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27 殺る気ですね!


 「ルイ、絵は描き終わったのか?」


 俺がペンや紙を片付けてると、アリシアが後ろから覗き込んできた。


「うん、まぁ軽く描いただけだけど。見る?」

「よければぜひ」


 乾かして丸めていた写生を広げた。うん、短時間にしてはそこそこの出来なのではないか(自画自賛)。


「すごい、これを今の時間で描いたのか」

「うん、無駄を省くと写生ってそんなに掛かんないんだよね。ちゃんと作品として仕上げるなら数日は通いたいところだけど」

「別にダンジョンは逃げないし、描いていてもいいぞ?」


 おお、アリシアさんおおらかだなー。

 でも! 今はそれよりも早く念願を叶えたい!!


「いやいや、大丈夫。作品っていうより、ここを通ったよっていう記録を残したいっていうだけだから。日記みたいなものだね。それより今は早くダンジョン行きたいからってのもあるけど!」

「それは私もだ」


 俺が笑ってそういうと、アリシアもめずらしく、ふふ、と小さく笑った。



 ロキに乗って山を下る。このぶんだと今日中に街に着けそうだから、今日は街で宿泊できるな。

 俺はロキに乗ったままアッシュをくすぐって遊んでいた。リッチ戦、アッシュも気を揉んだのかすごく甘えてくるので、心配させた分甘やかそうと慣れてきた重力操作で作った手で頭を撫でる。あーふわふわなんじゃー!癒やされるー!!

 ーーが、ふと、アッシュの頭に何かの違和感を感じた。


「……?」


 こういうとき、手に感触がないから判らないのがもどかしい。

 何か……額の中心あたりがおかしい気がする。うん??


「ーーごめんアリシア、ちょっといい? アッシュの額、なんか違和感ない?」

「額? ……アッシュおいで。……うん、皮膚の下に何か硬いものがあるな」


 やっぱり。なんか若干毛の反発が他と違かったんだよね。アリシアは毛をかき分けて見てくれてるけど、まだ皮膚の下らしく皮膚の上からではわからないそうだ。


「何か生えてくるのかな。ーーもしかして角とか!?」

「かもしれない。大人になると生えてくるのかもな。ルーパでもないし、角の生える生き物、辺境領でも聞いてみよう」


 角かー。想像するが、生えてもかわいいな! もしかして今の灰色の毛も産毛っていうか、子供だけの色だったりして。しまった、名前変えるわけにもいかないな。

 でもたとえ色は生え変わっても、角に大きい目、耳も割と大きい(というか長め)なので、どうやっても可愛いくしかならないよね。さすがうちの子、最高。



 行きと同じく3~4時間ほどで山を降り、街に入る。村々に分かれているのではなく、大きな一つの街になっているようだ。通行人に紋章屋の場所を聞くと、ダンジョンの近くにあるらしい。

 ダンジョンは街の北、砦の外の森の入り口にあるそうだ。

 なので、街の中心を抜け、まっすぐダンジョン方面に向かう。


 街自体は活気があった。

 もっとモンスターとの争いで疲れ切った街の人々や、モンスターやダンジョン目当てに集まった荒くれ冒険者で荒んだ街を想像してたのに、全然違う。特に道路や街灯などが綺麗に整備されていて、露天もちゃんとした規制があるのか、幅や高さが揃っている。ああ、モンスターや外国の侵攻などがあった場合に備えて通路を整えているのかもしれない。けれども街ゆく人は皆表情が明るくて、押し付けられた感がない。インフラ整備がしっかりできているのは領主の手腕かな、かなり好印象だ。


 郊外までは、上から見た感じより距離があったが、ロキがいればそう時間もかからないで辿り着けた。だから先に近くで宿を取ってから紋章屋に向かうことにした。ロキはそこにあずけて、世話を頼んできた。ご苦労さま!



 紋章屋。

 いわゆる付与術士が営む、付与専門の店だ。魔法陣(あるのか!)などで武器や防具に属性を付けることができるらしい。付与とかあまり詳しく知らなかったが、アリシアに聞くところによると一種の特殊技能らしい。ゲームでいうスキル?とかそういう感じかな。RPGゲームとかをしないからそこんとこは良く解らない。


「剣に光属性を頼みたい」


 店に入ってまっすぐカウンターに向かったアリシアは、臆することなくそう言った。

 年配の店主は「ああなるほど」と納得した様子で剣を受け取った。


「ということは、お嬢さん、8階層に挑むんですね」


 剣を鞘から引き抜き検めて、柄や材質などを見ているようだ。


「8階層?」


 なんでそこ限定なのか俺が疑問に思うと、アリシアが答えをくれた。


「アンデッドの階層だ。人気がない」

「あーなるほどー」

「いやいやお客さん、人気がないどころじゃないですよ。アンデッドの匂いはひどいわ、駆除する人間が少ないからアンデッドは増えるわで、今最悪の階層です。冒険者もみんな7階層で引き返しますよ。噂では8階層にはモンスターハウスもあるとか」

「ふむ、ちょうどいいな。こっちはルイがいるのだから何も問題ない」


 アリシアさんの信頼が怖い。殺る気ですね!


