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41 なんか切ないんですけど


 さて、ボーナスステージ、じゃなかった8階層に到着。

 際限なしに使える光魔法で一掃できるとか、もうほんとこのステージ最高。俺のための階層と言っても過言ではない! ミスリルゴーレムのリポップ待ちのときはこっちで稼いでいれば、時間は無駄にならないよな。気分転換にもなるし、一石二鳥。


 さって、とりあえず未だ見てないとこはなかったかなー。ああ、どっかで宝箱見つけたんだっけ。片方は転移罠があったけど、もう一つには行ってなかったな。

 記憶を思い出して、モンスターハウスとは階層の中心を挟んだ反対側に移動する。確かここの少し奥まったところにあるでかい洋館(もちろんボロッボロの廃屋)の2階だったかな。

 ふむ、こういうとこ買い取ってリフォームしたいなぁ。サンダーで表面削ってペンキ塗るだけで壁面は綺麗になるだろうし、立て付けの悪いドアは木を足して金具の取り替えかな。楽しそう〜。アンデッドの巣窟は嫌だけど! そのうちどっかで家買うなら、こういう古い家屋を自分で手直しするのも有りだよね。


 さて、宝箱に意識を戻す。窓から見ただけだし、どうせ俺には罠もミミックの攻撃も効かないから、堂々と入り込んで開ける!

 

 ーーーー普通に宝箱だった。

 鍵も罠もなかったっぽいぞ? あれ? 見つけにくいからかな。俺は飛んで移動しながらだったから窓から見えたけど、普通は一軒一軒周らなきゃわからないしね。

 この宝箱は少しアンティークな木の作りで、重厚感があった。宝飾でギラギラしてないところが高ポイント。

 中身はなんと金のインゴッド5つ、そしてマント? みたいなやつ。これもただのマントって線はないだろうから、鑑定結果次第だな。もしいい機能がついてたらアリシアに似合うようにリフォームしてあげようっと。


 近辺を周ってみたが、他に宝箱は見つからない。

 ま、そんなにいっぱいはないよな。

 じゃあまぁ、モンスターハウスのヘビロテ行きますか!


 モンスターハウスも人間感知だけど、俺感知されるのかな。呼吸とか脈拍だったら無理なんだけど、重さでいけるかな?

 いけました。

 ドアを開けて体重かけて歩いたらドアが閉まった!やった! ここのダンジョン体重感知多いのか?

 ぞろぞろと出てくるアンデッドさんたちはもう$か¥にしか見えない。ありがとうありがとう! オレ一人だったら結界もいらないから思いきりいきまーす!

 光の雨よ降れー! 光の槍よ降れー! あ、どうせだから訓練しとこう。針サイズの光とかできるかな。数を増やして、飛ばす!!うん、これもできる。

 できることとできないことが明確にわかる。でも思いつかないとやろうともしないからな。

 ポップしては浄化、ポップしては浄化。もう床にシート敷いて魔石集めたい。

 ああ、一個一個拾うとか超無駄じゃん、重力で全部手前に寄せて回収。頭悪いことしてたな。


 そしてアンデッドが出てこなくなったところで、宝箱が出現。これも一緒。

 中身はーーああ、毎回ミスリルのショートソードは同じだけど、アクセサリーは色々なんだよな。鑑定とかできたら今からでもアリシアに身に着けてもらえたかもしれない。でも鑑定しないまま勝手につけて、呪いのアイテムだったりしたら洒落にならないし我慢我慢。

 最初は指輪だっけ、次がネックレス、それからまた指輪、ピアス、バングル、髪飾り、イヤリング、と、全体にデザインも女性向けの気がする。もちろん男性が付けても構わないんだろうけど。今回出たのは髪飾りだ。前と若干違うけど、どれもデザインは統一されてる。

