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45 語彙もヤバイ


 とりあえずこの階層をクリアしないことには下に行けない。

 でも俺の心情的には下に行きたくない。結果、積極的に手出ししないというものすごく消極的な案に落ち着いた。

 みんながんばれー(棒)

 ヘビは今までのより大きい分、一匹倒すのにも時間がかかる。アリシアにミスリルの長剣が渡ってすらこれだから、長剣がなかったらこの倍の時間はかかった気がする。


 しかしまぁ、とにかく数が多い。でかいだけでも大変なのに、狩っても狩ってもなかなか進まない。魔石はとうに20を越えた。

 俺は一応の地図が頭に入ってるので、みんなが戦ってる最中にのんびり地図を描いていた。まぁこれも必要なことだしな!? ほら、俺結界で手伝ってるし?

 でもあまりに続けて出てくるから休憩が取れなくて、途中で一旦強制的に結界を張ってみんなを休ませることにした。


「……助かった、……休む暇もないとは大変な階層だな……」


 オーディスさんがようやくと言った感じで息を切らせて座り込むと、続いてその隣に座り込んだイーヴァンさんが声もなく同意した。

 アリシアだけは全く疲れもない様子で立ったまま水を飲んでいる。一体彼女の体力はどうなってんだ。ちょっと超人すぎませんかね?


 みんなに休んでいるように言ってから、地上に買い出しに出る。そうでもしないとアリシアが保存食で終わらせてまた戦いに行きそうだからね。

 リゾットかパン粥かわからないけど、そんな感じのものと、肉の串焼きを多めに買ってくる。どうせ土中を突っ切ってすぐだから、買いだめはしない。

 食事をしながら俺の地図を見て、どのルートを通るか話し合っている。割と複雑に分岐しているが、どのルートを通っても距離は大差ない。ただヘビのいる量に差があるだけだ。しかも生き物だから、偵察では少なくても移動することもあるわけだし。

 

 1時間近く休憩させようと思ったけど、途中でアリシアがうずうずしだし、兄弟も疲れは取れたと言うから狩りを再開する。

 ヘビは、大きいのだけでなく小さいのもいる。腕ぐらいの太さのが大蛇にまぎれてするりと音もなくやってくるので足元注意だ。まぁ結界があるから噛みつかれたりはしないけど。

 途中でものすごい紫のヘビも見た。あれは猛毒なんだろうな、みんなすごく嫌な顔してさっさと仕留めてた。ゲームだったら毒のビンとかドロップしそう。

 


 あとはもうヘビとの戦い、ほぼ差がないので割愛。ヘビのヘビロテ。……すまん、ちょっと疲れてるんだ。

 ようやく下の階層への階段に辿り着いたときにはもうイーヴァンさんなんか寝そうだった。今回多分一日以上かかってただろう。俺はタイムキーパーみたいに適度な時間を置いて結界を割り込ませて休憩させてたけど、疲れるものは疲れるだろう。敵はでかいし。

 兄弟はすごく似てるようでも、こうやって付き合ってるとやっぱり少し違うのがわかってくる。

 お兄さんのイーヴァンさんの方が小回りが効いて、そのぶん体力がない感じ。弟さんのオーディスさんは、力があって、性格的にはお兄さんよりしっかり者って感じだ。


 階段の途中にある踊り場が広いので、そこに結界を張ってまたまた俺が買い出ししてきたサンドイッチとジュースでお腹を満たしてから就寝だ。アッシュには最初に買って持っていた果物を剥いてあげる。俺が買い出しに行けるから、持ち歩くだけ重くて邪魔になるだろうし。

 結界ベッドを作って、一応周囲にも結界を張る。

 モンスターを弾けるのわかってるし、ここには人もこないから安心だ。


 俺は、肩の上にいただけでほぼ動いてないアッシュに食後の運動をさせるために、ロープを垂らしてじゃれさせていた。

 癒やしの時間は必要だ!

 ひょいひょいと紐をつかもうとしてるのを直前でちょんっと上に引っ張るとつかめなくて「ニー」と鳴く。子猫とかと反応が一緒で思わず笑みが漏れる。

 あーーかわいいんじゃーーーと思わずワシャワシャと撫でると……


 ……………………んんん??


 アッシュの額から何か出てるんだけど。

 しかも赤い。

 赤いけど怪我じゃないよな、こないだの突起だよな? とうとう皮膚を突き破ったか!と慌てて毛をかき分けると、そこにあったのはなんとも美しく光を反射する宝石のようだった。

 しかも大きいぞ。アッシュの目よりも大きいくらいだ。直径3〜4センチくらいはある。


 これには一瞬言葉を失って、まじまじと抱き上げたアッシュを見て、それから寝ようと準備している3人に思わず叫んだ。


「ちょっとみんな!!アッシュを見て!!やばい!!なんかヤバイ!!」


 語彙もヤバイ。

 でも驚きすぎると実際言葉が出てこないんだよ!


 何事かと集まった三人も、俺が抱っこして差し出したアッシュを見て絶句した。

 アッシュは「どうしたの?」とでも言いたげにきょとんとしたままみんなを見返している。


「まじかよ……」

「うそだろ……」


 イーヴァンさんがアッシュを凝視したまま言った。そして手を伸ばそうとして途中で止める。

 みんなの驚きは俺のと違う気がする。信じられないものでも見たかのようだ。


「カーバンクル…………!!」


 アリシアが言って、それから絶句した。

 え、カーバンクルってなんだっけ? どこかで聞いたことあったような。ファンタジー小説とかかな。


「カーバンクルって何?」


 こっちの世界の生き物自体、俺たち地球人の想像の産物と違うかもしれないのでそう聞くと、イーヴァンさんと並んで固まっていたオーディスさんが俺を振り返って言った。真剣な顔をしている。


「……伝説の幻獣だ。額に宝石を持つ生き物で、幻獣の中でも希少中の希少、今現在はもう存在を確認されていない。ユニコーンやペガサスは見たことがあるが、カーバンクルは初めてだ……」


 ユニコーンとかペガサスいるのかよ!! ちょっと今それどこじゃないけどそれも気になるんだけど!! あとで聞こう!

 

「まずいぞ、……これはまずい。額を隠して、絶対に見られないようにしないと大変なことになる」

「え、大事にされるんじゃないの?」

「カーバンクルの額の宝石には若返りの力があるとか、大病でも治せるとか、様々な言い伝えがある。どれも信憑性に掛けるが、確かなことが一つだけある」


 そう言って、アリシアは俺を見つめた。


「カーバンクルは額の宝石を失うと死ぬ。そうして大昔に乱獲されて絶滅したと聞いている」


 アリシアが珍しく怖い顔で口元を抑えた。


 そ、…………そんなこと許せるかーーーー!!!!


 たかが宝石のためにアッシュが殺されるとかありえない!! そんなの何が何でも阻止しなければ!!


「ま、まじで!?」

「とにかく、今は周囲に人がいないからいいが、ここから外に出るまでには絶対に隠さないといけない。それも簡単に取れない方法でだな」


 アリシアが真剣にそう言って、しばらく考えてから思いついたようにぽんと手を打った。


「ルイ、出番だ。工作が得意だろう、不自然でなく額を隠せるものを、なんでもいいから作ってくれ」


 

最初の数話に結構な加筆をしました。具体的にはルイの全身とルックス、仕事場のことや街の情景など。

何度見返したつもりでも誤字脱字が出てきます、大変申し訳ございません、精進します!


追記:ここ1日ほど1話がループしたり文がおかしなことになってました。昨日今日読まれた方すみません、何だこれと思われたでしょう。修正しました。

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