともか!?」

「ああ、でも私と彼らで処分した」

「おう、助かった。手間ァ掛けたな」


 ひぇ、ワイルドな会話! それで通じちゃう世界怖い!


「人を襲っては食べ物を補充してたようでした。かなりの凶悪犯ですよ。女の子たちも俺がいなかったら死んでたでしょうし」

「うむ、よくやってくれたな、感謝する。ちっと見回りでも増やすか」


 一応ギルマスらしいことはするのね。そりゃそうか。


「で、コアは? 何層まであったんだ?」

「ああはい。これです。20層でした。」


 俺が荷物の書かからどでかいコアを取り出すと、その内部の輝きにギルマスも言葉を失った。

 

「20層てのもすごいが……こんな綺麗なコアなんざ見たこと無いぞ。……俺ァこれでも他のコアは結構見てる方だがな、どうなってやがんだ……?」


 鋭い目線に、皆が目を見合わせた。

 でもイーヴァンさんが頷いたのを見て、アッシュのことを告げることにする。こうなったらもう一蓮托生だろ。おっさんにも共犯になってもらうからな!!


「っふう。これから見たことは内緒でお願いしますね。……アッシュおいで」

「ん? おお、かわいいペットじぇねーか、何の種類……、……!?」


 帽子を取ってあげたアッシュの額に、おっさんが釘付けだった。もうイーヴァンさんを信じるしかない。ま、もしアッシュに万が一があったら暗殺も辞さないけどな(マジで)。


「…………まさか、カーバンクル、か!?」

「はい。俺の従魔です。子供のうちに契約したんで、カーバンクルだと知らなかったんですけど、この子が宝石に近づくとすごい光とともにコアが綺麗になったり宝石のドアが開いたり。すごい役に立ってくれました」


 おっさんは腕を組むと、帽子をかぶせるように促した。


「ここにいる以外で知ってるやつは?」

「いません」

「そりゃ良かった、下手すりゃこいつ巡って戦争だ。絶対に絶対に解らないようにしとけ。その帽子はいいな、ただのお洒落にしか見えねぇからな」

「あ、俺が作りました、似合うでしょ」

「……呆れた、ずいぶん器用なもんだな。……たしかな、カーバンクルの伝説に確かなことは判ってないが、『宝石を浄化する』ってのは聞いたことがある。これはその恩恵じゃねぇのか?」

「宝石の浄化……ああ、それっぽいかも」


 アッシュっぽい! 浄化能力ね、似合う似合う!!


「オークションに出していいのか?」

「お願いします」

「こりゃ、史上最高額いくかもしれねぇな。買う家の下見でもしてろ」


 やっぱそんぐらいいくのか!!


「あとこれ、なんとかなります?」


 ミスリルのショートソードを数十本どんと机に置くと、鞘から引き抜いたギルマスが今度こそ天を仰いだ。


「お前ら、どんだけ厄介事持ち込むんだ……なんなんだこれは!!」

「えっとー、アンデッドのモンスターハウスがあって。俺の光魔法であっと言う間に片付くし、その度にミスリルは出るし、しばらくヘビロテしてました」

「やりすぎって言葉を知らんのか!! 値崩れするぞ!」

「じゃあ半分は、隣町に戻ってから売ります」

「そうしろ。……あーあ、めんどくせぇな、まだあるんだろ?」


 半眼になりながらも言うのに、「埋めてきてある」とアリシアが白状する。


「持ち込むには量が多すぎてな。まだまだあるぞ、金銀財宝だ」

「おーおー、容赦ねぇな。うちのギルドの金庫尽きるんじゃなねぇのか、とりあえず夜になったら運び込んどけ、この場所貸し切りにしとく」

「わかりました」


 あー良かった、ひとまず最低限の報告はできたかな。



一日開いてしまった!すみません!日課がぁ…。

ちょっと病院では半日泊まり?してしまいました。パソコンもってかないと書けないーー!

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