「ほう? お兄さんはヒーラーですかい?」

「いえ、俺はプリーストです」

「おお、それは頼もしい。ぜひアンデッドの駆除をお願いします!」

「あ、はい。できる限り頑張りますね」


 アリシアの剣は、問題なく付与できるらしい。ついでに短剣も、と頼むとそれも大丈夫らしく、そのままに裏手に持っていかれて、職人の手に渡ったようだ。すぐできるというからそのまま待っていることにする。


「モンスターハウスっていうと、やっぱり入ったらどんどんモンスターが溢れてきて全部始末するまで扉が開かない部屋、とか、そういう認識で合ってる?」

「合っている。ほぼそんな感じだ。あとは、モンスターを全部駆除すると大抵は宝箱が出る」

「まじで!! 行こう行こう!!」


 アリシアはうなずきながら俺をしみじみと見返した。


「ルイは変わってるな。普通はモンスターハウスはものすごく嫌がるものだが」

「ああ、だって俺と相性最高だし、アリシアなら結界でほぼ守れるし、と思って。あと、ダンジョン自体が行ったことないからメチャクチャ楽しみ!」

「実は私もだ。一人で無駄に気を遣う必要もなく、深い階層に潜れるのも初めてで、少しワクワクしている」

「一緒だね! いっぱい食料持ち込んで、できるだけ深層の攻略を目指そうよ!」


 そんな話をしているうちに、剣ができてきた。

 うん、剣の付け根にいかにもな魔法陣が刻まれているが、俺には全くわからない。これ要はプログラミング言語みたいなもんでしょ、内容が詳しく解ったら面白いのにな。


「ありがとう」


 代金を払って、店を後にする。隣が食料品店なので、日持ちする食料を買い足す。アッシュ用には、長持ちするという果物も多めに買っておく。ライムっぽい爽やかな匂いがするらしい。


「俺が持てるから、アリシアは遠慮しないでいっぱい買っておいていいよ。深いとこ目指すなら、途中で引き返すの大変だし」

「わかった、すまないが頼む」


 俺の分の食料持たなくていいのは楽だよねー。ほんっとこういうとこゴーストって最高。


 まだ夕方なので他に買うものがあったか確認して買い足し、明日朝からのダンジョン入りを目指す。

 ようやく念願のダンジョンだ!



 で。

 その夜俺は一足先に下見に来ました。

 べ、別にぬけがけじゃないよ! 全く未知の場所だから、俺目線で必要なものとかないかなっていう一応の確認。そう確認!


 完全に透明なのでモンスターは無視。ていうかうっすらしたシルエットだから何のモンスターだかわからない。

 そう、ここにきて驚いたことのひとつは「うっすら」でもシルエットが見えるってこと。だって地下だよ、普通は真っ暗闇だ。

 で、何故かというと、道端に咲く、小さな花のおかげのようだ。光る花! なんて幻想的、そして美しい!!

 ヒカリゴケとか定番かなと思ってたんだけど、ここは花。そしてよく見るとこれ人工だ、ちゃんと手入れされてる。入り口付近でも踏まれた様子がない。ちゃんと道の端にだけ綺麗に咲いていて、道が別れると律儀に双方に咲いていて道があることを教えてくれる。ふわぁ、なんだろこれ。あとでアリシアに聞いてみよう。

 花自体は高さ5〜10センチほどの高さだろうか。枝分かれしてたくさんの花をつけている。すごく小さい小花で、大変かわいらしい。たぶん、白。でも、ほのかに光っているので良くはわからない。


 ダンジョンは不思議だなぁ、よくわからない生態だ。そもそもダンジョン自体が生き物だというし、だから駆除なんて言葉を使うし、ダンジョン内の生き物もどうやって生きてるんだろう。餌は何かな。

 アリシアに聞いておくべきことが今更だけどどんどん湧いてくる。

 まぁ時間はあるので、明日からの攻略の時に順次教えてもらおう!


 モンスターはできるだけ見ないように無視! 明日のお楽しみがなくなるじゃん!



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