 ……ふむ、これこんだけ種類多いと全部コンプリートしたくなるな。機能に拠ってはアリシアの全身を飾れる。これシルバーっぽいし似合いそう。


 よし、フルコンプ(どこがゴールかわからないが)目指そう。



 というわけで、あれから5回ほどヘビロテしました。魔石の量がありすぎて有り難みなくなってきた。

 ほとんど重複してたけど、指輪やネックレスはデザインが若干違うので満足だ!でも同じシリーズだな、うん、重畳。

 アクセサリーにいい機能の付与とかできるならほんとは俺が作ってあげたいくらいなんだけど……たぶん宝箱の中身の機能の方が上だよな。くそ、せめて似合う服でも作らせて貰おう。


 さて、そろそろ一度14階層に戻るか。13階層と行き来すればある程度はリポップしてるだろう。

 

 地面を突っ切って、13階層に戻る。ふむ、まだゴールドだけか……あ、いた!

 えーと、ミスリルは前回で18体目だったんだっけ。じゃあこれで19体目だ。

 圧縮、そして圧縮。押しつぶすのにも少し慣れてきた。魔石が出る、玉は出ない。

 焦らない焦らない。


 20体目:圧縮の仕方を少し変えてみる。頭だけ圧縮とかしたらどうなるんだろう。

 うん、頭潰れても少し動く。おかしいな、首切った時は動き止まったんだけど。切り離さないとだめなのか? 結局全身押しつぶす方が早い。俺にとって手間は変わらない。ーー玉は出ない。


 ・

 ・ 

 ・

 

 32体目:おお、さすがに焦ってきた。モンスターハウスも行ってたし、またかなりの時間が経ってるんだろう。時計欲しいなぁ。

 はー、また一度帰るか。ああ、まだ玉は出ない。



「ただいまー……」


 俺がどよーんとした空気のまま帰ると、今回は三人とも起きてる時だったらしく俺を振り返った。ちょうど俺の入ってきた通路側の壁際で、皆で何かやっていたらしい。


「……何してるんですか?」

「ああ、掘ってる」


 オーディスさんがそう言って、ナイフを掲げて見せた。イーヴァンさんとアリシアもそれぞれ手にナイフを持っていた。


「掘ってるって……壁を?」

「ああ、ルイに任せきりだったが、もしかしたら壁を掘っても出られるかもしれないと思ってな。ただ、芳しくない。ここにこれだけの遺体があるのに、壁に全然傷がないのもおかしいとさっき三人で話してたんだ。皆、武器は持っているんだから、出口がなければ掘るくらいはするだろう? なのに何で傷がないんだ、って思ってな。でも掘ってみてわかった、やっぱり自動修復されるようだ」

「自動修復!? って、壁が?」

「そうだ。しかし掘る速度が上回れば一応抜けるくらいはできるかと思って試していた。でもダメだな、修復の速度のほうがはるかに早い」

「はー、徹底してますねー……」

 

 俺は首を振って呆れた。ほんっっと根性悪い罠だな。

 まじ疲れた……。


「……かなり疲れてるな、少し休めルイ」

「あーうん。……あ、これお土産ー」


 金塊とマントとたくさんのアクセサリーとショートソード、それに山程の魔石を見て、兄弟は目を丸くして、アリシアは吹き出した。


「モンスターハウスだな。ん、でもこの金塊とマントはどうしたんだ?」

「8階層で見てなかった宝箱があったから。みんなで分けよう!」


 そう言うと兄弟は「まさかだろ!」と大慌てで否定した。


「これはルイが見つけたものなら、ルイのパーティに所有権がある。俺たちにもらう権利はない!」

「えー、いいよね? アリシア」

「ああ、世話になっているし、今は臨時のパーティみたいなものだろう。ここを出たら一緒に更に深部を目指すか?」


 アリシアの言葉に、イーヴァンさんが食いついた。


「下の階層か! それはちょっと興味があるな。……いやしかし、9階層から14階層までのゴーレム階層を飛ばしていきなり15階層では、敵が強くなりすぎてついて行けない可能性の方が高いかもしれないな……」

「試してからでもいいんじゃないか? そうだルイ、下の階層を見てきてはもらえないか?」


 アリシアに言われて、それもそうかと思う。まだ未知の階層がどこまで続くのか知りたいし、体のない俺が見てくれば危険はない。

 あ、なんかちょっと元気出てきた。


「見てくる! 何階層まであるのかすごい興味あるし!」

「それは確かに知りたいな……」

 

 オーディスさんもぽそりと本音が出てきてる。冒険者ならみんな知りたいよね。よしよし、気晴らしに下行ってこようっと。


「じゃあ下に行ってくるねー」

「あ、オイ、少し休んでからでも……」


 一人で出歩いて申し訳ないけど、動いてる方が待ってるより楽! 

 俺はさっさと部屋を飛び出した。 



 15階層。初めて来たけど、やっぱりあった。階段じゃなくて土を真下に通り抜けたら普通に空間に出た。

 ここの階層は全面土だ。土の洞窟。そして、通路がものすごく広い。なんだこれ、巨人でも出てくるの?

 ライトを打ち上げつつ、そういえばと気づいて通路脇にサイドポーチに入れていた花の種を蒔いた。まぁ、俺たちの後に人がくるかどうか知らないけど。誰もこない場所でひっそり咲く花も素敵じゃないか。


 しばらく進んでから、かすかな物音に気づいて止まった。ずる、ずる、って音だ。何かすげぇ嫌な予感がするけど、それしかないよな。

 

 あ、大蛇だ。やっぱりかー。

 だよね、この引きずる音、わかり易すぎる。

 しかしーーでかい。直径で1,5メートル、長さは10メートル以上はあるんじゃなかろうか。人間なんて軽くひと飲みだ。

 毒はあるのかな……今のところそれはわからない。

 色は茶色に紫と黒の模様。

 どの程度の凶暴さなのかな、俺はいま透明になってるけど、一度姿を現して反応を見るか。


 ……あれ、何で反応なし?

 襲いかかりもされない、ていうか俺の存在を無視されてる?

 …………?

 ……………………?


 ーーーーあー、ヘビって目が悪いんだっけ? 確か普通のヘビはピット器官とかで獲物の熱だかを感知してるんだって聞いたことあるような。

 って俺熱発してないし、音出してないし! ヘビに存在すら感知されないの、なんか切ないんですけど……。

 とりあえずこの子は置いといて他の獲物探しに行こう。別の種類がいるかもしれない。どんどん進むと、またヘビだ。色は違うけど感知されない。はい、この子も置いといて次!

 

 結果、ここは大蛇だけの階層だった。俺の存在完全に無視。おお……。



 ちょうど階段を見つけたので、更に下に降りる。えーと、これで16階層だっけ。どこまであるのかな、このダンジョン。

 下の階層は、また土だった。上ほど広くはないけど、そこそこの幅はある。

 モンスターを探していると、不思議なものを見つけた。

 うーん、でっかい植物? 木というか花というか、いろいろ絡みついてよくわからない。ただ触手っぽいものがうねうねしてるけど。

 でもなんで移動してるんだ? 5階層のウォーターリリーでも本体までは移動しなかったぞ?

 と思って花の根元を見て絶句した。でかいセミの幼虫のようなものが死に体で動いてる。花はそこにびっしり根を生やしていた。

 ーー死にかけの昆虫を苗代に花が育ってるんだ。

 

 ……もしかして冬虫夏草?

 しかも生きてるやつに寄生してるの!?


 ひぇ……ぞっとした。

 あの幼虫が切ない!「いっそ殺せ」って思ってそう。神経支配されてるのか、折れてる足もあるのに無理やり動かされてるようだ。でもかすかに生きてるのが、血管のような透明な器官がドクドク波打ってるところからわかる。

 これが主流なら嫌な階層だなー、精神的にくるわ。 

 そいつを素通りして他も探したけど、ここ自体、やっぱり冬虫夏草の階層のようだった。植物の種類は様々だが、いろんな虫の幼虫やら芋虫やらに寄生して階層を闊歩しているアグレッシブな植物ばかりだった。

 全部燃やし尽くしてやりたいわー。キモいわー。

 


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